青鬼
登場人物
ヌーザッカ 魔族の元帥
三青鬼
ドゥームサップ 身長4m越えの青い肌の大男。スキンヘッド。シールド破壊が得意
ジズラル 生きものすべてに憑依、寄生する魔法トリックが使える女魔族。下品な言葉使い。青い眼帯で片目を覆っている。
ポルーショ 自称2047歳の意地の悪い老人魔族?相手の思考を読みとることができる。青い唇の持ち主。
「いったいコレはどういうことです?」
スキンヘッドの頭をなでながらブツブツ言うドゥームサップ。
この男はシールド破壊の達人だ。あの小僧のシールドもコイツなら打ち破れるかもしれない。
「こんな辺鄙なところにわざわざ呼びつけていただきやして」
ポルーショは口元を緩ませ、ニヤニヤしている。
この男はできれば呼びたくなかった。一種の思考盗聴のような魔法を使う。いや、はたして魔法といえるか?
自称2047歳。
あながち嘘とも思えない、顔の皮膚がたるんで目や鼻に覆いかぶさろうとしている。体力、運動能力は10歳並み、それでも乱世を生き抜いてこれたのはテレパシーのお陰だ。
「今ごろにはもう村を占領し酒盛りをしてるとか・・誰かサン言ってたねぇ」
口を開けば憎たらしいコトばかり──目の前のアフロ女をヌーザッカは睨んだ。
ジズラル──森羅万象ありとあらゆる生命体に憑依し、その能力を増幅させることにかけては一流の魔族だ。
「ビギィンドゥ村の攻略にかかってたんですけどねぇ」
いかにも面倒くさそうな態度をとるドゥームサップ。
「三日で陥落してましたよ。なんせ、あの村は金銀財宝ザクザク」
ポルーショはまだニヤニヤしていた。
「人間の可愛い女、ワンサカいるそうじゃない」
ジズラルは舌なめずりしている。
(お前、いちおう女じゃないか・・)背中に寒気がしてきた。
真っ青な肌をしたドゥームサップ、青い唇をもつポルーショ、そして青いアイパッチで片目を覆ってるジズラル・・。
三青鬼と呼ばれ、冒険者どもだけでなく魔族にも恐れられていた。三人そろって性格が奇天烈でなにしでかすかわからない、そしてなにより魔力が尋常じゃないという理由で。
「ビギィンドゥ村は後まわしになった」
ヌーザッカはハッキリ言った。
「ほうほう」
ポルーショは笑っていない。
恐らくいま、彼はヌーザッカの考えを読めていないはずだ。この男がどうやって他人の思考を盗むか定かでない。ヌーザッカは自分の周囲に軽く結界を張っている。ただ、それが功を奏しているのか否か・・まったく分からない。
「閣下直々の命令?」
ドゥームサップが訊いてきた。
身長4メートル89の外道だが、この三人の中でいちばんまともに会話ができる。
「否」
ヌーザッカは即答した。
「すると──」
ジズラルが意味ありげにこっちを見る。
「──元帥どのの独断?」
ヌーザッカは答えなかった。
「いいんですかねぇ、そんなことで」
ヘラヘラ笑うポルーショ。
「閣下の逆鱗に触れたらおしまいですよ」
嬉しそうなポルーショを睨みつけながらヌーザッカは言い放つ、「このひと月、魔族として初心に帰り、レーゲン渓谷で修行も重ねた・・。そのことを閣下もご存知。身体もキレ、魔術トリックも冴えわたっておる。私の判断、能力を信頼なさっておる」
「ま、元帥どのが言うならそうなんっしょ」
ジズラルにとってこんな話題はどうでもいいようだった。早く村を攻め滅ぼし、酒を喰らって大騒ぎしたいのだ。
「でもね、そういう決意表明とかワリとどうでもいいんだ」
ホントに無礼な女だ、ぶちのめしたくなる。
「ひひひ」
ポルーショの不気味な忍び笑い。
コイツ、オレの思考読みやがったか?──ヌーザッカは焦った。
まあいい、今度の戦いであの小僧を討ち果たせたらコイツらも用済みだ・・おっと、このバケモノにはこっちの考えが丸わかりかもしれんのだ、ヌーザッカは結界のバリアを強く意識した。
「とにかくっ!」
三人の青い異形どもに怒鳴った。
「明朝、進撃を開始する。わかったか?」
「ふぁあぁあぁぁい」
三人そろって間の抜けた返事をしてきた。
ヘンなとこだけ妙にチームワークが良いなコイツら──ヌーザッカは腹が立ってしょうがない。
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