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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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領地での仕事、そして新生活!

 結婚式があった日から数日が経ち、僕はようやく王都での仕事が落ち着き、領地へ訪問できるようになった。

 うん、まず訪問って言い方が第一おかしいんだよね。

 だって僕の住む場所なんだもん。

 でも、今まで王都で色々仕事をしたり、学園に通ったりしてるのもあって、領地にずっといることもできない。

 まあ、転移魔法を僕は使えるから通えないことはないんだけどね?

 行きたい場所の光景の記憶があれば転移はできる。でも貴族は移動の際、途中の街などでお金を落としていくのが暗黙の了解となっている。なので基本的に緊急時以外転移は使えない。

 

 まあ、そんなこんなで今までずっと領地に行けてなかった状態なんだ。だから今回が初訪問。

 本来ならすでに領地も屋敷も与えられてるので、帰還って言葉が正しいんだろうけど、僕の場合お邪魔しますだもんね。仕方ないけど、少し悲しいな。


 でも逆に言えば、結婚式も終えてこれから新生活が始まるんだ。そう考えれば新たな人生の第一歩を歩むための新天地とも捉えることができるので、むしろ都合がいいのかもしれない。

 しっかりしなきゃね! これからもどんどん功績を上げてお国に貢献するんだ!




 そんなことを考えながら馬車に揺られていると、領地のエリアに入った。いよいよ自分の町とご対面だ。

 そう思い、窓から外を眺めてみる。すると、あたり一面が大平原に覆われていた。そして影の月なのでまだ気温は寒く、植物は枯れているままだが、このまま季節が変われば森の月に突入する。

 そうなれば、気温もだいぶ暖かくなってまた元気になる植物が増え、この大平原も農業などに適した土地に戻るだろう。

 パッと見た感じ農業に手を加えている印象はない。ただダダっ広い草原が広がっているだけだ。

 だからこの土地のことを調べてみたとき、これといった特産物、特に農業系が一切なかったんだよね。そのほかのジャンルでも特に名物のようなものはない様子。

 そうなると、どうすればいい?


 僕は今の時点ではありきたりな候補かもしくは突飛な案しか思いつかない。具体的には、まずはお米の生産だ。この世界にも当然のように稲があるんだけど、その生産量はいまいち芳しくない。

 ほかの国にかなりのお米の輸出国があるからそれに完全に頼ってる感じだ。なので農業系で挑戦するならまずお米だ。他の野菜とか果物っていうのはほとんどシュナイダー伯爵やミュラー男爵、シュミット子爵が独占状態だ。

 今更リスクを冒してまでこんなすごい人たちと競わなくてもいい。要はこの国の中で生産できる作物、生産物を増やせればいいわけだからね。

 他国からの輸入に頼っている状態を減らせればいいだけだ。国内でわざわざ得意分野で競わなくていい。

 なのでこの国の弱点部分であるお米の生産に力を入れていこう。こんなにもお米の生産に適した土地があるのに今まで放置していたなんて……適度に湿っていて水分が過剰すぎずかつ、少なすぎて干からびることもなく、バランスのいい土地。

 そして王国は大国なので国土も広い。なので寒い地域、温かい地域、当然ある。そんな中で僕らの土地はその両方が程よくまじりあってる土地だ。

 つまり夜と昼間の気温差もなかなかにあるので、おそらくおいしいお米が作れるのではと思うのだ。

 そして王国は豊かな国なので、水に困ることもない。そしてこの土地そのものが、程よく水分もあるので、自然からの水の供給も大したものだ。

 かといって水はけが悪いのかと言えばそうでもない。さっきも言ったように冷たさもあれば、温かさもある土地なのだ。

 仮に雨が降って地面が余分に水を吸っても、昼間に程よくはけてくれてる。そんな土地だ。


 中々にいい条件がそろっているのではないかと思う。そして普段の平均気温は26~28くらいで、夜は当然下がる。

 なので影の月であっても一定の暖かさはあるのだ。


 やはりこの土地では農業をやるべきだ。前世での学生時代に興味を持って調べてみた雑学がこんなところで役に立つとは……人生何事も学んでみるべきだね。

 勿論、僕は知識があるだけで経験は皆無の素人だ。やはり畑仕事などをやったことのある人たちに話を聞いてみてできそうかどうか相談することも必要だろう。


 ほかにあるとすれば僕が領主になるんだから魔法具の生産に力を入れるとか? 序盤は僕が頑張って後々に僕の領地で学校を建てて、そこで一般教養科目だけでなく、魔法具にも力を入れて教えるとかね。

 そうして僕の後継にとって代わってくれるような人物が現れれば万々歳だ。

 うん、今の案もなかなかいいかもしれない。時間はかかるが確実にこの領地特有の生産物になるだろう。

 

「なにせこの領地の人たちにとっては初めての経験だろうからね」

「ん? アレン様、何か仰いましたか?」

「貴方ってたまに独り言を発してますよね?」

「そう?」

「ええ。ビアンカの言う通り、たまにふと喋りだすことがありますわ」

「あははは。取り敢えず何でもないよ。気にしないで」


 そっか、たまにいきなり喋りだすのか……怖!?

