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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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圧倒的破壊力! 新兵器の力!

 祝いの宴が始まって、各貴族が挨拶と同時に各々が持ってきた品を陛下に献上している。

 次の次くらいで僕の順番だ。ちなみになぜか僕の家門が子爵家の挨拶で一番最初と定められた。

 こういった身分の高いものと挨拶をするときの王国のマナーは身分の高い貴族から順番にあいさつをしていくのだ。

 王族相手なら大公から順番に公爵、侯爵もしくは辺境伯、伯爵etc……という感じに。

 ちなみに父上は男爵家なので少し後だ。

 そして今回も大公閣下であるフェリクス・アンドレアス・アードラー大公から始まり、その他閣下を含め三大公と呼ばれる方々が挨拶をしたのち、公爵、侯爵~という順番で始まり、僕の直前で伯爵位の方の挨拶が終わる。

 なぜ? 僕よりもっと歴史ある貴族家で子爵位としての経験も豊富な人たちが多いのに。

 まあ、多分この順番決めは条件の一つに貢献度も含まれているから最近の功績が関係してるんだろうけど、それにしてもまだこの順位は早すぎると思うのだが、実際に前の伯爵殿がびっくりしてるもん。



 まあ、いいかそんなこと僕が決められるわけでもないんだから気にしてもしょうがないよね。

 そしてついに僕の名前が呼ばれた。


「アレン・ベッケラート・ラント子爵」

「はい!」


 ついに呼ばれた。やっぱりこういうしっかりとした場ではもう僕の名前には領地名が入ってるのが当たり前なんだな。

 ちなみに分家は基本的に領地名を名乗ることを許されていない。分家同士は基本的に爵位で見分けることが多い。

 ただ例外的に本家が大貴族になりすぎて分家の数が尋常じゃないことになった場合、当然爵位が被るものが出てくる。

 特にまずいのがベッケラート家直系の子孫、それも男性で次男以下の方に他家から嫁を迎え入れた場合である。

 そしてその者が何か功績を残し貴族家になった場合当然本家の血筋の名前でお家が増えることになる。

 そうなると爵位が被っている状態でしかもお家の名前もベッケラート家で被ることになる。

 そういう場合は領地名を増やすことを本家が承認した場合、可能になる。いろいろと面倒くさい手順があるのだ。

 だが基本的には分家の人間は男子の場合婿養子として他家に行くものが多い。

 なのであまり本家筋の分家で名前が被ることは起きない。


 そういう理由があって領地名を名乗るのは本家しか許されていない。

 

