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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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天使たちのその後、そしてアレンたち

最近遅くなり気味ですみません。

 旧帝都の魔将帝たちとの戦闘の後、強い気配を感知して応援に駆けつけてくれた他の聖天将たちと合流し、サルネリエとアリエルたちはすぐに帝都を離れた。

 そして今後の魔力回復についての話になる。


「アリエル、あの場所を我々のものにできないとなるとどこかほかに効率よく魔力を補充できる拠点が必要だが、心当たりは?」

「残念だが……」

「そうか……仕方ないしらみつぶしに探すしかないか」


 彼らはこれからものすごい労力をかけて、新しい拠点を探す羽目になることを憂鬱に思っていたのだが、そんな彼らに朗報が、


「そんなことはないんじゃない?」

「セレーヌか……どういうことなんだ?」

「簡単なことよ。あなたたちは今までも人間になんて興味なかったから彼らの国についてほとんど知識を持ってない様子だったけど、私は幾分か人間に興味があったから、人間の”国”と呼ばれるものが点在する地域の地理を調べてみたの。そしてここからすぐのとこに帝国にも引けを取らないほどの大国があるの」


 それを聞いてサルネリエたちはしめた! と思った。だが、


「で、そこに行けばいいと思うんだけど、一つ問題があるの」

「それは何なのだ?」

「竜魔導師、って聞いたことある?」

「ああ、何度か。あまり覚えてはいないんだが、何でも竜たちと”契約”と呼ばれる儀式を行い、それにより人間でありながら竜たちの力を行使する人間のことだった、よな?」


 あまり確信がなく、サルネリエは他の七大天使たちに視線を向け、確認した。すると、


「私もそのような感じで記憶しているぞ?」


 と、もう一人の七大天使・聖天将・蒼雷(そうらい)のルドエルがそう答えた。


「そうね。その認識でいいと思うわ。それでね、その竜魔導師なんだけど、どうやら数が少ないみたい。儀式をすれば誰でも強くなれるってことじゃないらしくて、やっぱり才能とかが関係するんですって。だからこそなんだけど、生活の水準も高く、自分たちの人生をしっかりと保護してくれる大国であるほど、竜魔導師の数は多くなるみたい」

「つまりは……」


 ここまでくれば、他の七大天使たちも悟った。


「そう。大国であれば拠点にするのには困らないけど、その分竜の力を行使できる人間という脅威が多くいるってことになる。私は一度だけ戦ったことがあるわ。私たち天使と悪魔との戦争を終わらせるために関係もないのに干渉してきた奴がいてね、そいつに邪魔されたのよ。めちゃくちゃなくらい強かったわ」

「そうか。事はそう単純でもないということか」

「それで? どうするの? ここから少し行ったところにその大国に近い国ならあるけど。そこなら小規模だし、わざわざ無駄な戦いで消耗することもないと思うんだけど」

「わかった。君の案に乗ろうじゃないか。他のみんなもそれでいいか?」


 サルネリエがそう確認すると、他の聖天将たちはうなづいた。基本的に七大天使たちは悪魔の七つの大罪ほど強さの序列によって仕切る者が決まったりはしない。

 強いのは前提であり、注視されてる点はどれだけ皆にとって有用なまとめ役を務めることができるか、それを基準に七大天使たちは自分たちを仕切る人間を決めている。

 そしてサルネリエは今まで何度となく功績を挙げてきて、皆から信頼されている。なのでこういう時に基本的にはサルネリエに反対する者はいない。

 そういうわけで実質的に天使たちを率いているのはサルネリエ、そしてセレーヌもその一人に入るだろう。

 だが一番影響力があるのはサルネリエだ。


「よし、ではその人間の国とやらを攻めに行くぞ」

「方針は決まりのようね」





 そうして天使たちは帝国から向かってきているとすると、アンドレアス王国の一つ手前の国を落とすことに決めたようだ。

 そう、こういうところなのだ。天使たちは表向きは悪魔たちの悪逆非道の行いをいさめている、そういう風になっているがそれは悪魔たちと戦うための大義名分でしかなく、結局のところ自分たちのことしか考えていないのだ。

