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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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脅威迫る、隣国陥落!

すみません。二日連続で投稿できませんでした。

 この日、アンドレアス王国の王宮に信じられないような緊急報告が入った。その内容とは、


「急報! 急報!」


 朝の仕事が始まる前の会議をしていた王宮の会議室に息を切らしながら報告に来た一人の師団員。


「ええい! 騒がしい! 何事だ! 構わんから通してやれ!」

「承知いたしました」


 アンドレアス王の許可を得てクリストフが扉を開ける。


「会議の途中に大変申し訳ございません! 至急お伝えしたいことがございます!」

「うむ、申してみよ」

「はは! 隣国・ラグナス王国、陥落! 目撃者や間者の報告によると白い翼の生えた生き物がものすごい強さと勢いで彼の王国の強者もろとも王都を陥落させ、間者自身も逃げきるので精一杯だったとのこと! 目撃者の証言については彼の王国からかろうじて逃げ切れた者たちの言葉です」

「まさか……大国とは言えないまでも、我が国と商売や経済の話ができるくらいの国力がある国だぞ? それが陥落? 落ちるまでの日数などは分かるか?」

「攻め込まれてから一時間ほどで王都は壊滅状態、王城も一時間かからずに攻略されたと……」

「なッ!? あの国にも竜魔導師や強い騎士や魔法師たちがいたはずだ! 彼らも一瞬で潰されたというのか!?」

「そのようです……」


 アンドレアス王は絶句した。帝国に続き隣国までも陥落とは……脅威はすぐそこまで迫ってきている。天使は比較的悪魔よりも話が分かる相手だと思っていたが、それは頭の中がお花畑だと言われても文句が言えないほどに甘い考えだったのだ。

 これは一刻の猶予を争う事態だ。緊急会議を開かねば! アンドレアス王はそう思った。


「すぐに王国貴族の重要人物と師団の重要人物を集めよ! 緊急会議を行う!」

「はは! 仰せのままに!」


 そういって伝令係は会議室から去っていった。そして何よりこれから行っていくことで重要な案件が一つ。それは、


「ついに国民にも悪魔と天使の復活を知らせなければな。バルツァー卿、すぐに国民に宣言を出せ。悪魔と天使の復活だとな。そして今まで話さなかった理由について言及された場合は攻めてくる確証もない相手におびえさせたり、混乱させるわけにはいかなかったと伝えろ」

「かしこまりました」


 アンドレアス王はやれやれという気持ちでいっぱいだった。自分の国には強き者が多い。

 エトヴィン・ベッケラート男爵然り、コルネリウス・アーベントロート伯爵然り、師団の総帥たる

アーベル・ベッカー侯爵、そのほかにも冒険者での竜魔導師や若い世代で言うなら、グスタフ・ベーレンドルフ、ツェーザル・アデナウアー、そして彼らと同じ教室の生徒たち。

 そして何より、アレン・ベッケラート・ラント子爵と幻獣ヴェルセルクの存在だ。彼らがいるからまだかろうじて対策が後手に回っても対応できるのだ。


「全く、史実通りというわけか。悪魔は論外だが天使もたいがい迷惑な存在だな。この世に害しかもたらさん」


 アンドレアス王がそう呟くと、さっきまでアンドレアス王が指示を出すまで黙って聞いていた他のメンバーも話し出した。


「おっしゃる通りですな。破壊しかこの世にもたらさない存在などいてもらっても迷惑なだけですね。息子にも戦に出るかもしれないということを伝えておきましょう」


 国王の次に発言したその人物、フェルディナント・ベーレンドルフ公爵の発言に他の者たちもしきりに頷く。

 そして国王はこうも思う。『やはりこやつは有能だ』と。すぐに事態と事の重大さを把握し、いつものくだらない小競り合いを自分から止めることができる。

 普通は人間なら一度争いだしたら決着がつくまで争いたがるものだ。だがそれをしないで状況を見て行動を変えられるというのはメリハリがあり、仕事ができる証である。

 正直な気持ちとしてはこのものを公爵という立場に置いておくのは不安しかない(能力的な意味ではない)。

 だがこうやって非常事態や何か重要なことを国主導で行う時は有能で助かるので、普段の行いが粗暴だからとむやみに糾弾もできない。


「うむ、頼んだぞ。おぬしの息子は今や王国でも指折りの実力者だ。いずれ力を借りることとなろう」

「承知しました。では、そのように」

「さて、他の者ももうじき来るであろう。全員揃ったら直ちに会議を始める。それまでゆっくりとしていてくれ」


 国王は今ものすごく安堵している。それはなぜか……


(エトヴィンもアレンも仕事でたまたま王都にいてくれて命拾いしたものだ)


