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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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王都への凱旋、そして報告

 僕たちは隣国で見たあの光景をいち早く報告するために王都を目指して馬車を走らせた。

 幸いあれ以降天使に襲われることもなく順調に帰路につけた。

 今はビアンカとエレオノーレが一緒に乗っていて、御者をクラウス中隊長が引き受けてくれている。なんと贅沢なとは思うものの、今は僕がこの隊で一番上の階級なのでそれ相応の者が御者を務めることになるのだ。


「それにしても、あれほどまでに好き放題やっているとはね」

「ええ、本当に悲しいことです。種族は違えど同じ生き物なのにどうしてあそこまで無慈悲な仕打ちができるのか……」


 エレオノーレはこの現実が悲しくて仕方がないようだ。そしてビアンカは沈痛な表情で黙っている。


「結局のところ天使だろうが悪魔だろうが関係ないってことだね。彼らは自分たちのことしか考えていない。正直迷惑だね。ただ迷惑というのも人間の都合なんだろうけどね」

「それは……ですが彼らには元の世界があるのですよね? なのにわざわざこの世界に来ている。ならばこの世界の秩序や社会に則って生きるべきではないですか?」

「その通りだね。郷に入れば郷に従え、だね」

「それは?」

「ん? その土地に移り住むのならばその土地の規則や風習に従えってことだよ。でも彼らはそれができない。自分たちのやりたいようにやっている。だから人類や竜、他の動物や魔物たちから拒絶されることになる。まあごく自然なことだよね」

「ええ。悲しいことですが彼らとは共存できる未来が全く見えませんね」


 



 そんな感じで話をしながら王都を目指していると、


「見えてきましたよ! 貴方」


 ビアンカが窓の外を見ながらそういった。

 長かった……やはり他国に行くのは隣国でもかなり時間がかかるもんだね。馬車だから特に。

 前世は大陸そのものが離れてても飛行機に乗れば他国へ1日以内に行けることが多かった。だから余計に馬車での旅は慣れない。

 今の僕に関しては知ってる場所は転移で一瞬で行けてしまうのでなおさらだ。


 とまあ、あまりにも長い旅で疲れてそんなことを考えていると、王都の門番も僕らの馬車の一団に気づいたようだ。

 大慌てで入門手続きの準備をしている。そして僕らの馬車が門の前まで到着した。


「お、おかえりなさいませ!」

「うん、お勤めごくろうさま。さっそく手続きをお願いできますか?」

「かしこまりました!」


 そうしてさっさと手続きを済ませ門をくぐると、既に師団員の誰かが王都中に知らせて回ったのか、凄い人だかりになっていた。


「ウォォォ! おかえりなさいませ! アレン様―!」

「英雄様のお帰りだ!―」

「ちょっと、ラント子爵様が通れないでしょ! 道を開けなさい!」

「分かってるよ、ちょっと興奮しすぎてしまっただけだって」


 皆が口々にそんなことを言いながら出迎えてくれた。僕はなるべく一人一人に目を向けて手を振った。

 するとさらに歓声が上がった。有名人になるって結構大変だな~、なんて本気で思った瞬間だった。


 


 

 しばらくして、王宮に到着した。ふぅ、無事に帰ってこれたよ。

 いつも通りほぼ顔パスで通してもらって(王城に来すぎて顔を見た瞬間にあって顔を警備兵がするのは面白いよね)城内に入る。

 今回は案内がクリストフさんじゃないみたいだ。


「おかえりなさいませ、ラント卿。陛下がお待ちです。どうぞこちらへ」

「うん、ありがとう」


 そうして使用人についていくこと5分ほど。


「こちらです。陛下、ラント卿がおいでになりました」

「うむ、通してやってくれ」


 この部屋は……重要任務の報告と、あとは……報酬の授与の関連で話をしたりする場だな。なら今回の件で場合によっては報酬が発生するってことなのか?


「失礼します!」

「うむ。よくぞ戻ってきた」

「ありがとうございます」

「うむ。ではさっそくだが報告を聞こう」

「かしこまりました」


 その後、隣国のあの地で起こった出来事、そしてその後に偵察に出向いた地で見た惨状。すべてを報告した。

 陛下は絶句しながら報告を聞いている。ちなみに今回の派遣に参加したメンバーはこの報告には連れてきていない。

 彼らには報告に参加する義務がないからだ。全権を持っていたのは僕であり、彼らは僕の指揮下にあっただけだから。

 なので各々自由にしてもらっている。妻たちには先に帰宅してもらった。


「なんという……忌々しい外道どもめが……あ、すまぬ。つい気が動転して口走ってしまった」

「気にしておりませぬ。誰でもそういう気持ちになってしまうものかと」

「うむ。これはいよいよ静観しておれん状況になってきたな。今後はおぬしでなくとも強い者たちにはどんどん隣国へ遠征してもらって事態の収束に尽力してもらうこととなろう。国でも冒険者組合でも強い者たちの選別をしておこう。いずれはその者たち全てをおぬしに指揮してもらうやもしれん」