「よく来てくれたなラント卿、余の為に足を運んでくれたこと嬉しく思うぞ」

「はは、お喜びいただけて嬉しゅうございます」

「うむ」

「陛下、今回わたくしがご用意させていただいた品ですが、少し物が物ですので他の方のご挨拶が終了し次第、お渡しさせていただくという形でもよろしいでしょうか?」

「そうかそうか、かまわんよ。だがそれほどまでに大層なものを用意してくれたのか?」

「そうですね、今この場でお渡しするのはいささか具合が悪いといったくらいでしょうか」

「そうか、あい分かった。では後程見せてくれ。楽しみにしておるよ」

「ありがとうございます」


 そうして挨拶が進んでいき、父上の挨拶が終了し、二人で話していた。


「アレン、一体何を持ってきたんだ?」

「師団から頼まれていた例のものですよ」

「まさか!?……」

「そのまさかですよ」

「完成したのか?」

「はい」


 その後大げさなくらい父上が褒めてくれた。嬉しいな。父上はいつも僕の成功を自分の成功のように喜び、褒めてくれる。

 こうやって支えてくれてる人が多くいるというのは嬉しい限りだ。

 つくづく僕は恵まれていると思うよ。


 そんな感じで父上と話をしていると陛下と他の貴族方の挨拶が終わったようだ。

 僕は急いで陛下のもとへと歩み寄る。


「陛下わたくしのわがままをお聞きいただき申し訳ございません」

「良いのだ。せっかくおぬしが気合を入れて用意してくれたのだ。気にしておらんよ」

「ありがとうございます」

「うむ」

「ではさっそく、こちらでございます」

「この箱は? 開けても問題ないのか?」

「はい」


 そう、今回僕は少し凝った演出をしようと思い、よくある新品の銃が入っている木箱を再現してみたのだ。

 かなりそれっぽい雰囲気が出ていると思う。中にはサラサラ生地の布で覆われているデザインだ。


「どれどれ……こ、これは!?」


 陛下が突然叫びだした。それに驚き、騎士や魔法師たちが駆け寄ってくる。側近の貴族たちも何事かと警戒しながら駆け寄ってきた。

 ただ大ごとにはならなかったのがこの木箱を渡しているのが僕であったことだ。


「お気に召していただけましたでしょうか?」

「まさか、まさか、これは?」

「はい、お察しの通り、新型の銃にございます」


 ざわりッ!


 会場内の空気が一瞬にして凍り付いていた。”銃” それは今注目を浴びている元凶でもある

アレン・ベッケラートの作った画期的な師団用魔法具のことである。

 その新型が今陛下の手元にある、つまり彼がまた新しい銃を開発したということに他ならない。


 皆自分が見てみたいという欲求を抑えるので必死だった。仮に見せてもらえるとしてもそれは陛下へのお披露目が終わってからであろう。

 世の中優先順位というものがある。


「だ、だがあの回転式の銃とはずいぶん風貌が異なるが……」

「はい、それは改良の過程で変化した結果でございます。最大の特徴は回転式銃のようにいちいち撃針を下ろさなくてよいというところにあります」

「それってつまり……」

「連射し放題ということになります」

「な!?」


 またまた会場内がざわついた。当然だ。今国内の貴族家にも警備用の魔法具としてもはやなくてはならないものとして普及しているリボルバー。

 普通なら長い年月をかけて魔法を鍛錬し、魔力制御の訓練もしっかりとこなしてきた魔法師たちでなければ魔法のように高威力な攻撃を容易には放つことができなかった。

 それを可能にしたのが銃という魔法具であり、リボルバーなのだ。ただでさえ高威力な攻撃を撃針を下ろす必要があるとはいえ、それでも容易に放てるようになった。

 それこそ連射と言える速度で。


 だが今回の新型はそれすら超えた。撃針を下ろす手間すらなくなったと言ったのだ。

 そりゃ会場内にいる全員がビビる。


 そんなわけで一人の高位貴族が我慢できずにアレンに声をかけた。


「ラント卿、そ、それはつまり今までのような高威力の攻撃をさらに早く放てるということですかな?」


 聞いてきたのは伯爵位を持つ大貴族なのだが、敬語で話している。それもそのはず、この貴族はアレンを支持しているのだ。敬意を持った態度をとっているのも不思議ではない。

 

「その通りでございます。ここの上の前後に動く部分を後ろにカチャッという音が鳴るまで下げると勝手に撃針が下がります。この状態に一度はいるともう後は撃針とこの上の”作動盤”と呼ばれる部分が連動して弾がなくなるまで動き続けます。そして弾が尽きるとここの”停止盤”と呼ばれる部分が作動盤を勝手に止めてくれます」


 みんな口を開けてポッカーンとした顔で僕を見ているが、お構いなしに僕は解説を続ける。

 ついでに言うと、作動盤やら停止盤というのはスライドとスライドロックのことだ。だが英語が通じないので当然この世界の言葉でわかりやすく伝える必要があり、そのため無難そうなダサいネーミングになったというわけだ。


「この状態になると、もう撃てないので予備の弾倉に切り替えます。そしてまた作動盤を引くと元の状態に戻りながらも、撃針は下げたままの状態に戻ります」


 ここまで説明してみんなの方に向き直ると、全員が驚いた顔をしているが、真剣に聞いてもいた様子。すぐにコメントが来た。


「おぬしは……またとんでもないものを発明したな」

「そうでしょうか?」

「ああ、全く。すごすぎるぞ、落ち着きたいというのに血の高ぶりが止められんわ。今すぐにでも試射をしてみたいところだな。これはまたも革命を起こす発明となろう。皆も試射に付き合うか?」


