悪役令嬢としての私は終わりだそうです
「これよりシーズリック家の処刑を行う!」
ここはバイメリン王国の中央広場、そこに断頭台が3台置かれていた。
号令と共に罪人服に手を縄で縛られ父親と母親、そして私フローラ・シーズリックが引きずられて来た。
両親とも絶望的な表情をしている、多分私も同じだろう。
一ヶ月前にいきなり憲兵隊が乗り込んできて、よくわからないが賄賂とか内通罪とか言われ牢屋に放り込まれ更に1週間後には問答無用の処刑宣告。
どうやら我が家を良く思わない者達に嵌められたみたい。
私、エンセル王太子の婚約者だったのになぁ……、まさかこんな事になるなんて。
アレか、王太子の婚約者の立場をいい事にライバルになりそうな令嬢を潰してきた罰が当たったのか。
もしくは異世界からやってきた聖女に冷たく接して神の怒りを買ったのか。
どっちにしても私はもう諦めました、ていうか疲れました。
そもそも私は両親の命令で行動してきただけでそこに私の意志は関係無い。
私自身はエンセル様の事は別にどうでも良いし婚約者の立場なんて喜んで譲ってあげる。
だって周囲は敵ばかりだもの、一番の敵は両親だけど。
そんな事を思いながらも残酷にも現実はやってくる。
兵士に取り押さえられ私は断頭台に首をセットされた。
前を見たらエンセル様が聖女と一緒にこっちをニヤニヤしながら見てる。
その時、私は元凶を理解した。
この二人、というか私達はこの国に切り捨てられたのだ。
国は私より聖女を取ったのだ。
(そっか、私はこの国にとって悪役だったのね……)
「我が王国に栄光あれ!」
その掛け声と共に刃が私の首に……、
「……あれ?」
落ちなかった。
目を瞑っていたけどいつまで経っても痛みが来ない。
恐る恐る目を開けてみるとなんかおかしい。
私を見る観衆の動きが固まっている。
ていうか動かない。
憎き王太子や聖女、国王夫妻、隣で苦悶の表情をしている両親も動いていない。
私はゆっくりと体を動かした。
固定されていた体はいつの間にか動けるようになっていた。
「え?どういう事?」
頭に?マークでいっぱいになっていると空中に画面が現れた。
〈フローラ・シーズリック、貴女は『悪役令嬢』としての役割を完遂しました〉
悪役令嬢? 役割? 完遂?
よくわからない言葉に混乱している私に画面に説明が現れた。
なんでもこの世界の住人には役割が充てがわれていてその役割を完遂しない限り自分の意志とは関係無く物事が運んでいくらしい。
そして私は『悪役令嬢』でありこの処刑を以てその役割が終わった、という事らしい。
うーん、私はやっぱり悪役だったのか……。
という事はこれからは私の意思で行動できる、という事?
そう思っていると画面に何やら選択肢が出てきた。