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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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対峙の時

 ラント子爵家として私兵を募集した後、僕のところには計500名の一般志願者が集まった。

 そのうちの4人が僕とは違う世代として学園を卒業し、竜魔導師となった者たちだ。4人だよ?

 一人の貴族のもとに4人の竜魔導師。なんかすごいことになってきた。ちなみに竜の位階はというと……なんと一人は雷の超位竜に認められた金剛級冒険者だ。

 次が炎と風の上位竜に認められた金剛級冒険者、氷の超位竜と大地の下位竜に認められた金剛級冒険者。そして、水、雷、風、光の下位竜に認められた金剛級冒険者だ。

 あの後にもたくさんの金剛級冒険者が来てくれた。そして野暮かなとは思ったんだけど、彼らに募集に応じてくれた理由を尋ね、子供が主でも嫌じゃないかを尋ねたら、『逆に年齢と爵位が実力を物語ってる。世襲で家を継いだだけの者なら無能も中にはいるかもしれない。でもあんたの代で新興されてる家な上に子供なら出世できる機会も少ない、さらに王国は無能と判断すれば既に爵位を得ていても容赦なくその地位を取り上げる国。だからこそあんたの実力が信用できる』と言ってくれた。

 ありがたい限りだ。他にも魔法具などで力を増強して戦う金剛級冒険者が2名ほど、同じような感じの白金級冒険者が3名ほど。そしてその他個人経営の会社で情報屋をやっていた者(元の世界で言うと工作員だ。いわゆるスパイ)などなど実に助かる人材がたくさん応募してくれた。

 そして僕の家は新興したばかりで使用人も少ないうえに私兵なんてもはや話題に出す必要ないでしょ? ってくらい人手が足りてない。

 なのでよっぽどの理由がない限りは大体の人たちを採用した。そうして集まったのがこの500人だ。

 彼らはほとんどが平民の家の出なので礼儀とかは厳しく気にしたりはしない。それを言うと驚いた顔をされたけど、なんかもう慣れたな。

 ただ、最低限の敬語や礼儀作法は身に着けてもらわないと他の貴族にグダグダ言われたり僕の家の品性云々という話になってくるからそれだけは少し勉強してほしいとお願いした。

 専門の人も雇ってるので教えてもらえるだろう。私兵のみんなも快く了承してくれた。

 これで私兵の雇用の問題は片付いた。



 

 まあ、そんなわけで結成できました! ラント子爵家の私兵! ちなみに僕の家の戦力は割とシャレにならないくらい凄いらしい。

 今後も私兵は募集し続けるからまた優秀な人たちが入ってくれることを祈ろう。


 そんな感じで私兵の問題は片付いたので僕は今は王城に向かっている。理由は簡単、この間の件で話があると呼ばれたからだ。



 馬車でユラユラされ続けること10分ほど、王城に到着した。今となってはラント子爵家当主は国を何度も救った英雄という扱いになっているらしいので、王城の周りに集まっている人たちも興味津々で僕の家の家紋が着いた馬車を眺めている。

 


「ようこそおいでくださいました。アレン様」

「お久しぶり、クリストフさん。今回も案内をしてくれるんだね。ありがとう」

「いえいえ、お礼など必要ございませぬ。今となってはあなた様は正式に国の英雄となったのです。重要人物として他の貴族よりも丁重にご案内するのは当然でございます」

「そっか、それじゃあお言葉に甘えちゃおうかな」

「そうしていただけるとありがたい限りでございます」


 そうして陛下が待っている部屋に案内される。クリストフさんがノックをすると、


「おお、まいったか。入れ入れ」

「失礼します、陛下。ご機嫌麗しゅう」

「うむ。さっそくだが、座ってくれ」

「では」


 僕は陛下の向かいの椅子に腰かけた。


「今回呼んだのはほかでもない例の件についてだ」

「はい」

「それでだ、今回隣国の様子をうかがうという話が上がったのだが、さすがに竜魔導師たちを瞬殺してしまうような天使が敵方にはおるのでな。一般の密偵や間者は役目を果たすどころか、五体満足で母国の土を踏めるかどうか怪しい。そこでだ、何度も悪魔や天使共から我が国を救ってくれたおぬしに探索隊の指揮を頼みたい」


 そういうことか。でもいずれ誰かがやらないといけない。それなら陛下の言う通り危険だが僕が行く方がいいだろう。


「承知いたしました。では、私の私兵を連れて行けばよいのですか?」

「それもそうだが、今回は国からの依頼でもある。よって師団のお前が率いている大隊もつれていくとよい。それから、何人か助っ人も呼んでおる」

「助っ人、ですか?」

「そうだ」


 誰のことだろう?


