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戦闘開始!

 とりあえず状況は良くないな。実はさっき奇声を発していた悪魔、一人だけと思いきやもう一人超絶無口な仲間がいるのだ。さっきから全然しゃべらない。つまりこの場には僕とルシファーの力を合わせてディルクたちを傷一つつけないでしかも前方で剣を構え、悪魔をけん制してる騎士さんも守らないといけない。なかなかハードだ……


「ルシファー、他のみんなも頼むね?」

「任せろ」

「「「「キュウ! キュウん! キュキュ! ガウ!」」」」

「よし行くか!」


 すると僕の後ろにいた二人が、


「僕らは? どうするの?」

「私はまだあぶないから、こうげき魔法? はおしょわってないでしゅ!」

「そうだね。ふたりは待機だ」

「で、でも」

「ディルク、今君のやるべきことは何? 意地を張ってあいつらに立ち向かうこと? 違うよね? 君には守らないといけない存在がいるよね? 僕にもそうだ。でも僕一人だと限界がある。だから君にお願いするんだ」

「そ、そうか。アンナを守らないと!」

「そゆこと。君はすでに一通りこうげき魔法も習ってるんだ。できないとは言わせないよ?」


 そういうと、ディルク本来の負けず嫌いな性格が復活してきた。実はさっきから二人は悪魔たちが放ってる、なんかとてつもなく濃密な魔力圧? のようなものにおびえてたんだ。実際僕にもピリピリと伝わってくるものがある。不思議と怖くはないけど、油断はできないとわかる。


「もちろんだよ! 兄さま! いつもいつも兄さまにだけかっこつけさせないぞ!」

「じゃあアンナを頼んだよ」

「うん!」


 そういう風に作戦会議をしていると、


「ん? なんかそこの人間の騎士以外にもよさそうな獲物が何匹かいやがるな。おもしれ~。しかもこれはなんだ? そこのちびっこいのからなんかエゲツネ~気配がすんだけどよ? お前何もんなわけ?」


 やはりきずいたか。僕たちにも気づいて、しかもターゲット追加みたいに言ってる時点で逃がす気はなさそうだな。


「まあいいや、そのうちわかんだろ。まあ、俺様にとっちゃ、長く生きてる上位竜とかでもお遊び相手にすらならんからな。せいぜい楽しませてくれや」

「……」

「おめーは安定で無口だなおい……」


 今あいつなんて言った? 上位竜ですら遊び相手にもならないだって? ツェーザルにあれだけの力の変化を与えた下位竜よりも上位の竜でも相手にならないって……やばすぎだろ。いくら僕が神位竜5体従えているって言っても、そのうち4体はまだ子供だし。今回は彼らには力の供給だけしてもらおう。


「お? 坊主、やる気になったのか?」

「うん。どうやら君たちに勝たないと、ここにいる僕の大切な人たちやそこの騎士さんも助からなさそうだし」

「な、何を言っている!? 君は早く逃げたまえ! 子供がどうこうできる相手じゃない!」


 そう言って焦る騎士さんに対して悪魔が、


「まあ、お前でもどうこうできねーけどな?」

「ぐう……」


 事実を突きつけられ言葉に詰まる。だけど今は悠長に話している暇はないので、


「まあ何とかして見せますよ」

「いやだから……」


 と騎士さんがなおも言い募るが、お構いなしだ。というわけで僕は体全体に身体強化と結界魔法を張り巡らせ、いつでも転移にも入れる状態にした後、とある魔法を放った。

 その魔法の名は


「くらえ、獄炎乱舞(ごくえんらんぶ)!」

「来たか! って……おいおいおいおい! 何じゃその規模はーーー!」

「え? 普通に魔法を打っただけだけど? ほら、防がないと……死ぬよ?」


 悪魔はその言葉に怖気(おじけ)が走った。そもそもあの子供のはなった魔法から感じる魔力が冥界での争いに数百年生き残り続けた上位悪魔たちの放つそれと同じなのだ。いや、下手をすればそれ以上の……悪魔は破壊衝動に駆られる時がある。なのでその発散に同族同士で殺しあうこともあるくらいなのだ。

 この悪魔は中位悪魔でそこそこ強いが上位悪魔には及ばない。


 そこで悪魔は初めて気が付いた。自分は手を出す相手を間違えたと。


「くそ! ふざけるな! 悪魔であるこの俺様がこの程度の魔法に!」

「そんなこと言う割には随分と余裕なさそうじゃない?」

「ははは、お前さんそれは見間違いってもんよ。こんなもの! ふん!」

「おぉ、マジか……」


 悪魔は思いっきり体に身体強化魔法をかけて黒紫にうごめく炎の乱舞を逸らすことに成功する。


「はあはあ……どうだこんちきしょう! はあはあ……じゃあ次は俺様の番だ! っておい!」

深淵(しんえん)連爆陣(れんばくじん)

