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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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再びの激突!

遅くなってすみません!

 王都での祝宴から早1週間。

 あれから怒涛の勢いで物事が進み、王都は大いに盛り上がった。


 グスタフと第一王女の結婚式、ツェーザルとベティーナの結婚式、そして僕とフェルザー侯爵の交流関係がより着実に進んだことにより、また一段僕の領地の発展速度が上がった。

 まずは麦の大規模な輸入、そしてそれらの育て方を管理監督してくれる人材の派遣、色んなことを侯爵にはしてもらった。おそらく祝宴での無礼な態度の謝罪の意思表明なんだろう。

 こちらとしては素直にありがたい。特に今回の件は冒険者に大受けした。

 なぜならこの麦輸入のおかげでお酒の品揃えがものすごく良くなったのだ。

 やはりな。睨んだ通りだよ。僕の領地は辺境なので魔物が多く、それに比例して冒険者が多い。

 なので自然とお酒の需要は上がるのだ。そりゃそうだ、彼らにとっては一仕事一仕事が命懸けだ。

 故にその日生き残れただけでもお祝いものだ。だから必然的にお酒を飲みたくなる人が増えるのだ。


 出会いは最悪ではあったけども、フェルザー侯爵との出会いは僕の領地にとってとてもプラスに働いてくれている。


 ちなみにフェルザー侯爵の正式な名前は、


 ベルノルト・フェルザー侯爵だ。


 毎回思うんだけど多分この世界の人たちの名前ってめちゃくちゃドイツ語に似てるよね。

 そしてカッコいい名前が多い。やっぱりドイツ語は偉大だ。普通の単語もそうだけどなんでもカッコいい言葉が多いよね。

 皇帝は「カイザー」とか、黒は「シュヴァルツ」とかね。響きがとにかくいいよね。

 おっと、話がそれたな。とにかく今回は結果オーライということだな。


 さて、祝宴についての話はこの辺にしておいて、今日はいろいろとやることがある。

 まず初めに家族が全員僕の屋敷に遊びに来るのだ。

 もちろん貴族としてではなく、家族としてだ。なので対応も軽いものでいいだろう。


「まずは準備だね。その中で一番にすべきは……ああ、お酒だ。これは絶対条件かつ最優先事項だね。デニス、すぐに食料調達の係の者に蒸留酒を大瓶で2、3本ほど、ああ、多分アルヴェーヌがいいね。それと麦酒を中瓶で15本ほど、葡萄酒のラヴィ―サを1本お願いね。多分、今日はうちの酒豪二人のドカ飲み大会が始まると思うから」

