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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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衝撃の惨状、ラグナス王国

 天使長アズリエルの攻撃で疲弊してしまったグスタフたちを回収して、僕は今その天使長と対峙している。


「お前はなかなか強そうだな。さっきの連中も何人かは骨のありそうな者も居たが、我の部隊と合わせて連戦で我に匹敵できるほどではなかったようだな」

「仕方ないよ。人間は竜や悪魔、天使たちとは違ってかなり限界が来るのが早い」

「それは仕方あるまい。我ら天使やあのゴミムシども、それに竜たちだって総じて言えることだが、おのれを構成するのは大半が精神や魔力だ。だが人間は肉体に依存した体だ。故に体力の限界が早い」

「なるほど、初めて聞いた話だけど確かに言われてみればそうだね。竜だって契約した人間の中に宿ることができるんだし」

「さあ、下らないおしゃべりはここまでだ。早いところ決着をつけようじゃないか」

「ではお望みどおりに……」


 僕らは一瞬でさっきまでの緩んだ空気を消し去った。そして、


「『大地(だいち)尖爪(せんそう)』!」


 大地属性の上級魔法を放った。これは階級こそ低いもののかなり強力で頼りがいのある魔法だ。


「ならばこちらも! 『雷閃光弾(らいせんこうだん)』!」


 アズリエルは高密度の質量をもった雷の弾丸を発射する上級魔法を放ってきた。だけど残念だね僕が自分の魔力だけで戦っていたら互角だったかもだけど、今の僕はルシファーやラー達に魔力供給をしてもらっている。

 はっきり言って彼との魔力量の総量の差は雲泥の差という奴だ。


「な!? 同じ上級の魔法で威力にこんな差が出るだと!?」


 ん? どうやら勘違いしているようだね。


「違う違う。魔法理論は一度確立されると威力の上減は起こらない。互角にならなかったのは魔法の強度や威力ではなく、魔力の強度や威力だね。僕は竜魔導師だ。僕自身の魔力と竜の魔力合わせて使うことができる。よって君が魔法を行使し時間が経てば経つほど僕の魔法とのぶつかり合いで質のいい強度の高い魔力はどんどん失われていく。僕は自分の魔力と竜の魔力で無尽蔵に近い魔力強度と純度を維持し続けることができる。それだけの話さ」

「つまり、我が貴様の……人間の魔力強度や純度に劣っているというのか!?」

「そう聞こえなかったかい?」

「クソッ、クソォォォ!!」


 彼はこの現実をおのれのプライドが許せなかったのか認められなかったらしい。

 でもね、戦場において相手と自分の戦闘力の差を冷静に見極めるのは基本中の基本だよ。それを怠るのは自殺行為だ。

 本来なら彼はここで引くべきだった。でも僕と戦い続けることを選んだ。

 はあ、命がもったいないなぁ……。

 彼はあの伝説級の光輪斬を連発してくる。伝説級を軽く連発って、彼もなんだかんだと常識外れだよね。


「『永久氷獄(えいきゅうひょうごく)』!」


 僕は氷の伝説級魔法で全て防いだ。そして、


「『雷王(らいおう)逆鱗(げきりん)』!」


 雷の帝王級魔法を彼に叩き込んだ。青色に光り輝く高温、高電力、高速の落雷が10発ほど彼に向かっていった。

 これは雷王竜インドラが得意な魔法だ。威力はほかの雷魔法とは別格だ。

 彼の強さに敬意を表し、神位竜も愛用する魔法をとどめに使った。


「はは、ははは……やはりお前は強いな! こんな場所で死ぬのは無念だが、いずれお前でも勝てないような天軍のお偉様方が悪魔を打ち滅ぼし、世界を平和に導くだろう! 我はその礎となろう! さらばだ! 小さき戦士よ!」


 そう言った直後彼の体が雷にのまれ、消え去った。


「世界を平和に、か……どうだかな。独りよがりな正義はむしろ悪だと思うけど」


 こうして隣国での初戦闘は終わりを迎えた。これから少し進んでこの国の状況を探る。流石に王都とかみたいな中心地には行けないのであくまで国境付近のなるべく天使の数が少ないであろう地域を探る。


