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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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とある準男爵が仲間入り?

 エレオノーレとビアンカの二人と久しぶりのデートを楽しんだ日から一週間。

 僕の屋敷に一通の手紙が届いた。

 手紙はまさかの王印(おういん)が……押印(おういん)されてる! なんちゃって。


 ……はいすみません。フザケマシタ!


 まあ、本当におふざけはこの辺にして、さっそく内容の確認だ。


 ふむふむ。


「つまり内容としては、準男爵位の者を僕の領地の近くに領地を与えて派遣するから何かあった時は面倒を見てやってほしいということか。でもわざわざ陛下かが直々に僕に報告することかな? えーっと何々? 僕にも関係のある人物だから一応連絡したってことらしいけど。つまりこれってはなからこの準男爵の貴族を僕の派閥に引き入れさせる前提で話してるってことか。つまり僕の味方として僕のそばに置いておきたい人物ってことか」


 誰だろう?





 そして数日が経ち、僕の屋敷にお客さんが尋ねてきた。

 この間の人かな? そう思って通すようにデニスに指示するとデニスが執務室の扉を開けた。

 するとそこには僕のよく知る人物が立っていた。


「ダミアン!」

「よう、久しぶりだな」

「久しぶりだよ本当に。元気にしてた?」

「ああ。おっと、ここへは仕事で来たんだった。それにこれからは貴族同士での仕事だ。少しやり取りが硬くなってしまうな」

「ああ、そういうことも考えないといけないのか。貴族って何かと作法にうるさいからね」

「ああ。だからこれから仕事の時はしかるべき対応でやり取りをさせてもらう。それ以外の私的な時間ではいつも通り、これでどうだ?」

「異議なし」

「よし、決まりだ。それじゃあ、改めまして。ダミアン・アードラースヘルム準男爵にございます。ラント伯爵、これからどうかよろしくお願い申し上げます」


 おお、ダミアンが敬礼と敬語を使ってる! なんかむず痒いし違和感しかない。仕事以外では絶対普段の態度にしてもらわないと。


「うん、よろしく頼むよ。我が領地も最近発展と成長を見せてきている。他領より比較的新領地ではあるがそれなりの支援などはできるだろう。また何かあれば言ってくれ」

「お心遣い、感謝申し上げます」

「うん」


 こうして一通りの挨拶は終わり、僕も仕事がひと段落してこのあと一時間ぐらいで終わらせられる量に仕上げてあるから、あいさつの後はダミアンとゆっくり談笑した。





 ダミアンから聞いた話なのだが、これからは天使と悪魔との本格的な戦争に備えて幅広く師団を展開できるようにしたいらしい。

 そういう訳でダミアンをこっちによこし、僕とダミアンという師団関係者を固めて、僕の領地に副本部、ダミアンの領地に第6支部を配置する予定らしい。

 ダミアンの支部が第6という名前なのはほかに既に本部と副本部を除き、5つの支部が他貴族の領地に点在しているからだ。

 思ったより少ないと僕は感じたがこれは仕方ないとも思う。

 そもそも王国は強国だ。なのでむやみに攻めてくるバカな国はいない。そのうえ今回のように国家が総力戦で挑まないといけない可能性のある敵は今まで出現したこともなかったし、聞いたことがあってもおとぎ話くらいにしか信じられていなかった。

 悪魔と天使がいい例だ。

 なので今まではそこまで本格的には国家戦力を各地に設置していなかったのだ。

 だが実際にその存在が現れてしまった。


 それに対処するために、僕の副隊(大隊より規模の大きい隊のこと。団長が指揮するのは本隊)は全て僕の領地に預けますという話だ。

 王都には父上もいるし、最近真騎士という新たな職業に就いたコルネリウスさんもいる。

 しかもコルネリウスさんは数年前に王都近隣の都市を責めてきた「魔獣レーヴェ」という獅子のような魔獣の素材をもとに作られた”真剣カイザー”という宝剣を陛下から賜っている。

 魔獣レーヴェはコルネリウスさんが倒した相手だ。竜の階級で言うと上位竜くらいの強さがある。

 それを彼は単独撃破したのだ。


 まあ、そんなわけで強い人はいっぱい王都にいるから他の町とか都市にもより多くの師団を派遣しようって話みたいだね。


 その中でも最近特に活躍が華々しく、かつ僕と仲もいいということでダミアンがこちらに派遣されてきたようだ。


 なるほどね。僕が予想したような理由もあるだろうけど、こっちの方が大きな理由かな?