「ではそのつもりで日々を過ごしていくようにいたします」

「うむ、頼んだ。そして今回の報酬についてだが、またもやおぬしは天使を討伐した。しかも天使長という幹部で二番目の者だ。金剛一等勲章ものだな。そしてそのような敵に出くわしながらも配下をだれ一人死なせることなく生還した。これはものすごいことだ。故に金剛二等勲章だ。そして最後に有益な情報を命がけで入手した。密偵のような本職ならともかく、師団員の人間がそれを成し遂げた。それを鑑みて白金一等勲章だな。細かい報酬については夕方に行われる謁見で授与するものとする。よいな?」


 なんだかものすごい勢いで勲章が増えた。これは肩章もすごいことになりそうだ。

 基本的に勲章とは胸につける物。そして肩章は方につける物で、これで今までの功績などを明確にしている。

 ちなみに前世の軍隊の士官さんたちが肩から胸周りに提げていた金色のひものようなものを見た人もいると思うが、あれもこの世界の師団員では肩章として扱われる。

 多くの功績を残せば残すほど、より力強いデザインでより多くの本数を、より豪華絢爛な色合いのものを提げることとなる。

 また貴族礼服がゴツゴツとしたものになりそうだな。


「承知いたしました。謹んでお受けいたします」

「うむ」


 そうして報告は終わった。





 陛下への報告が終わった日の夕刻、僕は謁見の間の前に立っていた。

 先ほど父上にも会ってきた。素晴らしい功績だとほめてくれた。


 扉の前で待つことしばし、使用人が近寄ってきて、


「では入場のご準備を」

「うん」


 そうして使用人が下がって次に


「ラント卿、ここからはわたくしが務めさせていただきます」

「クリストフさん、ありがとね」

「とんでもございません。では、まいりましょう」


 そういってクリストフさんが扉を開けた。


「アレン・ベッケラート・ラント子爵のご入場です!」


 そういって盛大に宣言された後、僕はゆっくりレッドカーペットの上を歩いていく。

 そして陛下の御前に着くと膝を付いて敬礼の姿勢になる。


「面を上げよ、ラント卿」

「はは!」

「此度の作戦の指揮、誠に見事であった。よって汝に褒美をとらせようと思う。ではバルツァー卿よろしく頼む」

「かしこまりました」


 陛下のお言葉の後バルツァー公爵が僕の功績の内容とそして功績の内容を説明していく。他の貴族は驚いた顔をしながら僕を見ている。

 ちなみに僕の作戦に従事した隊員たちは僕の謁見の後に褒美の授与がある。


「……よって、これらの功績を鑑み、アレン・ベッケラート・ラント子爵、貴殿に天使長討伐の報酬として金剛一等勲章を、部隊の者らを生還させて功績として金剛二等勲章を、本職の密偵でもないにもかかわらず期待以上の有益な情報入手の功績として白金一等勲章を授与するものとする。そして報酬金として金剛貨25枚、白金貨34枚、金貨56枚を授与する。そしてもう一つ、陛下から貴殿への報酬がある。では陛下よろしくお願いいたします」

「うむ。アレン・ベッケラート・ラント子爵!」

「はは!」

「此度の活躍は本当に期待以上の素晴らしいものばかりであった。その国家へのゆるぎない忠誠心と貢献を認め、汝に伯爵位を授与するものとする!」


 え!? 伯爵位!? この年で? 僕が? マジですか……いやまあ、どのみち出世はしたかったんだし、ありがたく受け取ろう!

 ああ、なんかちびっこのくせしていろんな報酬受け取りすぎて最近はこういうとんでもない報酬をもらっても顔に出なくなってきたな。

 ははは……


「はは! 謹んで拝命いたします!」

「うむ。此度の活躍、誠に大義であった!」


 陛下に最後にお褒めの言葉をいただき、


「ではこれにてアレン・ベッケラート・ラント子爵の報酬の授与を終了する!」


 僕の謁見は終了した。



 嬉しいけど、またもや忙しそうな展開になってきたな。わかってはいたけど、世界を救うっていうのはなかなかに大変だなあ。

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