 というわけでとりあえず僕はみんなのところまで戻った。


「エレオノーレ、ビアンカ、みんなの様子はどう?」

「問題はなさそうです。あくまで魔力をたくさん使って体力的、精神的に疲れていただけのようですので」

「そっか、良かった。なら今は部隊の全員の回復を待とう。行動を起こすのはそれからだ」

「はい」

「私はほかに怪我などされた方がいないか確認して回ってきますね」

「ありがとう」


 ビアンカが他にけが人がいないかどうかの見回りに行ってくれた。本当にありがたい。


「ビアンカが戻ってきてからも話すから、今は大まかに説明するね。これからの行動方針としてはもう少し進んでこの近辺の町や村を偵察する。そしてその状況を報告しに王都に戻る。いいね?」


 僕はとりあえず一番近くにいるエレオノーレに今後の作戦を話した。


「承知しましたわ」

「うん。他のみんなにはビアンカが戻ってこの作戦の主要人物が全員回復したら話すよ」




 そうして30分ほど過ぎたころだろうか、すでにビアンカも見回りから戻ってきて三人で話していると、


「お楽しみのところすまないが、今後の作戦を聞かせてくれないか大隊長殿?」


 グスタフが戻ってきた。その後に続々とみんな回復してきたようだ。クラウス中隊長も戻ってきた。


「大隊長、申し訳ありません。何もお役に立てず……」

「とんでもない! クラウス中隊長、それはあまりにも悲観しすぎだよ。あなたはたくさんの天使を打ち取った。確かに司令官は倒せなかったかもしれない、でもそれ以外の場所では大活躍だった。褒められこそすれ、責められるようなことは何もないよ」

「しかし……」


 なるべく気休めっぽくならないように答えたけど、まだどうしても納得いかないようだ。

 なので僕はここにいる幹部連中だけでなく冒険者たちも見渡しながらこう答えた。


「確かに師団員として、冒険者として立ち向かって敵と戦わないといけないとは思う。でもね実力は気合なんかで変わらないんだからどうしても勝てない相手にはどう頑張ったって勝てないんだよ。だからこそそういう敵に出会った場合は自分にできることを全力でする。今回の場合はあの天使長以外の敵を倒していくこと。そしてあなたも、他のみんなも、実行で来たよね。それでいいんだ。適材適所、強い敵には勝てる者が立ち向かい、それ以外の者は自分の勝てる相手を全力で倒しきる。それでいいんだよ。そして指揮官である僕が、それを望んでいる。だから無茶なことはしなくていい。できなくていい。だから自分のことを責める必要なんてないんだよ。師団員だからって、冒険者だからって無謀に命を捨てなくていいんだ」


 僕はそういう風に締めくくった。うまく話せているかは分からない。もしかしたらそれでも俺は戦いたかったんだ! とか言われるかもしれない。

 僕の言っていることを理解してくれるといいんだけど……僕が心配げに皆の顔を見渡すと、


「確かにおっしゃる通りですね。生き残ってまた鍛錬をして強くなってから再度挑めばいいのですから。逆にこんなところで命を落としてはもったいないかもしれないですね」


 クラウス中隊長がそういう風に返答した。他のみんなも何とか納得してくれたようだ。

 微妙にニュアンスが違ってるようで違ってないような気もするけどまあ、概ねその通りです!


「そういうことかな。だからこれからもまだ作戦は続くけど、決して無理はしないように」

「「「「「「はい!!」」」」」」




 その後僕たちは部隊の全員が無事回復で来たので、このまま探索を進めることとなった。

 部隊を少数に分け、僕が独自に開発して陛下に報告を挙げた、人の声を別の人のところまで届ける魔法具(前世でいう無線だな)を使って連絡を取り合った。



 そしてそこで見た光景とは……


「酷い……人間をほったらかしで自分たちはのうのうと暮らしているなんて……しかも悠長に悪魔と戦う作戦も模索している感じだ」

「忌々しい光景ですわね。天使とはここまで卑劣で残酷な種族だったのですね。これではどちらが悪魔か分からないではないですか」

「全く持ってその通りだよ」



 僕たちはそれらの光景を報告しあい、急ぎ王都に戻ったのだった……

なんか天使の方がよっぽど悪い奴らに見えますね(笑)。

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