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賭志

登場人物


河島真司 この物語の狂言回し、主人公。陰キャ。【聖魔の紋章】というRPGにハマってる


ミラ 赤いショートヘアーの西洋風の美少女。勝気な性格


お師さん 名前からするとミラの師匠か?仙人のような風貌


ヴァイス ヒゲ面の男。強面に限らず気が弱い。

「あらかた片付いたみたいね」


 右の戦闘区域で、ミラは火の玉をアグライドに投げつけていた。アグライドの魔力シールドが弱い。炎に包まれ、アグライドは息絶えていく。


「そうでもないみたいだぞ」


 左を受けもっていたヴァイスがミラに答えた。彼もほとんどのアグライドを倒していた。


「どういうこと?」


 怪訝な顔でミラが訊いた。


「向こう見てみ」


 ヴァイスがアゴをしゃくった方角になだらかな丘が見えた。


「なんだアイツは・・」


 その丘を、般若のような凄まじい顔をした人物?が駆け下りてくる、緋色の巨大なマントを風になびかせながら・・。

 思わず足が震えてしまった。


「ヌーザッカか・・」


 お師さんがボソッと言った。


「ヌーザッカ?ホントにアイツが?」


 信じられない、お師さんを見つめるミラはそう言いたげだった。


「魔族の元帥みずからこの最前線に?」


 ヴァイスは笑いだした。


「他人の空似ってヤツっしょ。図体ばっかデカいあんな魔族、見たことありますって」


 お師さんだけはなにも言わず、じっと戦況をみつめていた。 

 

 逃げ散っていたアグライドたちが息を吹き返した。自分たちの首領がみずから最前線に出陣してきた。それを見て気をよくしたのだ。

 アグライドたちは戦闘意欲を取り戻した。


「ミラっ!お前はアグライドにとどめを刺せ!」


 お師さんが大声で呼びかけた。


「はいっ!」


 きびきびした返事で応じるミラ。


「ヴァイスも同様っ!」


「あいよっ」


 ヴァイスはそう言うと突撃してきたアグライドを片手で吹き飛ばした。

 気圧をコントロールする魔法トリックだ。ヴァイスは敵を吹き飛ばしたい地点の気圧を一気に下げる。結果、生じた突風に敵はそこまで吹っ飛ばされる。

 飛ばされたアグライドは岩に叩きつけられた。

 真っ青な血しぶきがあがった。


「よしっ。ミラとヴァイスはそのままアグライドの掃討だ」


 お師さんが言った。


「お師さんたちは?」


 ミラが不安そうに尋ねる。


「ワシとルヴァンガはヌーザッカを、殺る」


 お師さんの目がグワッと開いた。


「そ、そんな・・」


 ミラは狼狽えていた。


「魔族の元帥よ。いくらお師さんのサポートがあってもルヴァンガにはまだ荷が重い・・」


「ハハハ」


 ヴァイスの笑い声。


「な、なにがおかしいのよ?」


 ミラはヴァイスに食ってかかった。

 彼女は手刀で目の前のアグライドをなで斬りにしていた。ほとんどの冒険者が使えるオーソドックスな、魔法レベルの低いトリックだ。魔法エネルギーの消費が少なくてすむ。

 おそらく、ヌーザッカとの対決に備え魔力を温存するつもりなのだろう。


「あの木偶の坊はヌーザッカ元帥様なんぞではない」


 言い終わるとアグライドをまとめて二体吹き飛ばした。


「オレがまだ死の谷でくすぶっていた頃にムダめし喰いで怪力だけが自慢の冒険者がいた。その野郎に瓜二つだよ。ヤツのな、名前だがなんていったか・・思いだせない」


 彼は余裕しゃくしゃくでアグライドを吹き飛ばし続ける。


「おそらく生活に困っていまは魔族の使い走りでもしてるんだろ」


 右手でヒゲを弄り、左手でアグライドを吹き飛ばした。


「図体デカくて顔が怖いけど、恐れるに足らん。ただのムダ飯喰いですから。まして今のルヴァンガなら」


 ヴァイスはボクに向かってウィンクした。


「その通り」


 珍しくヴァイスにお師さんが賛同する。


「ワシとルヴァンガはこのまま中央を進む。ミラとヴァイスは両翼に散開し雑魚どもを引きつけろ」


「で、でも・・」


 ミラは心配性だ。顔が曇っている。


「案ずるな」

 

 お師さんの表情が和らいだ。


「この救世主ヒーローに賭けたんだ、ミラ。それは長年のワシの冒険者のカンと経験・・それがそうせよと命じておる」


 重大な話をするとき、お師さんの表情はどこまでも優しくなる。


「ヴァイスっ!」


「あ、はい」


「了解したか?」


「ええ、まあ。でもアイツが噂のヌーザッカのワケない・・」


 ヴァイスはブツブツ言い続けている。


「ヤツの正体なんかどうでもよい」


 言いきるお師さん。


「ただ目の前の強敵を倒すのみ。肝心なのはそこだ」


 お師さんの言い分はいつも正しい。


「ルヴァンガ!」


 お師さんがボクを見る。

 真剣な表情だった。


「参るぞ!」


「はいっ!」


 ボクは勢いよく返事した。

「面白い!」「続きが気になる!」「更新がんばって!」


と、思ってくださったら、


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