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第98話:正面突破

「重ねて防壁(バリア)を張れ! 奴を城へ入れるな!」

「ゴーレム! 入口を塞げ!」


アズが攻撃していた時よりも、無視して進み始めた時の方が慌てている魔族たち。

彼等は攻める事には長けていても、護る事は不得手らしいね。


アズの完全回避は普通の回避スキルとは違う。

その身を傷付けるものや健康を害するもの全てを【回避】する。

物理攻撃・魔法攻撃はもちろん効かないし、状態異常も一切効かない。


更に、その応用として……


「ベノワ、構わず突っ込め!」


……壁などにぶつかりそうになっても、すり抜けてしまう。


魔族たちが何重にも張った防壁も、ゴーレムが密集して作り上げた岩の壁も、アズを乗せたベノワは何も無いかのように通り抜けた。

驚愕する魔族たちを置き去りに、天井の高い城内をベノワが飛行する。


奥へ進むと柱などが多くなり、飛びづらくなったベノワから降りたアズは城内を早足で進む。

城内にも魔族がいるんだけど、攻撃してくるのを完全無視。

当たらなければどうという事はない、って感じで一切気にせず進んでゆく。


城内の魔族たちは騒然となった。

勇者が単身乗り込んで来た上に、一切の攻撃も防壁も特殊スキルも効かないから。



一方、隠密スキルで隠れながら別の場所を進むのはコッコとケコ。

姉妹はアズが敵を慌てさせている間に、コッソリと忍び込んでソナを探す。

ルビイが城の構造も含めてソナの明確な位置を教えてくれたから、2人は地図を頼りに辿り着けた。


ソナは今も意識を失ったまま。

実体化した不死鳥ルビイが、その両翼で抱いて身体が冷えないように護り続けている。


「どういう事だ?」


問いかけるのは、黒髪の少年。

角や牙がある魔族とは違い、少年は世界樹の民に似た姿をしていた。

只者ではない気がして、コッコたちは隠密空間に身を潜めたまま様子を伺う。


「主は目覚めていないのに、何故召喚獣が実体化している?」

「主を助けたいと思ったからだよ」


問いに答える声がして少年が振り向いた瞬間、その首に何かが巻き付けられた。

アズが投げつけたモノが、意志を持つ生き物のように動き始める。


「! なんだこれは?!」


少年の首に巻き付いたのは、動植物学部が研究していた植物か動物か分からないモノ。

魔族対策に改良を加えられていたそれは、瞬時に少年の全身を縛り上げた。

首を絞められて呼吸出来ないらしく、少年は白目を剥いて泡を吹き始める。

それを放置して、アズは牢の扉を蹴破った


「パパ!」

「ルビイ、よく頑張ったね」


ホッとした様子のルビイを撫でるアズの左右に、コッコとケコが現れる。


「じゃあ、ソナは連れて帰るね」

「うん。俺はルルを探すよ」


姉妹はルルを隠密空間に保護して退避していき、アズはルルを探しに向かう。


牢の前には、魔族拘束用生物に締め上げられて倒れている少年だけが残された。

その少年が魔王かもしれないけど、6つ目の心臓を先に壊さないといけないから放置されたよ。

次はルルの救出と、ルルに埋め込まれた魔王の心臓破壊だ。

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