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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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脅威の戦闘力! 天使長の力!

戦闘描写、うまく書けてるか毎回不安(笑)

 隣国ラグナス王国に進入はできたものの、即行で強そうな天使さんに見つかってしまった僕たち探索隊。

 どうしたものかと悩んでいたのだけど、やはり今回依頼されたのは隣国の状況を探るための偵察。となれば国境を越えた瞬間に帰ってきましたでは出国前にあれだけ盛大に僕らの成果に期待して見送ってくれた国民に申し開きのしようもない。

 半分は私兵なので僕の自腹で遠征費が出ているとはいえ、もう半分はお国の大隊を使っている。

 ということは半分は税金から出ているのだ。この遠征を無駄にして終わらすのは実に良くない。幸いにも絶対に勝てなさそうな相手でもないのだ。

 彼を倒してその後はしっかりと個別班に分かれながら少数精鋭で行動してもらうという方針だ。優秀な冒険者や大隊の中隊長たちに指揮を執ってもらう。

 勿論僕も指揮する側に入る。いくつかの少数班に分かれるのだ。1000人という大部隊だ、そのままぞろぞろと動いていたら見つけてくださいと言うようなものだ。

 ただそれは現状を突破出来てからの話。


「おい、さっさと決めろ! 引くか、ここで戦うか」

「じゃあ、後者を選ぼうかな」

「そうか、大人しく引くかって、えぇー---!?」

「何をそんなに驚いてるのさ。僕らはあくまでこの場に用事があってきたんだ。僕らの格好を見ればわかるでしょ」

「そうかそうか。なら貴様ら全員、天軍の恐ろしさを思い知ることになるな。お前達やってしまえ!」

「さあ、こっちも迎え撃つよ!」

「「おお!!」」


 たった今、天軍との大規模戦闘に突入した。勝手に戦闘をしてもいいのかと思うかもしれないが、心配はいらない。今回の件に関しては完全に僕に全権をゆだねられてる。

 陛下から直々にだ。そして必要とあらば交戦も許可するとまで言われている。


 さて、そろそろ僕も戦闘に交じろうかな? なんて考えていると、


「貴様は大人しくしていろ」


 グスタフがそう言うと、


「そうだね、ここは僕らに任せてほしいな」


 ツェーザルもそれに便乗する。


「せっかくその為についてきたんだからな!」


 当然ダミアンもだ。


「僕も微力ながらお手伝いするよ! 陛下にいただいたこの魔力増強の杖も試してみたいし」


 カールまで乗り気だ。


「わたくしは皆さんの援護に回りますわ!」


 エレオノーレはみんなの強化や回復の援護に回るようだ。

 ベティーナもやる気満々だし……うん、もういいか。彼らに任せよう。


「分かった。じゃあ、頼んだよ」

「任せろ、貴様が出ずとも……俺たちだけで十分だ!」


 そうグスタフが宣言して皆がそれに続いた。



 そうして20分ほど過ぎただろうか。誰一人かけることなく戦闘は終盤を迎えることとなった。


「おのれ……人間。数千年前のあの時も、そして今回も立て続けに我らの邪魔をするか! 人間にも強い者たちがいるのは分かっていた。だが我の部隊の同胞たちにも勝るものがいようとは……どうやら本気を出さねばならんようだな」


 そういって彼は魔力を極限まで解き放った。強力な覇気だ。これは今の部隊では上位の者以外動くこともできないだろう。

 実際のところさっきまでの戦いも一般の師団員や階級が低めの冒険者たちでは太刀打ちできていなかった。

 偵察だけを目的にしていたがために護衛に一般師団員や私兵全員を連れてきたのは間違いだったな。

 斥候、間者、密偵、回し者、そういったものは人間の方が上だと僕含め国の人間もたかをくくってしまっていた。

 

 でもまあ、いまさら失敗を嘆いても仕方ない。また一つ学べたと思えばいい。ずる賢いというか用意がいいというか、そういった複雑な仕事みたいなのは別に人間の専売特許ではないということだ。


 まあ、どのみち戦闘では油断は一切しないつもりだ。彼らが僕らに驚きを与えられるのはここまでだ! ここからは彼らには何もさせないつもりで動こう。

 

 僕がそう思っていると、部隊の上位陣も同じことを考えていたようでみんな戦闘態勢だ。

 よしよし、みんなは全然平気そうだ、流石だな。クラウス中隊長もかなりの魔法師だしひるんでる感じはない。

 うちの私兵の上位陣もやる気満々だ。


「フッ、なるほど。引く気はない、か。面白い! 来い!」

「アレン、今回も貴様は出るな。お前の竜の位階に比べれば、俺たちの竜の位階はそれほどでもないんだろう。竜の格はそのまま強さにつながる。だが、俺たちはあれから血反吐を吐くような思いで鍛え続け、戦い方を工夫し続けてきた。その成果を今見せてやる。そこで見ていろ」


