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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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町の視察、そして新しい魔法具開発依頼!

 町に来てから一週間ほどたった。

 最近は執務室での書類仕事が忙しく、なかなか他の仕事に手が回らない状態だった。だけどようやく新しい仕事に時間を割けるようになった。

 それは……町の視察だ。なんだそんなことって思うかもしれないが実はこれはかなり重要なことだ。この町の現状把握だけじゃなく、この町は何が得意で何が不得意なのか、それを把握することも重要だ。

 あとは住民とのコミュニケーションだね。これは最重要事項と言ってもいい。中には高貴なる身分である我ら貴族が平民と関わるなど言語道断! とか、訳の分からない主義・思想を持つ残念貴族もいるのだけど、まあ、そういった貴族は総じて身分が低い。ベーレンドルフ家のような例外もあるが……それでも基本的には身分が低く、承認欲求が強いだけの者が多い。

 そりゃそうだ。陛下は父上やベッカー侯爵、アーベントロート伯爵やその他平民尊重派の貴族と仲がいいのだ。そりゃ、自分たち特権階級だけがおいしい思いをできて当然だなどと本気で考えてる愚か者を相手にしないのは当然だ。

 


 領主の館から出て護衛に守られながらとことこと歩いていると、いろんなものが目に入ってくる。

 冒険者組合、露店、治療院、教会、その他商店や武具店などなど。

 結構発展している。前の領主の血のにじむような努力が垣間見えた気がした。この活気を絶やさないように頑張っていくのが僕の役目だ。

 そうやって堂々と馬車にも乗らず歩いていると、当然住民たちにも気が付かれるわけで……


「ねえ、もしかしてあれって新しくこのラントの領地に就任したっていう領主さまじゃない?」

「ああ、そうかもな。それにしても子供だったのか? 大丈夫なのか?」

「シィッー---!!! お前貴族にそんなふざけたこと言うとか死にたいのか!? 小声だったからよかったものの大声で言ってたらお前首が飛んでるぞ!」

「ッ!? しまった……」

 

 彼は自分が普通なら死に直行するような失言をしていることに今更ながらに気づいたのだろう。

 まあ、僕は自分でいうのもなんだけど魔力が莫大なので基本的に体の急所にあたる部分と身体能力向上のため五感に関しては常時身体強化を発動している。

 故に丸聞こえだ。何せ今の僕は100メートル以上離れた場所で声を潜めて悪口を言われていてもしっかり聞こえているくらい五感が優れているんだ。

 こんな近い距離で声を潜めたくらいで僕の地獄耳から逃れることなんてできない。

 

 それにしても、"子供で大丈夫か"か。そう思うのも仕方のない事なので別に気にしていない。

 ふつう自分の町とその周辺の領地の新しい主が子供と聞かされれば不安になるのも無理はない。


「でも今回の領主さまは子爵位なんだろう? 大国であるアンドレアス王国の国王陛下が仕事ができない人間にそこまでの身分を与えるか?」

「それに子供で子爵って……まさかあの最近いろいろな功績を挙げて様々な役職に大抜擢されてるっていう天才貴族じゃないか? 確か名前は、アレン・ベッケラート子爵」

「状況から見るに間違いないだろ」


 ただ、こうやって状況を見て判断できる人間もいる。アンドレアス王国には教育制度がほかの国よりも充実してるので、当然貴族爵位についても教えられる。

 なので意外と身分について深く理解している国民が多いのだ。


「そっか、そうだよな! そういう凄い人じゃないと子爵になんか子供でなれないよな」

「いまさら気づいても遅そうだぞ?」

「え?」


 彼らは自分たちの方向に近づいてくる一人の影に気が付いた。そしてその人物を見て驚愕し、血の気が引いていく。


「まさか……聞こえていたのか?」

「どうだろうな……」

「最悪だ、どうしてあんな無神経な発言をしたんだ」

「だってよ……」

「だってもこうもないでしょ。取り敢えず変に隠したりせず、正直に話して死罪は免除してもらえないかお願いするしかないでしょ」


 ほう、彼らはなかなか冷静だね。そう、僕は彼らの方向に向かって歩いている。別に断罪するためではない。

 むしろ逆というか、プラスの意味で彼らに用があるのだ。


「君たち、僕が領主では不安かな?」

「いや、えっと……」


 完全に青ざめている。少し聞き方をミスったな。かなり威圧的に聞こえたかもね。周りの平民たちもみんな彼らを憐れむような眼で見ている。

 ここは彼らを落ち着かせるのが先決だね。


「別にビクビクしなくていいよ。君たちを断罪するつもりなんて、はなから無いから」

「え?」


 ものすごく驚いたような顔をしているね。そりゃそうか、死を覚悟していたらそもそも断罪する気なんてないですよ~、なんて拍子抜けなことを言われたんだから。


「え、ですが僕はすごく失礼なことを……」

「確かに貴族絶対主義の貴族ならかなり危なかったね。でもこの国の貴族の方たちは割と平民の人たちにもいろんな場で機械を用意するべきだ~って考えを持ってる人多いよ? だからそんな簡単に罰せられたりしないと思う。もちろん僕もその考え方ね」

