表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夢シリーズ

繰り返される死の空間

作者: レスト

 閉鎖空間である。

 まるで脳をくりぬいて、ひっくり返したような部屋の形だった。

 全体は丸みを帯びて、いくつかの「神経」の壁で仕切られ。脳幹に当たる部分だけは突き上がっている。

 私は、彼女が死にたいと願うまさにそのことによって。

 その願いに呼応する形で、きっと閉じ込められてしまった。

 これは何なのか。罪か。罰か。

 並行世界の彼女が一つ死にたいと願い、実行するたび。

 一人の彼女が死ねば、私も一緒に殺されてしまう。

 だが次の瞬間には蘇っている。

 並行世界も無数にあり、私もまた無数にいるからだろう。

 私の記憶は連続している。痛みは残り、吐き気がし、胃は煮えくり返るが。

 しかし、狂うことは許されない。

 もう幾度になるかの死を与えられた後、私はついに復活直後に吐血した。

 胃液をすべて血に変えたような、嘘みたいな凄まじい量だ。

 でもそれだけが私を再び殺すことはなかった。

 胃が沸き立っている。喉がからからだ。思考の整理など付かない。

 とにかく苦しい。苦しい!

 殺人鬼がナイフを持って、部屋を歩き回っている。私を見つけると、のっぺらぼうが歪んだ。

 ふらふらとする足取りで、私は必死に逃げた。

 追い付こうともせず、しかし決して逃がさない速度で。殺人鬼は私を追い詰めていく。

 脳幹に追い立てられていく。その先端、最上部へと。

 いつしか殺人鬼はいなくなっていた。

 代わりに、沸騰した血の激流が脳室の底からいっぱいに吹き上がってくる。

 既に端まで追い詰められた私に、逃げ場などなかった。

 ついに猛る血の濁流が下半身を呑み込んだ。

 私はせめて脳幹の壁に捕まって、溺れないように耐えることしかできない。

 熱い。熱い。熱い。

 茹で上げられる肉体と焼かれる精神。

 今度は容易には死ねなかった。

 ああ、助けてくれ。

 この苦しみはいつまで続くのか。この咎に果たして終わりは来るのか。

 誰にもわからない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