 という心境である。これからどうなるかは分からないが、国立魔法研究所も師団の本部もすべて王都だ。これらの場所に仕事や用事があれば当然王都に出向いてくることになる。

 そんなわけでアレンは今王都にいたのだ。エトヴィンに関しては元から領地の仕事は代官に任して王都の守護の為に常駐しているが、アレンは別だ。

 かなり大きめの領地を持つ上に、今や父親のエトヴィンよりも仕事が多くなっている。

 しかも銃の製造会社の本部に関しては王都ではなくラント領だ。

 そういう意味でもアレンは王都に常駐させておくのは不可能だ。父親のエトヴィンも爵位にそぐわないくらいの大貴族だが、それは子分が多すぎるのと、武の面に関して国から頼られることが多いからだ。だがそれ以外の仕事は一般の下位貴族と変わらない。あくまで男爵にしては財力が異常だというだけで、それ以外の面は変わらないのだ。

 なのでエトヴィンのみ王都に残している。


(これなら重要人物の招集も滞りなく進むだろう)


 アンドレアス国王はこの後に始まる会議に向けて少しだけでも改善案を考えることに注力するのだった。





 ところ変わって王都のアレンの屋敷では……


 コンコンッ!


「アレン様! 急報です!」

「あ、うん。入って」

「失礼します!」

「どうしたのさデニス。そんなに息切らして」

「報告します!……」


 その後に続くデニスの言葉にアレンは絶句した。まさかあのアンドレアス王国ともつながりのあるラグナス王国が……しかもあの国には何人か強い竜魔導師が所属していたはず。

 それにもかかわらず陥落したというのはにわかには信じがたい。それと報告の内容にあった白い翼の生えた生き物って……


(確実に天使だよね?)


 アレンだから気づいたことである。なんせデニス達のような一般の人間たちにはまだ悪魔と天使については情報が公開されていないからである。

 だが、


「アレン様……恐れながらご質問させていただいてもよろしいですか?」

「え? うん」

「白い翼が生えていて人のような姿をしていたと報告にあったようなのですが、それはもしかして……伝承にある、天使ではないでしょうか?」

「うん、そうだよ」

「え?」


 デニスは驚いたような顔をしているけど、だって事実だもんね。それにさ、やっぱり気づく人は気づくんだよ。

 だからいつまでも隠し通せるものじゃないと思うんだよ。だから僕はデニスには正直に話しておこうと思った。

 彼なら信頼できるし、僕の相棒ともいえるぐらい有能な部下だから。


「ご存じだったんですか?」

「うん。僕がちょくちょく大きな戦いに巻き込まれていたのって全部悪魔や天使との戦いだから。まあ、それ以外もないことはなかったけど、基本は悪魔と天使だった。そして今のところ悪魔や天使を倒せると思われるのは僕を含め王国の上位の師団員や冒険者だけと思われているから変な混乱を世に解き放つよりもできる限り自分たちだけの話で何とかしようってことになったんだよ。でもそうも言ってられなくなってきた。隣国が落ちたからね。そろそろ本格的に危機管理体制を敷かないとやばいね」


 僕のその言葉を聞いてデニスは絶句していた。そして不満そうでもあった。でも何も言ってこない。

 僕に文句を言っても仕方ないと分かっているからだろう。でも納得できている感じではないな。

 とにかく今は状況を整理しよう。


(まず、天使が隣国を落としたってのが驚きだ。まあ、前から天使と戦って彼らも悪魔たちと同じように自分たちのことしか考えておらず、人間やその他生物のことなど眼中にない感じだった。ただ単に悪魔との長年にわたる戦いに決着をつけたいだけって感じだった)


 本当に、どこまでも迷惑な存在達だ。心からそう思う。でもこの世に存在している以上何かしらの意味はあるんだろう。

 でも人間にとって邪魔なのは変わりない。なので倒すしかない。

 大切な人たちやこの国を守るために。



 その後アレンの屋敷に特級召喚令状が届き、アレンはさっそく登城の準備を開始した。

ついにヤバい展開になりましたね!

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