 突然グスタフがそんなことを言い出した。そしてほかのみんなも同じ気持ちのようだ。金剛級冒険者たちも同じ気持ちのようだ。

 彼らだけでやりたい、と。そういうことなら信じて任すのが仲間ってものかもね。

 それに今も言ったように金剛級の冒険者たちだっている。今の時点ならグスタフたちよりもよっぽど強いだろう。

 だが僕は確信している。グスタフたちならいずれ彼ら冒険者の頂点たちをも超えるだろう、と。

 だからか不思議とすんなりと彼の言葉を信じられた。

 グスタフが言ったように竜魔導師の強さは竜の格だけでは決まらない。技術や経験、創意工夫でいくらでも高みを目指せる。

 

 ここは彼らに任せよう。本当に危なくなったら僕も参戦するっていう形でいいんじゃないかと思う。


「へ! さすがはあの大貴族の息子さんだ! いうことがカッコいいじゃないですか!」


 金剛級冒険者の竜魔導師の一人が言う。彼も同じ竜魔導師としてグスタフの言うことには感じるものがあったのかもしれない。

 戦い方を工夫し、いくつもの修羅場を経験しライバルたちと切磋琢磨(せっさたくま)してきたのは同じであるだろうから。


「ふんッ、俺はもっと上を目指す。いずれはお前たち金剛級冒険者すら超えて見せる」

「おお、これはマジでうかうかしてられませんね~」


 流石だな。みんなこの状況でも怖気づくことなく冷静に戦いに挑もうとしている。


「お喋りはそのあたりにしてもらおうか。その~なんだ、一番強そうなその坊ちゃんを待機させて我を倒すとか言っていたそこのお前。本気で言っているのか?」

「無論」

「そうか、我も随分となめられたものだ。まあいい。我もこれ以上先には天使以外進めないよう、天軍のお偉様方から仰せつかっている。天使長という立場にありながら未だに聖天将様の付き人にはなれん我だがそれでも天軍として二番目の階級の天使だ。そうやすやすと勝てると思うなよ。我は天使長アズリエル! ここから先は一歩も通さん! 戦うというのなら死ぬ気でかかってこい!」

「言われずともそうするつもりだ!」


 グスタフの叫びに続くように皆も頷く。それにしても天使長、二番目の階級か。なかなかの大物に出くわしたものだな。

 でもこれは好機だ。それほど強い天使ならそんなに数はいないはずだ。簡単に替えが利く人材ではないだろう。

 ここで倒せば天軍とやらに大ダメージを与えられるかもしれない。


「みんな、頼んだよ!」


「「「「「「「「おおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」


「図に乗るな! たわけ共が! 『光輪斬(こうりんざん)』!」


 天使長アズリエルがさらっと伝説級の光魔法を放ってきた。だが、


「その程度で俺たちが止まるとでも? 『爆炎壁(ばくえんへき)』!」


 グスタフが上級の炎魔法で壁を作りこれを防ぐ。


「当たり前のように光魔法を使ってくるんだね、天使って。『水槍(すいそう)』!」


 ツェーザルが水の槍でアズリエルを攻撃する。身体強化は使っていなかったようでもろに入った。


「ああ、ほら油断してるからそうなるんだよ。それとも何? 身体強化使えない?」


 ツェーザルさんのあおりが炸裂しております。


「ふん、使えるに決まっているだろう。何、使わなかったのには深い意味はない。ただ貴様らが本当に我が力を見せてやるに値するのか試したまで。そしてなかなかの威力だった。まあ、再生できるのでほとんど意味のない攻撃だったがな。なるほどなるほど、人間にもそれなりの者がいるのだな。ならば次はこちらの番だな」

「やれやれ、手を抜かれてわざと喰らわれたなんて、結構傷つくよ」

「ふざけてないで集中しろ、ツェーザル。お前だって本気を出していないではないか」

「グスタフだって」

「まあな。逆にあの程度の防御で本気と思われてはこちらが拍子抜けだ」

「だね」


 ははは……二人そろって好き勝手言ってんなあ。でもまあ、それでも油断やスキが一切ないのは流石だな。


「小僧が何を粋がってるのかは知らんが、そういうのは相手を圧倒出来てから言うセリフだぞ。ただ相手の攻撃を防いだ程度で調子に乗られては逆にこちらがどう反応していいか困るな」