「この魔法なら防げるか! 永久氷獄(えいきゅうひょうごく)


 すると、アレンたちを取り囲んだ氷の牢獄(ろうごく)が寡黙な悪魔の魔法を完全に防いだ。


「ふざっけんじゃねえぞ! 何で伝説級の魔法連発してケロッとしてんだよ! 普通に意味わかんねえよ!」

「……!」


 そこでようやく寡黙な悪魔も表情を変えた。そう。僕はさっきから伝説級の魔法を連発している。この世界の上級魔法はほとんどオリジナルなので、魔法の種類で階級を図ることはできない。じゃあ何で測るかというと、魔法は常に魔力を放っている。その魔力量を感じ取って規模や階級を判断するのだ。

 そしてこの世界の魔法は威力別に階級が存在する。下から、初級、中級、上級、伝説級、帝王級、災厄級、禁忌(きんき)級といった感じに。そして当然階級が上がると威力が上がるが、当然消費魔力もアホほど増える。


「そうかな? 今ので2割くらい減ったけど、まだ全然いけるよ?」

「何!?」

「……!?」


 当然嘘である。実は大量に竜たちと契約したおかげで僕の魔力は自分でいうのも嫌だけど、人外だ。

 なので、伝説級程度なら使って2、3分あれば魔力量は元通りだ。


「じゃあ、そろそろ消えてもらおうかな? 実はさっきから後ろで僕の妹と弟が泣いてんだよね。でさ、僕、家族大好きなわけ。 だからさあ……覚悟はいいよね?」

「く、くそったれ!」

「撤退するか?」

「逃げるわけねえだろ! 俺たちは悪魔だぞ! 殺し合い上等だ!」

「よし」


 そこまで悪魔たちが話したと同時に僕は動き出した。


 ヒュン! ズザ!


「へ? ぐ、ぐあ! 腕が! いつの間に!?」

「……!?」

「どうしたの? 今のもしかして見えなかったの? じゃあ話にならないね」


 そう言ったのと同時に僕は一気に魔力を解き放った。すると、悪魔たちは一瞬で縮み上がった。


「そうだな、ルシファー。この魔力を放つの、『英竜闘気』なんてどう?」

「む? 名前か? 確かにいいではないか。それにしよう」

「嘘だろ? 何だよこの魔力圧、これじゃまるで、まるで七つの大罪の方々複数名を同時に前にしてる見てえじゃねえか!」

「あり得ん!」

「もういいかい? 僕の兄妹たちを怖がらせなければ、僕たちに手を出さなければ、道半ばで命を落とすなんてこともなかったのにね? じゃあね」

「お、おい!」

「……!?」


 そういうと僕は、彼らの周囲だけ伝説級の結界で覆った。そしてその中に『万有引力(ばんゆういんりょく)』の魔法を放り込んだ……


「ふう。終わったね」

「そのようだな」

「兄さま! なに今の魔法!? 全部すごすぎなんだけど! とりあえず兄さま怪我無いの?」

「お兄様、だいじょうぶでしゅか?」

「うん二人とも大丈夫だよ。それとディルク、魔法に関しては僕の個人作だよ」

「スゲ~」

「こらこら口調が崩れてるぞ?」


 二人とも脅威が去った瞬間元気いっぱいだな……。とりあえずみんな無事でよかった。そんな感じで安堵していると、


「君は、いったい何者なんだい?」

「あ、えーとあなたは?」

「!? これは失礼した。私はコルネリウス・アーベントロート。王家直属近衛師団副隊長をしているものだ」


 ん!? 近衛師団副隊長!? つまり、伯爵家以上の大貴族は確定で、なおかつ、騎士や魔法師で功績を挙げた人ってことだよね? そんな人にあなたは? って……あれ? 僕普通に首飛びません?


「も、申し訳ありません! 大貴族のお家の方でしたか! そうとは知らず、無礼な態度を。誠に申し訳ございません!」

「い、いや、そんなことは気にしなくていい。というよりも、君にお礼を言いたいんだ。この後お時間いただけないだろうか?」


 お礼? つまり不敬とは取られなかったってこと? よかった~。この人がいい人で。


「もちろんでございます。わたくしの家にご案内いたします」

「ありがとう。君は貴族の家の子だよね? お名前をうかがっても?」

「はい。わたくしはアレン・ベッケラートと申します。よろしくお願いいたします」

「なんと!? 君はあのベッケラート男爵のご子息か!? これは、なんて運がいいんだ」

「どういうことなのでしょう?」

「まずは君の家に案内してくれないかな? 事情はベッケラート卿と一緒に話すよ」

「承知いたしました」


 こうして奇妙な出会いから、アレンとコルネリウスたちは知り合うことになるのだった。


戦闘描写はやはり難しい……。至らない点もあるかと思いますが、読んでいただけると嬉しいです。

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