 とりあえず、新しいお仲間の歓迎話はこのくらいにして、今回王都で開かれる第一王子殿下の王太子への立太子の儀が執り行われるので、それに参加することになっている。

 開催は一週間後。なのでそろそろ領地を出る準備をしないといけない。

 そしてもちろんパーティじみたものでもあるので妻たちも参席だ。


「あ~あ、こうやって幸せなことが続く毎日が未来永劫約束されればもっと気が楽なのに……」


 自分で言っておきながらそれは無理だろうなと思っている。まずあの邪魔な悪魔と天使だ。そしてそれがなかったとしても、今度は人間同士で戦争などと言ったことになる。

 我らがアンドレアス王国は軍事大国でいくつかの領土を併合してはいるが、それらはすべて防衛戦争だ。侵略国家という訳ではないので我が国は王国なのだ。帝国ではない。

 だがそれでも強大な力を持つと周りから嫉妬や反感を買う。よってそれらが理由で仮に今回の件を乗り越えて決着がついても今度は人間同士で争いあうだろう。

 その時も駆り出されるんだろうな~。


 そんな憂鬱な気分になっていると、執務室へドタドタと走りながら向かってくる足音が聞こえた。


 何事だ?


 そう思った瞬間に思いっきり扉がノックされた。


「どうぞ~」


 軽く返事をする。そんなに大した要件ではないでしょ? という意思表示だ。いやそうであってほしいという意思表示だ。

 だが現実はいつも僕の願いを聞き入れてくれないのだ。


「失礼します、旦那様!」


 デニスが息を切らしながら入ってきた。


「どうしたの?」

「隣街が天使と悪魔の戦闘に巻き込まれています! 今早馬で情報が届きました!」


 ほらね? また面倒なことが起こった。もういい加減にしてくれよ……そう思う気持ちを抑えながら隣街へ向かう準備をする。

 今はまだ副隊が到着していないので僕の私兵を連れていく。ただ状況によっては途中の町で待機させたりするかもしれない。

 敵が上天や天使長以上ならはっきり言って金剛級冒険者や隊の中でも遠距離の魔法が使えて大隊長以上の実力がないと厳しい。

 いや、大隊長クラスでもすごい高位の魔法師や魔法騎士じゃないと無理だろう。騎士でも真騎士に選ばれるくらいでないと話にならない。


(とにかく時間がない。急ごう)



 僕は急いで準備をして屋敷を出て隣街へ出陣した。




 出陣して半日ほど。本当に近い場所で戦闘が行われていたんだな。


 あたりからは逃げ惑う人々の悲鳴や断末魔が鳴り響く。嗚呼……本当に忌々しい。

 なぜ彼らはこれほどまでに身の程知らずで自分勝手なのだろうか。冥界や天界で大人しくしていればいいのにどうしてわざわざ迷惑をかけに来るのかが全く理解できない。

 


「ははは! 久しぶりにこの俺が破壊衝動を発散させられる相手に出会ったぜ!」

「黙りなさい、ゴミムシが。貴様の行動は目に余る。我ら天使にとって貴様らは邪魔な存在なのだ」

「ああ、羽虫さんよ。そりゃこっちのセリフだわ」


 ひとしきりお互いを罵り合った後、彼らはまた戦闘に突入する。

 本当に勘弁してほしい。こっちは新興伯爵家でいろいろとやることが多くて大変なんだよ。

 ようやく家臣も集まってきて、私兵も集まってきて、領地内の総生産も上がってきてって安定し始めて喜んでいたところなのに……しかも自分たちでやるだけならどうぞご勝手にって感じなんだけど彼らは僕ら人間を巻き込むじゃん?

 マジで迷惑。ほんといい加減にしてほしい。


 僕はとりあえず彼らの間の空間に伝説級闇魔法、万有引力を発動させた。

 すると彼らは本当にあっけないほど簡単に、抵抗する暇もなく吸い込まれた。

 まあ、お互いに猛スピードで突っ込んでたわけだからね。いきなり目の前に闇魔法を発動されたらそりゃ逃げ出せないよ。


「よーし。邪魔は掃除した。早く帰ろうか」

「かしこまりました」


 今では私兵として一番の家臣、ボニファティウスが返事をする。


 その返事に満足し、踵を返そうとするとものすごい男の子の大事なアソコまで縮み上がりそうなほどの悪寒が走った。


「あら~? こんな所に可愛い子発見~! ねえねえ、お姉さんとあんなことやこんなこと、と~ってもイケナイこと、しない?」


 そんな明らかに男性を誘ってるとしか言いようのないセリフで話しかけてきた存在がいた。

 は? 話しかけられるまで気づかなかった? いや、そうじゃなさそうだな。何かコイツの特殊能力か?

 とりあえずこいつはヤバい。今の僕でも互角にやれるかどうかといったところか……。



 とにかくやるしかない。


(ルシファー)

(ああ、分かっておる。久方ぶりに骨のありそうなやつだな)

(他のみんなもお願いね)

(任せてよ!)

(私の腕の見せ所ね!)

(とにかく天使と悪魔とやらはアレンのこと悲しませるから嫌い。絶対に倒す)

(いつでも準備は万端だよ)


 他の竜たちも準備OKみたいだ。


(じゃあ、行くよ!)



「悪いんだけど、お姉さん。僕たち忙しんだよ。悪いけど暴れたりしたいなら自分たちの住処でやってくれないかな?」

「うふふふ。面白い子ね。益々気になっちゃう。こういう子も久しぶりで悪くないわね!」


 なんか余計に気合を入れられてしまった。


 はあ……もういいや。仕方ない今回もひと暴れしますか!


 

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