謁見
登場人物
ヌーザッカ 魔族の指揮官?敗戦の責任を問われる
スグゥーエン ヌーザッカの上官。閣下と呼ばれるだけあってかなりの権力者と思われる
ユージーン 綿あめのような形をしたモンスター?魔族?
「結界が破られたそうだな」
伽藍のようなだだっ広い空間に冷徹な声が響く。
男がひとり、巨体を苦しそうに折り曲げ跪いていた。この人物、明らかに声の主を恐れていた。
「や、破られたというより・・」
「というより?」
声のオクターブが上がった。
「い、いや。閣下の仰る通りで。あ、アグライドがえ、えらく期待外れで」
男の背中で巨大な緑色に染めあげられたポニーテールが揺れる。
「単なる歩兵戦闘仕様ではないと聞いていたが・・」
「あ、あの・・その件に関しては・・」
男は顔をあげた。
岩石をそのまま人に具現化したような容貌魁偉な風貌、その顔が歪んでいた。
「以前はアグライドの数量で圧倒し・・でも、昨今、いわゆる人海戦術が効かない・・人間どもも、そこそこ腕の立つ冒険者や勇者など集めだして・・」
「・・・」
声は聞こえてこない。
不気味な静けさに耐えかねるように、男は弁解じみた報告?を再開した。
「そ、その対策としてアグライドを自律志向のモ、モンスターに改良し」
「私の耳が不自由だと?」
「へ?」
男の背中が硬直している。
「け、決してそ、そのようない、意味じぇはな、な、にゃく」
男の返答は噛み噛みだ。
「アグライドの改良の経緯は別の者からすでに聞いている」
声のトーンがさがった。
「はっ」
男は慌てて頭を下げた。
「その改良済みのモンスター、憑依魔法さえ使える仕様なのに・・ほぼ壊滅の惨敗だった」
「お、仰せのと、とおり。情けないありさまで」
「その惨敗の原因を知りたくてヌーザッカ、貴様をわざわざ呼びだしたのだ」
声は平静で澱みなく響く。
「あ、はい。そ、そのげ、原因としては・・」
「しては?」
「実は、そ、その、あ、あの、あにょ」
デカい図体を縮こませ、ヌーザッカは見悶えている。
「原因はわからない、そうだな」
「ははっ」
ヌーザッカは平伏した。
「貴様、どれだけこのスグゥーエンの時間をムダにすれば気がすむ」
「お、お許しを」
この巨漢には、もうひたすら詫びるしか手がないようだった。
「ユージーン!」
切り裂くようなスグゥーエンの声。
次の瞬間、ヌーザッカの目の前に綿あめのような物体?がふいに現れた。
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