 陛下がさっそく試射をするようだ。そしてそれに付き従うか? という質問への答えは……全員の首肯。満場一致だった。


「ではさっそく試すとしよう。射撃場は空いているな?」


 陛下が使用人の一人にそう尋ねる。


「もちろんでございます。必ずお試しになると思い、勝手ながらすでに手配の者を向かわせております」

「うむ、さすがだな!」


 陛下めっちゃ嬉しそう。マジで王城の使用人さん達優秀すぎてえげつない。




 その後、僕たちは射撃場に向かった。


「ではまずはラント卿に試射をお願いしてもいいか? それで大体の撃ち方をさっきの説明とも合わせて理解できるだろう」


 おお、さすがは陛下。毎日射撃をして銃になれていらっしゃるだけはある。


「では僭越ながら」


 僕は弾倉を装填し、安全装置を解除し、スライドを一気に引いた。そして、


「いきます!」

「うむ! 思いっきり頼む!」


 他の貴族の方たちも興味津々だ。ではさっそく……


 ズダーン、ズッダッダッダッダーンッ! プシュー


「今回は試射なので弾は少なめなのでこれでさっきご説明致しましたように停止盤が作動盤を止めている状態となります」


 そこまで言うと、他の貴族と陛下達が、


「すごい……凄すぎるぞ! ラント卿! おぬしは誠に……凄すぎるぞ!」


 陛下……同じことしか仰ってませんが?

 するとほかの人たちも、


「なんという画期的で素晴らしい発明だ!」

「これで魔力の無い(大規模な攻撃魔法を放てる程という意味)人間でも、戦場に出られるし、騎士の戦力増強にもつながりますな!」

「ラント卿、本当に末恐ろしい方だ」


 などと口々に褒めたたえられた。喜んでもらえたようで何よりだ。だがそれよりも、


「陛下、どうでしょう? わたくしからの贈り物、お気に召していただけましたでしょうか? 完成したのがちょうど最近でありましたので、陛下へのご報告はぜひこの日にと決めておりました。長らくお待たせしてしまい、誠に申し訳ありません」


 そういうと、陛下は涙目で、


「何を言う、これほどまでに素晴らしい発明と報告、そして何より贈り物、余は嬉しいぞ! それだけではない、他の者たちもたくさんの贈り物、感謝しておる。よし、決めたぞ! 今日は皆にもどんと楽しんでもらわんとな! 特別倉庫に保管してある上物の酒、子の宴の規模に見合うだけ持ってこさせよう! ラント卿はまだ飲めぬが新鮮な果実から作った果実飲料を出させよう」


 本当に良かった、陛下は痛くご満悦のようだ。今回は例年よりも他貴族の方のプレゼントも豪華だったこともあり、陛下はいつになく上機嫌だ。

 他の貴族たちも僕の贈り物だけでなく、自分たちの贈り物も喜んでもらえたので満足そうだった。


 こうして陛下への贈り物は無事に届けられた。だが一つだけ残っていることがある。それは、


「陛下、一つだけせねばならないことがあります」

「む? なんだそれは?」

「その中の命名です」

「ッ!? そうであった。一番忘れてはならぬことを忘れるところであった」

「これほどまでに楽しき夜です。わたくしも気分が上がっておりますので仕方なきことかと」


 僕の言葉に他の貴族もうんうんと頷いている。


「私の方で一つ候補を決めておりますが、いかがいたしますか?」

「もちろん、聞こう!」

「では、さっそく。この銃の名前は……アンドレアス27式魔法銃です」

「ほう……それはいったいどういう揺来で?」


 陛下が食いついた。なら、


「アンドレアスというのは当然この偉大なる王国の名前です。そして27式というのは陛下のご生誕の日である本日の日付となります。そして魔法銃はその名の通りでございます」


 そういうと、射撃場内にシーンとした空気が流れた。


「なんと……なんと……」


 え? 陛下の体が震えている。もしかして何かまずかった?


「なんと素晴らしい名前だ! 気に入った! それにしよう!」


 そういう意味で震えてたのね。即決だった。


「お気に召していただけたようでなによりでございます」

「うむ、おぬしには心から感謝しておるぞ、ラント卿!」



 こうして陛下御生誕の日は大成功に終わった。その後、他の貴族や特に商人たちに取り囲まれたのは言うまでもない。

 父上にもかなりいろいろ質問攻めにされた。

 疲れたけど、なんだかんだ言い夜だったと思う。こういう日がずっと続くことを切に願うよ。

少し長くなってしまいました(笑)

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