「入ってきなさい」


 陛下が合図すると、


「失礼します」


 そういって先頭で入ってきた人物を見て僕は思わず声を挙げそうになった。


「久しぶりだな、アレン」


 グスタフだ。そして続々陛下にあいさつしながら入ってくる人たちを見て僕は驚いてばかりだ。


「やあ、アレン。君とともに出陣できる日が来るなんて嬉しいよ」


 ツェーザルだ。


「はあ、息苦しいなこの服装」


 ダミアンに、


「仕方ありませんわよ。礼服で来るべき場所ですもの」


 ベティーナ


「久しぶり、アレン。僕らも参加することになったんだ。よろしくね」


 カールだ。そして、


「最近のアレン様はお仕事に追われているようで大変そうなので、少しお手伝いさせてもらいに来ましたわ」

「ほんとですよ、貴方はすぐになんでも抱え込んでしまうんですから」


 エレオノーレとビアンカだ。え? どういうこと?


「陛下、なぜ妻たちが?」

「うむ、おぬしに協力したいといって聞かんのでな。危険だと言ってもみんな同じだと言って、おぬしに協力すると言い張るので許可した。実際に探索に参加させるかはおぬしに任せる」

「は、はあ」


 言いたいことは山ほどあるけど、まあ、確かに陛下からすれば本人たちがかたくななんだから止めろと言われる方がしんどいか。

 呼ばないでほしかったなんて僕の勝手な都合だしな。ならここは素直に、


「そっか、みんなも参加するんだね。よろしく。ただエレオノーレとビアンカは僕から常に離れないように移動すること、いい?」

「問題ありませんわ」

「もちろんです」


 二人も承諾してくれたので、とりあえず問題ないか。これで好きに動かさせてくださいと言い始めたらおうちに強制送還だったけど、ひとまず僕の要求を呑んでくれたし、何かあっても彼女たちを真っ先に守れる。

 僕が気を付ければいい話だ。それでも妻を戦場になるかもしれない場所に連れて行くのは不安しかないけどね。

 でもこうなった二人は話を聞くタイプじゃないというのは理解しているし、僕のためを思ってきてくれてるのもわかる。なので彼女たちもつれていくことにした。


「それでは陛下、陛下がお呼びくださった彼ら、連れていこうと思います」

「そうか、それではそのように事を進めよう。既に大隊には待機命令を出してある。よってあとはおぬしの私兵をこちらに集結させ、ここにいる者たちも編入させてからすぐにたってもらうこととなろう」

「承知しました」

「食料などは……」

「問題ございません。転移でいったん領地に戻り、保存などに最適な魔法具をそろえてからしっかりと準備を整えたうえで出陣しようかと」

「うむ。それよりも保存に適した魔法具があるのか? 此度の件が片付いたらぜひとも王宮にも売ってほしいものだ」

「かしこまりました。そのあたりについてもこちらで事を進めてまいります」

「頼んだぞ」




 その後僕は探索と出陣のための準備を整え、王城から私兵と大隊を合わせて1000名ほどの数を率いて魔の森方面に出発した。

 街の住民たちが皆口々に僕のことをほめたたえながら万歳をして見送ってくれる。嬉しいけど少し恥ずかしくもあるな。


 今回の件、おそらく大ごとになりそうなので念のための保険としてヴェルセルクにも声をかけておいた方がいいかもしれない。

 彼なら力を貸してくれるだろう。



 


 こうして僕たちは探索隊を隣国方面に進め続け、途中でヴェルセルクにも声をかけ、ついてきてくれるとのことだったので一緒に来てもらった。

 みんなその威風堂々とした姿に圧倒されている。ただそれでもこの間のような威圧的な覇気は出していないのでみんなビビらずに彼と接することができているので問題はなさそうである。



 それから数日後、比較的早いぺースで馬を進め、隣国の敷地内に入った。

 その直後のことである。

 僕は強烈な悪寒がした気がしたので、すぐに探索隊全てを取り囲む形で結界を張った。

 その数秒後に強烈な光魔法が飛来した。


「ほう、今のを防ぐ人間がいるとはな。貴様、まさか竜魔導師か?」

「だったら何?」

「面白い。だがここから先は通すことができない。この国はもはや我らの手に落ちた。故にこれ以上進軍するなら天軍への宣戦布告とみなす。隣に異常な力をまとった獣もつれてきているのを見る限り、戦闘になる可能性も見越しているんだろう?」

「まあね。でも僕たちの主な目的は偵察なんだよね。戦う必要がないのならその方がいい。君たちが隣国をどうしようとしてるのかは分からない。でも僕たちの国に何か影響が出るのか出ないのか、それを調べる必要があるのは分かるでしょう?」

「まあな。でも答えは否だ。これ以上進むなら戦闘は確定事項だ」


 最悪だ。ラグナス王国領に入っていきなり天使に出くわすとは……しかもこの天使、相当高位の存在だ。後ろに控えている強そうな天使たちが皆自分を殺して待機している様子を見ても、目の前の彼はかなりの地位にいる者だろう。

 事実、僕の私兵の中でも上位の強さを持つ者以外みんな今にも失神しそうな顔をしている。

 大隊のみんなもそうだ。僕の友人たち以外は大体がおびえている。

 戦いになったら(多分戦いは避けられないけど)先頭にいる者を相手するのは僕の役目だろう。



 なんか僕って、毎回運が悪い気がするな……でも今はとりあえず、部下となった彼らを守り抜くことが最優先だ。



ここいらで第三章終了ですかね。ここからは天使と悪魔たちとの本格的な戦いの日々ですね。

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