新天地にて
「ここは……、転移できたのかしら?」
気がついたら私は森の中にいた。
「服は変わってないわね、流石にこのままだと脱獄したように見えるから着替えたほうがいいんだけど……」
なんにも荷物がない状態、お金も勿論無い。
こんな格好で森の中を彷徨っているのを人に見られたら即通報物だ。
なんとかしないと、と考えていたら脳内にピロリンという音が聞こえたと共に画面が現れた。
〈メッセージを受信しました〉
「メッセージ? 誰からかしら?」
画面に触れると文が現れた。
『私はこの世界の管理者の代理人です、このまま森の中を進むと小屋があります。そこが貴方の新しい住居になります』
なんと、住む場所まで用意してくれるなんていたれりつくせりである、私の人生無駄じゃなかった。
このメッセージを信じて私は森の中を歩き始めた、すると開けた場所に一軒の小屋が現れた。
「ここがメッセージに書かれていた小屋ね、確かに真新しく見えるわね」
古くからある小屋ではなく新しく建てられた小屋に見える。
私は玄関を開けて中に入った。
「中は広いしすごく快適じゃない、ベッドもお風呂もキッチンも備え付き、タンスもついてる。中は……、良かった服がある」
タンスの中には服が用意してあった、流石に綺羅びやかなドレスじゃないけど森の中で生活していくのであれば平民の服で十分だ。
私はまずお風呂に入る事にした。
「牢屋ではシャワーも浴びれなかったら久しぶりに入るわ〜、あぁ〜極楽♪」
久しぶりのお風呂を堪能して私は部屋着に着替えた。
そしてふかふかのベッドにダイブした。
「あぁ〜、カチコチの冷たいベッドよりも天国ぅ……」
貴族時代は当たり前に思っていたけどこうして普通に暮らせるってなんと幸せなことなんだろう、とつくづく思う。