「かしこまりました。ではそのように、迅速に手配いたします」

「いつも悪いね。頼むよ」


 そういうと、デニスは『とんでもございません、では手配に行ってまいります』と言って出ていった。


 本当に優秀でかけがえのない執事だよ。こういううちの家族に関する私的な用事まで完璧にこなしてくれるんだから。

 普通の使用人なら主からの仕事に不満はなくとも、主の家族の世話までさせられるのは結構嫌がるもの者も多いんだ。

 だけどデニスは嫌な顔一つせずやってくれる。感謝しかない。



 とまあ、そんなわけでいろいろと家族を迎え入れるために準備を始めていく。弟と妹への簡単なプレゼントも考えておこうかな。

 例えばディルクはもうバチバチの竜魔導師だ。戦闘系の魔法具なんかのプレゼントもいいだろう。アンナは小さいころから変わらず可愛い物が大好きだからその方向で。


 そんな感じでせっせと準備に励んでいると、


「アレン様、朝食の準備が整ったようですよ?」

「ああ、エレオノーレか。わかった、ありがとう。すぐに行くよ」

「お義父さまとお義母さまやディルクくんとアンナさんを迎え入れる準備ですよね?」

「うん、そうなんだ。いろいろ渡す物とかも考えているんだよね」

「まあ、素敵ですわね! ではわたくしも何か用意させてもらっても?」

「いいの?」

「ええ、勿論ですわ!」


 そんな感じで朝からエレオノーレとキャッキャウフフしながら話していると、


「貴方~、ご飯ができたようですよ~。あら? エレオノーレじゃない」

「ああ、ビアンカ。今アレン様とそちらへ向かおうとしていたところですの」

「そうだったのね。じゃあ、先に行って待ってますね」


 そういってビアンカは食堂に向かっていった。最近思うんだけど、ビアンカは本当に大人になってきたなと思う。

 エレオノーレは元からなので言わずもがなだったけど、ビアンカは初めて会った時はもう少し幼くてあどけない感じだった。

 だけど、最近ではハキハキ物を言うようになったし、徹底して淑女として僕を立てよう常に少し後ろに控えている感じだ。

 今となっては良き妻であり、エレオノーレと一緒に僕を支えてくれる存在だ。本当に人の成長をまじかで見るのって面白いよね。僕も負けてられない。

 もっともっと立派な貴族として陛下を、そしてこんなに素晴らしい娘さんを僕に託してくれたお義父さまをお支えしなくては。





 そうして3時間ほどたった頃、家族が僕の屋敷の扉をノックした。



「いらっしゃい。ようこそラント辺境伯家へ」

「おお、アレン。久しぶりだな。今日はお邪魔するぞ」

「お邪魔しますね、アレン。久しぶりにあなたに会えて私も嬉しいわ」

「僕も父上と母上に会えてうれしいですよ」


 まずは父上と母上が挨拶してきた。その次にディルクとアンナが前に出てきた。


「兄さま、久しぶり」

「お兄さまお久しぶりです!」

「久しぶりだね、二人とも元気にしてた?」

「まあね!」

「もちろんです!」


 二人とも元気があっていいね。よく親にとっては子供はいつまでたっても子供だって言うけど、今少し形は違えど何となくわかった気がする。

 もう二人とも大きくなって、ディルクはお兄ちゃんになってきてるし、アンナも綺麗なお姉さんになってきてる。

 でも二人を見ていると、不思議と小さいころの可愛い弟と妹のままなんだよね。


「それじゃあ、久しぶりにみんながそろったということで、お祝いの昼食会をしましょうか!」


 僕がそう宣言すると、たくさんの料理を乗せたカートを押して使用人たちが食堂に向かっていった。

 僕らもその後に続くように食堂に入った。


 そしてそこで真っ先に反応したのは……


「な、お、おい! アレン、このお酒はッ!」

「はい、父上と母上が好んでよく飲んでらっしゃったので、せっかくの機会ですし取り寄せておきました。僕も成人したのでこの間試しにいただきました」

「それで、どうだった?」

「文句なく絶品でした。酒豪の父上と母上が選ぶだけあります」

「そうだろう! そうだろう! それだけの値段をかける価値がある酒なのだ! よくそろえておいてくれたよ、アレン。最高の親孝行だ」

「そうねえ、まさかこれだけのいいお酒がたくさんそろってるだなんて壮観だわ~。ありがとね、アレン」

「喜んでいただけて良かったです」


 そう、今回僕が集めたお酒はかなり高価なものばかりだった。葡萄酒系のラヴィーサは前世で言うところの5万円相当の価格帯から入手可能なお酒だ。

 ヴァルナと呼ばれる蒸留酒も今回そろえたのだが、これも2、3万くらいだと思ってもらえればいい。麦酒も僕の領地で最近出回り始めたので、物価は少し高めだ。銅貨2、3枚、日本円で200円から、300円相当。かなりの祝い事でもない限り平民はまず手を出さない。ただそれでもだいぶ値段を下げて流通できるようにした方なのだ。

 しかし現状、命の危険はあるが手っ取り早く一度に大金を稼げる冒険者、商業などをやっていて成功し裕福な家庭、そんなところしかあまり普段酒に選ばれていないのだ。

 ただまあ、裏を返せばそれを呑むだけの出来事があれば普通の平民でも手を出してもらえるってことだ。だから今はまだこの値段で取引できるのだ。


 とまあ、そんな感じでお酒はかなりいいものをそろえた。

 すると、ディルクとアンナが、


「すごい、父上と母上が飲んでたお酒ってかなり高価なものだったよな? それをずらずらとテーブルに並べられる貴族って……」

「流石お兄様ですわ……。やはり年齢などは関係なく、爵位は爵位なのですね。辺境伯という貴族のすごさを改めて実感しましたわ~」


 などと褒めてくれている。まあ、確かに彼らの言う通りだ。普通の下位貴族、男爵以下の貴族ならばたかが一祝宴程度でこんな豪勢なお酒は食卓には出さない。

 曲がりなりにも貴族なので買いそろえることはできるだろうが、大きな披露宴をやるっていうような大行事でもない限りこんな高級なお酒は出さないだろう。

 ちなみに今回、取り揃えた中で一番高価だったのは葡萄酒の一つで、値段は銀貨8枚。つまり……ボトル一本8万円だ。

 

 でも、久しぶりに家族をもてなそうとするんだ。できるだけ喜んでもらいたいじゃないか。しかも家族だから忘れがちだが父上はれっきとした子爵家当主だ。

 しかもたくさんの派閥貴族を抱えるだけの貴族だ。正直影響力や発言力だけなら伯爵級だ。

 それほどの大貴族をもてなすのに適当なことなどできるわけがない。

 だけど、ディルクたちはまだそこまで貴族社会に本格的に出ているわけではないのでそういう暗黙の了解的なことは分からないのだろう。


「確かにね、結構な額になったよ。でも両親が喜んでくれるのならこの程度の出費、どうってことない」

「ほんと、凄いよ兄さまは」

「ええ、さすがです」

「ありがとう」


 そんな会話をしている僕たちの前では目をキラキラさせて会話をしている父上と母上がいる。それをほほえましげに眺めていると、ディルクが、


「兄さま、ちょっと頼みがあるんだ」

「うん? 何だい?」

「この食事が終わった後でいい……僕と、もう一度戦ってくれませんか?」


 ディルクが真剣な目と言葉遣いで決闘を申し込んできた。なるほど、さっきから少しディルクだけ落ち着かない感じだったのはそのためか。

 しかもあのころからだいぶ時間が経ってからの申し込みってことは……


「当然、以前のような魔法師としての戦いではなく……竜魔導師としてだよね?」


 僕がそう尋ねると、


 コクリッ


 ディルクは真剣に頷いた。そうだね、久しぶりに兄弟で戦ってみるのもあるくないかもだね。アンナが心配そうな目をしているので頭をなでながら落ち着かせてやった。


「いいよ、やろう。勝負は一本。相手に有効打を入れ、戦闘不能にさせた方が勝ち。これでいいね?」

「はい!」


 元気よくディルクが頷いた。さあ、これでディルクとの戦いは決まったわけだけど、まずは腹ごしらえだ。

 僕はそう二人に伝え、席に着いた。

久しぶりの家族回です!

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