療養
登場人物
河島真司 この物語の狂言回し、主人公。陰キャ。【聖魔の紋章】というRPGにハマってる
ミラ 赤いショートヘアーの西洋風の美少女。勝気な性格
お師さん/オカザキ 名前からするとミラの師匠か?仙人のような風貌。ヌーザッカとは旧敵
ヴァイス ヒゲ面の男。強面に限らず気が弱い。
「どう?」
横たわるお師さんのおなかにミラが手をかざす。
彼女はヒーラーでもある。
お師さんは瀕死の状態で年齢も年齢だから、もうダメだろうと諦めかけていた。が、ほぼ毎晩ミラが治癒魔法を試し、なんとか口が利けるくらいまで回復した。
ヌーザッカとの闘いの直後、急いでお師さんをこの小屋に担ぎこんだ。
そのとき冒険者が数人泊まっていて、いまにも死にそうなお師さんやあたふたするボクらの様子をみて、取るものもとらず逃げだしてしまった。
「口ほどにもないってああいう連中のことだな」
冒険者どもの不甲斐なさにヴァイスはよっぽど腹がたったようだ。
一時停戦みたいなことを大男のヌーザッカは言った。
だが、ミラもヴァイスも信じてないようだった。魔族の奇襲があるにちがいない、二人とも半ばそう決めつけていた。
人間と魔族とのあいだにどんな因縁があるのか・・転生してきたばかりのボクにうかがい知れなかった。
そんな状況だったから、役立たずの冒険者でもいないよりマシ、ヴァイスはそう考えてるみたいだ。
「あんなヤツらでもカカシより役に立つか・・」
ヒゲを弄りながらヴァイスは愚痴る。
どこか他人事みたいな口調はいつもどおりだ。
「士気のない連中にウロウロされるくらいならいない方がマシよ」
ミラは何ごともハッキリしている。
冒険者の生涯は過酷だ、どうしても女性は少ない。
その中で生き残ってきただけはある。
「うぅ・・」
お師さんが呻いた。
「お師さんっ!」
山小屋にミラの声がひときわ響く。
「す、スゴイな・・」
ヴァイスが啞然としていた。
「ルヴァンガの目いっぱいの魔法シールドを体内にとりこんだのに・・」
「ええ」と素直にうなずくミラ。
「正直、もう意識は戻らん思ってた」とヴァイス。
「お、お前たち・・」
「シっ」
ミラが唇に人差し指をあてた。
「静かにしてなくちゃ」
「喋るのも体力要るからな」
ヴァイスの口調はあいかわらず他人事みたいだ。
「こ、こんな・・ろっ・・ごっホっホ」
お師さんがせき込む。
「静かにしてって!」
ミラの声が鋭い。
「いろいろ心配だろうけど、今は身体を治すのが先決っだよなぁ」
「ヴぁ、ヴァイスっ!」
お師さんは大声を張りあげた。
とても病人とは思えない。
「わ、ワシの寿命・・生い先などどう、どう、どうでもい・・」
お師さんはそこまで言って、ガクッと枕に頭を落とした。
「大丈夫かしら?」
ミラがお師さんの顔を覗きこんだ。
「大丈夫だ。息はある」
ヴァイスの表情はあまり変わらない。
「はぁ・・」
ボクはため息をついた。
「余分な体力使っちまったな」
ヴァイスはヒゲをひたすら弄っている。
「昏睡状態に戻っちゃった」
ミラが肩を落とした。
「ン?」
山小屋の外が騒がしい。
「どうした坊ちゃん?」
ヌーザッカが坊ちゃん呼ばわりして以来、ヴァイスもボクのことを坊ちゃんと言いやがる。
「なんか騒がしい・・聞こえませんか?」
「いや・・」
全員耳をすました。
とたんに小屋の中が静かになる、かすかなお師さんの寝息が聞こえるほどだ。
「空耳じゃない?」
ミラは気にも留めていない。
「ルヴァンガ様はなんたって救世主だからな」
ヴァイスがボクをからかう、「聴覚もフツーじゃないってことで」
「やめてくださいよ・・」
皮肉野郎のヴァイスはほっとこう、ボクは戸口に向かった。
ドアを開ける。
このドア、たいそう古く建付けが悪い。ギィ~っとすこぶる嫌な音をたてた。
「やっほー♪」
「へ?」
ボクの身長の半分くらいの女の子?が立っていた。
「も、もふもふ?」
思わず口をついて出た言葉がそれだった。
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