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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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1年後

 僕が魔将帝・色欲のアリシアを討伐してから1年が経った。

 あれからかなりの情勢変化があった。まず一つ目が悪魔と天使の勢力図に変化があったことだ。

 魔将帝と聖天将の数がまた変わったのだ。僕が魔将帝一人を討伐した後すぐに悪魔が本格始動し、聖天将を一人討った。それにより勢力図は振出し状態に戻った。だがその後すぐに魔将帝側が快進撃を続け、聖天将・風嵐のサルネリエに続き、砂塵のガルガンティーも討たれたのだ。

 今回も討伐作戦に参加していたのはゼローグだったのだ。そして彼の適性は風である。つまり大地の魔法はまだしも彼の得意技である砂を用いた攻撃はあまりにも相性が悪かったのだ。

 ほとんどの攻撃は拮抗はするものの最終的には散らされてしまった。たいしてヴェルノートはこの時の討伐作戦ではあまり役に立たなかった。

 こちらも天使側と同様の理由である。大地と砂に対し、雷ではあまりにも相性が悪かった。ほとんどの攻撃は地面に流されてしまった。

 故に近接戦闘などで対抗したのだが手柄はほとんどゼローグに持っていかれた。


 ここまで聞けば悪魔の快進撃がものすごいように聞こえるかもしれない。だが現実はそう簡単ではなかった。

 それはどういうことかというと、悪魔側にもまた犠牲者が出てるのだ。怠惰のべネルタだ。彼女は完全な戦闘特化の悪魔なのだが運悪く聖天将三人と遭遇してしまい、討伐されたのだ。

 そしてその後悪魔側に聖流のシエラが討たれた。

 その結果魔将帝5名、聖天将4名という構図になった。今後も数は変動していくと思われる。


 というよりもなぜ僕がこの情報を正確に把握しているのかというと、僕の私兵で強い冒険者を何名か送り込んでいたからだ。

 勿論遠くから偵察する程度にとどめていたよ。なので情報を得ることができている。


 それからほかにも変化がたくさんあった。あれからダミアンのところに悪魔がいきなり10体ほど出たんだけど、そのすべてを返り討ちにしたようだ。

 そしてその功績により、ダミアンは男爵に陞爵した。金剛一等勲章に二等勲章も授与された。


 さらに僕たちは成人した。ピチピチの15歳だ。現代日本なら中学3年生だし、ようやく3分の1くらいは大人として見られるかな? って程度だけど、この世界では完全な大人として見られる。

 喫煙も飲酒も賭博もその他大人にならないとできないようなことがすべて許される年齢だ。それだけではない。もっと大事なことができる年齢になってくる。これは特に貴族に言えることだな。


 家督を正式に継げるようになるのだ。まあ、実際には親が認めるかどうかが重要なのでその時に継げるかどうかは自分次第だ。

 大抵はもう少し大人になり、父親も年を取ってきて交代という形が一般的だ。

 だが、アデナウアー家、ベーレンドルフ家、ブラント家は即行で家督交代が行われた。これはつまり……ツェーザル、グスタフ、カールが三人同時に貴族になったことを意味している。

 特にグスタフは一気にこの国の頂点クラスに上り詰めたことになる。まあ、実際には大公や王族がいるのでトップではないのだが、それでもこれからのグスタフの一言一言は非常に重く大きなものとなる。何せ彼が一言何かを言えば大抵の貴族が跪いて頭をたれ、了承の意を示すくらいの影響力なのだから。これはグスタフだからという意味ではなく、公爵家というのはそれだけ強大な力を持つ家なのだ。


 すぐに言うことを聞かせることができないのは同格の公爵家か、一つ下の階級の侯爵家もしくは辺境伯家くらいであろう。

 なので伯爵家以下ならばよほどの有力貴族でなければすぐに媚へつらってくるだろう。


 彼の家の影響力で言うことを聞かせられないのはバルツァー公爵家、その他公爵家数家、ベッカー侯爵家、僕の家、アーベントロート伯爵家、シュナイダー伯爵家、ベッケラート子爵家、シュミット子爵家、アデナウアー男爵家、ミュラー男爵家くらいだな。

 どの家も歴史ある名家か、多大なる功績により他の公爵家や王族に目をかけてもらってる家だ。


 だがそれらを考慮してもベーレンドルフ家の発言権は圧倒的だ。故にこれからはベーレンドルフ家は僕の良き味方となってくれるだろう。

 実際グスタフは当主になった瞬間、父親はとりあえず保留の立ち位置で(有能なので下手に処分できないから)母親は相手にしないスタンス。その他使用人たちは大半がクビとなり、グスタフは新たに新規雇用を出した。歴史ある名家が一気に人手不足になり使用人を募集したのだ。それはもうすさまじい倍率だったらしい。

 そして派閥の貴族たちとも完全に絶縁したそうだ。その後に納得できなかった貴族が数名グスタフを暗殺しようと刺客を送り込んできたのだが、逆にとらえられ、貴族家数家が関わっている証言をとられてしまい、数日後には公爵に殺人未遂事件を起こし、不敬罪として何人かの貴族が公開で絞首台に”囚人”として立つこととなった。