「そ、そうなんですか?」

「うん。まあ、勿論さっきも言ったけど平民にきつい態度をとる貴族もいる。でも僕はそんな主義に興味はない。むしろ立場の強い人間が立場の弱い人間に横暴な事するのとか嫌いな方だから」


 それを言うと彼らはすごく驚いたような顔をした。まあ、基本的には貴族は平民を嫌ってるって思われてるだろうからね。

 僕からすれば誰のおかげで貴族出来てんだって思うんだけど。だって貴族の活動資金である税金って平民から出てるわけだし。


「そ、そうなんですか?」

「うん。だから気にしなくていい。それよりもちょうどよかったから聞きたいんだけど、僕はこの町を農業で発展させたいと思ってるんだ」

「農業?」

「お米やお野菜を作ったりするお仕事のことですよね?」

「その通り。そしてそこで重要になってくるのが畑仕事や肥料関係に詳しい人材なんだけど、そういう人たちをこのあたりで知らないかな? 勿論、この町がそういった事業にあまり手を出していないのは知っている。でもこの町に来る途中でいくつか畑仕事をやっているであろう家を見つけてね。それでこのあたりにもそれらに詳しい人がいないかと思って」

「そ、そういうことでしたか」


 彼らはすごく安心したような顔をした。そして、


「何人かに心当たりはあります」

「本当? もしよければその人の家に案内してもらえないかな?」

「お安い御用です!」

「それじゃあ、お願いしようかな。それ以外の人たちはもう帰るなり、なんなり、自分の行動をしてくれていいよ」

「と、咎は無いのですか?」

「さっきも言ったけど、僕は権力乱用が嫌いだ。でもだからと言って何でも許してもらえると思ってもらっちゃ困るけどね。法律などは順守してもらって、礼節に関してもある程度はしっかりしてほしい。でも基本的にはちょっとしたことで僕は人を罰したりはしないよ」

「あ、ありがとうございます」


 そういってほかにも噂話に参加していた者たちはみんな去っていった。他の周りにいた住民たちは僕の対応に驚いた感じだったけど、その顔に嫌悪感のようなものは一切ない。

 まずは幸先の良い一歩かな。さっきの話、結局のところきっかけ作りでしかない。僕の貴族としての在り方を住民に見せるためのね。これで、今回の領主は理不尽な暴力は振るわない、そう思ってもらえただろう。前回の領主は住民の様子を見る限り、仕事はできるし、無駄な暴力は振るってなかった感じだけど、それと一般的な物事に関しての厳しさは関係ないからね。

 特に礼儀や貴族に対する敬意など。普段は危険はないけど、気に障ることをしたらどうなっていたかまでは分からない。

 だからこそ、僕は基本的には弱い立場の者に理不尽な暴力は振るわない。

 ただ気を付けないといけないのは、対応が甘すぎてもダメなところだ。あまり優しくしすぎて罰すべきところで罰さないなんてことをしたりしたらつけあがる人もいるだろう。

 そういうのは徹底的に取り締まるべきだ。要は線引きだよね。




 そうして、僕はいくつかの畑仕事経験者の人たちを訪ね、僕に協力をしてもらえるという了承を得た。

 その後屋敷に戻り、妻たちとイチャイチャした後執務室に戻ってすぐに次の書類仕事を始めた。

 そしてその書類の一つに目が留まった。ベッカー侯爵とコルネリウスさんからのものだ。つまり師団員からの直々の手紙?

 ということは何かあったのかな? さっそく開けてみる。


 内容を見てみるとびっくりだった。結論として、また新しい師団員用魔法具を作ってくれ! というもの。

 ええ、マジですか……この前作ったばかりなのに。でもベッカー侯爵やコルネリウスさんにはすごくお世話になってるし、何よりも陛下とお国に貢献すると決めた。

 やるしかないか! できるか分からないけど、最大限頑張ってみよう!

 もうじき僕が学園で受けたい授業もすべて取り終わるし、そろそろ本格的に仕事にだけ打ち込めるだろう。

 次はどうしようか? 実は僕は前世ではサバゲー好きでもあったので、エアガン、電動ガン、ガスガンと本格的に集めてた。

 なのでアイデアがないわけではない。ただ問題は作れるかだ。取り敢えず無難なハンドガンで、オートマチックの銃にしてみようかな?

 何となく構造をくみ上げることができればあとは魔力付与だけでどうにかなる。やってみるか。



本日もありがとうございました!

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