 竜や人間たちのことなどどうでもいいのだ。そこがかつて人間や竜たちも混ざっての大戦争になった原因である。

 今回もその可能性は十分にある。果たしてアレンたちはこの激動の時代に打ち勝つことができるのか、その運と実力が試される。






 場所は変わってアンドレアス王国、そのとある屋敷で。


「はい、できました。御着替え完了です! 婚約者様にお見せになってみてください。きっと喜んでくださいますよ! お二人は隣のお部屋です」

「そっか。どうもありがとう」


 僕はそういって隣の部屋に向かった。するとそこにはまぶしすぎる光景が、


「あ、アレン様!」

「やあ、服の調整はどんな感じ?」

「とっても順調ですよ! あの、それよりも……その……」


 エレオノーレはもじもじとして動かない。ここは男らしく、カッコよくいかないとね。


「エレオノーレ、そのクローセル、とっても似合ってるよ」


 クローセルとはこの世界のドレスのことだ。服の言葉までまるっきり前世と違うから最初は覚えるのに苦労したよ。

 ちなみにビアンカはエレオノーレの隣でずっとニヤニヤしている。意外とこういうのを自分はそっちのけで楽しむタイプなのかな?


「あ、ありがとうございます。アレン様もすごくお似合いでカッコいいですよ」

「ほんとに? それは良かった。時間をかけて調整してもらった甲斐があったよ」


 そうやってお互いを褒めあってから、当然僕は大事なもう一人の婚約者も忘れずに褒める。


「ビアンカもすごく綺麗だ」

「あ、ありがとうございます!」


 さっきまでエレオノーレと僕のやり取りを楽しんでいたのが嘘のように赤面して俯いている。

 可愛いな。


「じゃあ今着ているのと、あと何着か調整してもらってそれを買おうか」

「え!? まだ買っていいんですか!?」

「もちろんだよ。結婚式本番の服も当然のことだけど、ずっとクローセルってわけにもいかないでしょ? 披露宴とか、そのあとの貴族同士での集まりとか、そういったのに合わせてあと何着か用意しないといけないからね」

「確かにおっしゃる通りですね」


 僕が複数着買う理由を答えるとビアンカもそれを肯定した。流石は王族、結婚式に関しての教育まで早くから行われてるんだな。

 普通の貴族なら自分から調べないとあまりこういう知識は身に着けられない。


「そうなんですね。そのお話を聞くと確かにあと何着か必要かもしれないですね」

「でしょ? だから遠慮しないで。今日は仕事も学園も休みなんだ。この後も何時間でも付き合うよ」

「アレン様……」

「本当に、私は素敵な殿方のもとに嫁ぐことができて幸せですわ」

「大げさだよ、二人とも」


 僕が笑って否定すると、


「「いいえ!! 大げさなんかじゃありません!!」」


 真剣に否定し返された……女の子ってたまに男性がひるむくらいの迫力を放つときがあるよね?

 今普通にびっくりしたよ。


「分かった、分かったから落ち着いて」


 そういって、僕は彼女たちをいったん落ち着かせて、その後は2、3着ほど彼女たちのクローセルを選び、僕のテレストール(前世でいうタキシード)も何着か買って、僕の屋敷での服の訪問購入は終わった。

 終わった時にはもう夕方の5時くらいだったと思う。無茶苦茶時間かかった。特に女の子連中。


 来てみたい服が次から次へと見つかったらしくしらみつぶしに試着していた。そして最終的に予定より多めに服をプレゼントして、より満足してもらえたようだ。



 さあ、あとはいよいよ準備の本番、本格的な式に向けてのもろもろの準備だ。もう会場は決めてあるんだけど、本番でどういう手順で行うかとか、式においての作法とかいろいろ調べて勉強することもある。

 中々に大変な毎日だ。だけどこれを乗り越えればその後にはうんと楽しく、幸せな時間が待ってるはずだから。

 今はもう少しの辛抱だ。


 


 こうして式の準備は順調に進んでいくのだった。隣国がこれから大変な目に遭うことになるとはまだだれも予想もしていなかった。

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