 ちょっと気を付けないと。それとエレオノーレがビアンカと砕けた感じで話しているのは、もうすでにビアンカが”元”王女だからだ。

 今はもう王族ではない。形式上はね? 血筋はそりゃ王族だけど、それでもベッケラート子爵家に嫁いできたからもうアンドレアスの姓は名乗れない。

 なので今はいち貴族夫人だ。そういうわけでエレオノーレもようやくため口で話すのに慣れてきたようだ。




 そうして正式に妻と認められた僕の可愛い同行者と筆頭執事のデニスとともに馬車で揺られているとすぐに僕の屋敷に着いた。

 かなり立派な造りだ。しかも相当デカい。これ本当に子爵の屋敷か? 侯爵家や辺境伯家の屋敷ですって言われても納得できるデカさだぞ?


「大きいですわね」

「本当ですね! さすが貴方が使うにふさわしいお屋敷です!」

「そうかな?」

「そうですわね、ビアンカの言う通りですわ」

「はい!」

「そっか」


 本当にビアンカははきはきした元気な性格の子だよなあ。エレオノーレはどっちかというとお姉さんって感じだし。


「とにかく中で代官の人も待ってるはずだし、早いとこあいさつしに行こうか」

「「はい!!」」


 ふと、今思ったけど、ツェーザルやグスタフたちは元気にしてるかな? 彼らも実質学園を卒業してるようなものなので、かなりやることが少なくなったんじゃないかと思う。

 ただまあ、それは選択科目しかなくなったことで授業回数が減り、学園に強制的に通学する必要もなくなっただけだけどね。

 実際にはまだ授業があるわけだし、僕も興味のある授業はまだ受講してる。それに前世の感覚で言うとかなり早いと思うかもしれないけど、この世界では学園を卒業して学生という立場を終えたらほとんど社会人と同じ扱いを受ける。

 ただ少し違うのは成人するまでは成人見習いという感じで扱われるのだ。具体的にはどういうことかというと、就職先が見つかれば働くことはできるし、収入も得られる。

 だが税金はまだ納めなくていい上によほどのことがない限り大胆に社会進出できないので、そこまで社会に出てから責任を問われたりすることはない。

 実質的には働けるけどまだ学生のアルバイトとして働いてる前世の大学生みたいなのをイメージしてもらえれば分かりやすいかと思う。

 そして彼らのように、社会的責任というのは大体上司や正社員の人たちがとることになるあの感じなのがその成人見習いという者たちだ。 


 そういうわけで、貴族家嫡子であるカール、ツェーザル、グスタフはともかく、ダミアンやベティーナ達はかなり微妙な立場に今はなってると思う。

 ただ彼らは緊急時などにはお国から戦闘員として出動要請が下ることになってる。これは陛下からの直々の依頼だ。

 彼らは涙を流して喜んで引き受けていた。あのグスタフですら少し目が赤かった。それほどのカリスマがあるんだろうな、今の陛下は。


 そんな感じでみんなそれぞれバラバラに動いている感じだろうから今度少しだけでもいいからみんなで会う時間を作ってみたいな。

 心からそう思う。



 そんなことを考えていると、


「お初にお目にかかります、アレン・ベッケラート・ラント子爵。この度はお忙しい中領地にお顔をお出しいただき誠にありがとうございます。私はあなた様の代官に命じられました、ドミニク・ホフマンでございます。爵位は騎士爵を賜っております」


 育ちがよさそうで人柄もよさそうな壮年の男性が現れた。銀髪の特徴的な風貌だ。


「こんにちは、初めまして。もうご存じのようだけど、礼儀として。アレン・ベッケラートです。よろしくね」

「はは」


 ちなみに今出てきた”ラント”という名前、これは僕の町の名前だ。基本的に領地自体には名前がないので、街の名前を貴族の名前に加えることがある。

 ことがある、って言い方をしたのは一般的にこの名前を増やすことは行われないからだ。なぜかというと一つの家門しかない家には必要ないからだ。

 こういう自分の名前に土地の名前を入れるのは本家と分家が存在する規模が大きい貴族家に限られるからだ。

 本家と分家と言っても血筋はつながってる。だが法律上は別家扱いなのだ。だが名字は同じ、この複雑な関係をわかりやすくしようということで始まったのが、自分の名前に領地の中心となる街の名前を加えることだ。

 ちなみに僕の場合はまだ”街”と呼べる規模ではないがいずれはそれくらい大きな”街”にして見せる。


 まあ、話しはズレたが、要は名前に町の名前が加わるのは血筋でつながりのある家を複数持つ大規模貴族に家の違いを分かりやすくさせるためという意味がある。

 立場と格の違いを明確にさせるためという意味合いもあるみたいだが、それはそこまで重要な理由ではない。


「では、当主様のお部屋や仕事場のご説明を致しますので、どうぞ屋敷におあがりください」

「分かった、よろしく頼むよ」


 そうして屋敷の案内が始まった。



 これからいよいよ僕の領地での新生活と仕事が始まるんだ。頑張っていこう!


 

 



漸く領地入りという奇妙な展開ですが、彼らにとっては新生活を歩む新天地としては良いのかな? とも思います(笑)。

本日もありがとうございました。

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