「まあ、見ていろ。今からしっかりと実力を見せてやる」

「僕も久々に頑張ろうかな」


「面白い。かかってこい!」

「出でよ、業炎竜! そして見せてやれ、お前の鍛えた炎を!」


 グスタフがそう宣言すると炎の上位竜、業炎竜が飛び出してきた。そして強烈なブレス攻撃を天使にお見舞いする。


「さあ君も出番だよ、水竜! グスタフの攻撃を邪魔しない様にしながら君も攻撃だ!」


 そういって水竜は単発の水の攻撃を繰り出していく。ちょうど魔法の水槍に似ている。


「じゃあ、俺らもそろそろやりますかね! 見ていてくださいよ、旦那様! 出でよ、雷轟竜! 雷の超位竜の力、しっかり味わえよ天使さんよ!」


 そういって冒険者が指示した後、雷轟竜が雷の雨をまき散らした。

 他の冒険者もそれに続く。


「僕だって! 静寂なる魔法の腕輪よ、その力解き放て!」


 カールも出陣したのだが、その時に魔力を限界まで引き上げる魔法具を使った。確か陛下からもらったと言っていたな。

 そしてそれを使いながらカールも自身のオリジナルの水魔法を放った。すごい威力だ。これならカールは竜魔導師ではないけど思う存分に戦えるだろう。


 いい感じだ。これは本当に見物だけで終わるかもね。ダミアンもすごい勢いで体に結界を張り巡らせて防御面を強化して出ていった。

 ベティーナも風魔法で援護に加わっていた。

 エレオノーレとビアンカは当然僕の側で待機だ。


 そしてみんなの攻撃がどんどんと天使に決まるが、果たして。


「調子に……乗るなぁ!!!!」


 そういって天使長アズリエルが膨大な魔力波動を解き放ちながらさっきの光輪斬、だっけ? あれをまき散らしてきた。

 皆何とか防いでいたけど何人かは結構辛そうだったな。

 凄い威力だ。流石は天使長。ボロボロになってはいるけどまだ全然戦えそうだ。いやいくらなんでもタフすぎません?

 間違いなく今まで出会った天使なんかとは次元が違うな。ヴェルセルクも僕の近くで静かに待機しているけど、少し驚いた顔をしているな。


「ねえ、ヴェルセルク。やっぱり彼って相当強い?」

「ああ、さっきの一斉攻撃は相当な威力だったはずだ。それを防ぎきるとは……天使もなかなか侮れんな」

「やっぱりか~。でも、多分大丈夫だよ。グスタフたちもそこまで驚いていないし」

「まあな。彼らの実力に期待だな」

「うん」


「はあ、はあ、はあ、まあ、なんだ。お前たちは確かに中々やるよ。だがそれでは足りん! 見せてやろう天使長の本気がどういったものかを!『天地鳴動雷光破断(てんちめいどうらいこうはだん)』!」


 こ、これはッ! 僕はやばいと思って結界を張ろうと思ったけど、それよりも早く結界を張った者がいた。ダミアン、ツェーザル、グスタフ、そして金剛級の冒険者たち。

 まさかあの攻撃を防ぐとは……でも今ので限界だな。もうみんな相当疲弊している。

 無理もない。さっきの攻撃は本気でヤバかった。おそらく雷魔法と光魔法の混合魔法だ。しかも威力は帝王級ときた。

 あれだけ魔法で戦い続けた後にあの威力の魔法を叩き込まれたんだ。むしろあの攻撃から全員を守り切れる結界を晴れた実力を賞賛すべきだ。

 彼ら自身は納得いかないかもだけどね。


 でも、ここからは僕らの出番だね。動かなくても行けるかな? とは思ったけどやはり甘かったようだ。みんなよく頑張ってくれたよ。相手も結構消耗してるみたいだし。本当にお疲れ様。

 

「ゆっくり休んでいてくれ」


 そういって僕は全員を転移で瞬時に回収し、エレオノーレのところに連れてきた。

 

「エレオノーレ、後は頼む」

「お任せを!」


(さあ、出番ですよ。皆さん)

(やれやれ、ようやくか)

(本当だよ! ずっと待ってたのに!)

(アレンはもう少し私たちに頼ってください!)

(待ちくたびれたよ)

(やっと出番だ)

(ははは、ごめんよ。今回は彼らの気持ちを優先してあげたくて)

(わかっておる。仲間を信じるのは大切なことだ)

(ありがとう)


 そんな感じで軽く竜たちとやり取りをした。それになんと! ラー達が成長してようやくしゃべれるようになったんだ。

 意外と早かったな。というわけで今回も彼らにお手伝いいただきましょう。

 もしもの時はヴェルセルクもいるしね


「ヴェルセルク、もしもの時は力を貸してほしい」

「ああ、分かっている。存分に行ってこい」


「お喋りは済んだか? 全く、はじめからお前が出ていればよいものを」

「そうかな? みんな結構いいところまで行ってたと思うけど?」

「ふん、確かに消耗はしたが、負けるほどではない!」

「確かにそうかもね。なら君が再生するのも追いつかないくらいの攻撃を叩き込まなくちゃね!」

「出来るものならやってみろ! その前に我が貴様を屠ってやる!」


 お互いに魔力を解き放ち、このあたり一帯が濃密な魔力圧で覆われた。


 いよいよ決着の時だ。ここでコイツを倒して僕らは先に進む!


 

少し長くなっちゃいました(笑)。本日もありがとうございました。

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