 僕は素直にこう思う。


(容赦ねぇ……本当に味方でよかった~)




 


 そして僕の方は今何をしているのかというと、これほどまでに人類に有利な状況で情勢が動いているのは僕のおかげだ~ということで王都でパレードと同時に王城にて祝宴が開かれることとなった。

 そこに呼ばれたので、今僕はゴトゴトと馬車に揺られながら王都に向かっている途中だ。



 途中の町などでもとても手厚い歓迎を受けた。そしてその村や町の長、もしくは領地の当主貴族。

 彼らからは尊敬と同時に畏怖もされていた。まるで絶対不可侵のものを見るような眼で。ただそれは恐怖政治などを敷いている国王や皇帝に向けるような恐怖一心による目ではなく、どちらかというと、この間も言われたが僕を英雄として扱っているからこそ、軽々しく接触するのは恐れ多い、といった感じのものだ。

 少し恥ずかしい気もするが慣れたし、それに悪意を向けられるよりこういった好意的な感情を向けられる方が百倍良い。

 僕も彼らの期待を裏切らないようにって決意を再認識できるからね。

 それに僕を丁重に扱いすぎるのには尊敬とかといった感情以外にも訳があるのだ。これはどちらかというと貴族の方がその傾向が強いのだが、僕が陞爵して授かった爵位が侯爵位ではなく、辺境伯位というのも大きいと思う。

 これはどういうことかというと単純に持つことのできる力の差だ。ここで今一度貴族の爵位についておさらいしとこう。


 まず一番上から、


 王族/皇族

 (大公位) これに関しては設置されているのは大国であることがほとんどだ。

 公爵位

 侯爵位/辺境伯位 辺境伯は有事の際には少し変動する。

 伯爵位

 子爵位

 男爵位

 準男爵位 ここから下の爵位は規模の小さい国ではあまり設けられていない

 騎士爵位


 といった感じ。いくつか詳細におさらいしたが、要は一般的な王国や帝国ではあまり見かけないがこの国には今確認した爵位は全てある。それほどまでにアンドレアス王国というのは大規模な国なのだ。

 そして大公位まで設けられているのはそれだけ王族の血筋を無下にはできないという考えの表れだ。

 どういうことかというとこの国の王族は強大すぎて今までに一度も正統血筋から王位が交替したことがないのだ。よって陛下の名前はヨアヒム・アンドレアスだが正確には、


 ヨアヒム・アンドレアス21世だ。血筋継承の確実性が半端なく高いのだ。そして今までの王位継承者は皆全員がしっかりと正妻と結婚し、長男を設けて正しき継承を続けてきた。

 故に、偉大過ぎるのだ。この国の王族は。なのでその血筋の人間は皆等しく優秀であり、適当にあしらって適当に爵位を与えるにはあまりにも勿体ない人物たちが多すぎる。なので国王に一番近く、絶大な力を持つ大公位を正式に爵位として設けているのだ。

 国王陛下となる人物以外で継承順位が近い男性王族は皆大公位を与えられる。低くても絶対公爵位だ。

 


 そういうわけで公爵位や大公位を持つ貴族家の人たちがそこまで崇められたりするのは分かる。偉大な王族だからな。

 だけどなぜいち貴族でしかない僕がそこまで丁重に徹底して扱われるのか、それは辺境伯は有事の際には一気に権力と発言力が圧倒的になってしまうからだ。

 辺境伯という名前から想像できると思うけど、要は僕らは辺境地帯、具体的には国境付近や未開の僻地などに就任する。

 そうなると近隣諸国や他の地域とのいざこざが発生した時に真っ先に対応するのが僕らなんだ。しかも場所は辺境、王族が到着するまで時間がかかりすぎる。ということでそういった有事の際にはそれらを解決するための全権が僕ら辺境伯という貴族に与えられる。いちいちそんな僻地に王族が行ったり来たり出来ないからね。

 つまり、公爵位や大公位をすっ飛ばして一気に準国王ともいえる立場にまで地位が上昇するのだ。一応は同格とされている侯爵位だが実際には比べ物にならない。

 なのでよほどの大バカ者でない限り辺境伯にケンカを売る者はいない。こういった制度は前世の貴族制ともかなり似ていると思う。

 前世でも辺境伯は絶大な力を持っていたからな。


 とまあ、そんなわけで僕はそういった重大な役目を担う際にも信用して全権を与えてもいいだろうと国王陛下より直々に判断された大貴族と言うことになる。

 故にこういった対応をされるのだ。なので僕以外の辺境伯がこれらの町に訪れても同じ対応をされただろう。

 彼らもそれだけの圧倒的権力を与えても大丈夫だと判断された貴族だからね。

 お家の数は僕の家を含め4家だ。国の四方の辺境を治めている。僕らは全員で四大辺境伯家なんて呼ばれたりしてるらしい。

 恥ずかしいけど少しカッコよくもあるね。そういうの。



 そんな風に改めて自分の上り詰めた地位の高さに驚きながら馬車を進める。

 そして数日後、


「ようやくついたか」

「はい、今回の主役は旦那様ですので後ほどお召し物の最終確認も致しましょう」

「頼むよ」


 デニスとそんな会話をしながら僕らは王都の門をくぐったのだった。

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