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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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衝突! 魔の力と聖の力!

 聖天将と魔将帝の戦いが勃発して十数分後……


「はぁ、はぁ、やはり私一人では厳しいか……」

「何を当たり前のことを今更……」


 ヴォルドールは呆れかえっている。当然だ、他の聖天将に見張りに行かせて自分だけで突っ込んできた。その割には彼の配下もゼローグの配下の守りを突破できないでいる。

 そして大将同士の戦いも、お互いが拮抗している状態でずっと展開が進んでいない。


「貴様にはほとほと呆れる。聖天将・風嵐のサルネリエよ。我等に対し貴様1人では何もできぬことは貴様自身が一番分かっておろう」

「ふん! 不利であることなんぞさっきも言ったが百も承知! 他の仲間が来て余裕ができるまで保てばいいのだ!」

「笑止。誠に愚かなり」


 ゼローグがそう言うと、吸引力のある旋風を纏った闇の槍がサルネリエの頬を掠めた。

 サルネリエが咄嗟に避けたからよかったが、当たっていれば顔の半分を抉り取られていただろう。

 そして抉り取った相手の体を魔力に変換し、吸収する。

それがゼローグの魔法属性以外の特殊攻撃。

 「貪る暗黒」、である。

 悪魔や天使には魔法属性以外に特殊な攻撃方法があり、それが固有能力、呪念(じゅねん)である。

 これは自分の想像力に応じて形を変える闇を攻撃能力として放つものである。

 こう言った類の特殊攻撃は他の生物も備えていることはあるが、あまり居ない。

 

「ふん、避けたか」

「当然」

「しかし、貴様がより消耗し、戦えなくなるのも時間の問題。いつまでその鬼ごっこが続けられるかな?」


 ゼローグがそう言う。そしてそれは事実だ。実際、サルネリエの消耗具合は相当なもの。

 それもそのはず、なにせゼローグ側の側近は元々3人。それに対してサルネリエの側近は2人だ。

 つまりゼローグ側の戦力が1人空いている状況だ。そして他の魔将帝は様子見を決め込んでいるので、その側近が闘うことになる。

 なので、聖天将は2人同時に戦わなければならず、しかもそのうち1人は魔将帝ときた。

 勝てないのも無理はない。


 サルネリエはゼローグとその配下の悪食のドレイルの猛攻を何とかいなしているがさすがにそろそろやばいと思い始めてきた。


 そして、


「消えるがいい! 『弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)』!」


 ゼローグが技を放つと同時にドレイルは後方に飛びのいた。

 そしてそのすぐ後にはゼローグの技が猛威を振るう。貪る暗黒の力を最大に使って引力を作り上げ、その上さらに彼の得意な風魔法の強力な吸引力を加え、すべてを引き込んでいく。

 当然他の悪魔たちは結界を張り安全を確保している。


「くッ! これはッ! お前の呪念か!」

「その通りだ。この技をもろに受けて無事だったものはいない。いまだ天使どもにも見せたことはないほどの必殺技なのでな。他の生物に使った時は全てのものが跡形もなく消えていったぞ」


 サルネリエはその言葉を聞き、戦慄した。今までは手抜きされていたのだと悟ったからだ。

 それだけの力を彼は保持しているということ。

 今にも最上位天使である自分が引き込まれて死にそうになっているのが何よりの証拠。

 そしてこの技は天使には使ったことがないというような口ぶりだった。つまり、他の生物には使ってきたということ。そしてそのことごとくをこの技を使えば殺せたということ。

 

 まずい、非常にまずいとサルネリエは思った。だが彼にも特殊な力はある。それが、聖技(せいぎ)と呼ばれる業だ。

 これは天使全員に備わっている力だ。具体的には悪魔と似たようなものだ。イメージした光の技を攻撃能力として相手に放つ。

 そして彼の力はまさに二つ名にふさわしい力。嵐や暴風のように聖なる光をまき散らすというもの。だが味方を巻き込む恐れがあるので今まであまり使わなかったし、今回も控えようと思っていた。

 だが、ことは一刻を争う。どうする? 使うか? そう自分の中で自問自答していたその時、


「はあ、全く。だから無茶だと言ったのだ」


 何者かがそう言った途端、地面から神々しい光をまとった壁が現れ、サルネリエを守ったのだ。これは今技を放った天使の聖技だと思われる。


「なッ!? アリエル!? お前には見張りを頼んでいただろ! なぜここに?」

「馬鹿なのか? お前は。今のところ悪魔が攻めてくる気配がなかったから様子を見に来たんだ。それに向こうは既に勢ぞろいしているだろうことは気配から分かっていた。そういうわけでやはり一人で行かせるのはまずいと思ったのだ。そうして見に来てみれば想像通りの光景。ここは一旦引くぞ! 戦力が違いすぎる」

「何を言っているんだ! ここを完全に占拠され、援軍を呼ばれたら今度こそここを落とすのは至難の業だ! 少しでも時間を稼ぎ、他の聖天将が来るのを待つのが得策だろう!」

「確かに、お前の言っていることは正論だ。間違いなく正しいだろう」

「なら!」

「まあ、落ち着け。援軍を呼ばれるのは厄介だが、それ以上に目の前の圧倒的壁をどう突破するつもりなんだ? はっきり言って下っ端の悪魔千体と戦うよりも、こいつら一人一人を相手にする方が百倍危険だ」


 その言葉にサルネリエも否定できない。今までにも魔将帝たちと戦ってきたが、ここまで本気の潰しあいをしたのは今回が初めてだ。今までは戦争の指揮官として従軍していたのだから当然だ。

 基本的に強敵との一騎打ちで戦うならばともかく、あたり一面敵と味方の混戦状態となるであろう戦争において指揮官が自ら先陣を切るのはとんでもない愚策だ。

 最低の悪手と言ってもいい。何せ、その指揮官がいなくなればその時点で部隊は壊滅するであろうから。


 現代地球の軍隊やスパイ、傭兵、特殊部隊といったような組織なら一人ひとりの訓練も行き届き、その上特殊な任務をこなす部隊なら、それこそ皆が指揮官並みに優れた頭脳と知識を持ち、危機的状況にも対処できるかもしれないが、この世界にそこまでの組織の質はあり得ない。

 まあ、結論として、危険だから今まで前線には出ていなかったので、本気で潰しあいをしたのは本当に今回が初めてなのだ。

 そして今回初めて魔将帝の強さを目の当たりにし、自分も本気を出していなかったとはいえ、なめてかかるのは危険だと思った。


 なので、


「わかった。撤退しよう!」

「ああ、それじゃあ、さっさとここから出るぞ!」

「おいおい、もう帰っちまうのか?」

「ああ、さすがにこの戦力差での戦いは厳しいものがある。故に仕切り直そうではないか。同じ条件でお前たちと相まみえることができるように次は戦力を整えておくとしよう」

「ふん。おもしれえ。楽しみにしてるぜ?」


 ヴォルドールがそう答える。対するサルネリエの答えは、


「ふん!」



 そうして悪魔と天使たちの戦闘は幕を閉じた。果たして今後彼らの決着はどうなるのか? そしてその戦いに人間や竜たちはどのようにして巻き込まれるのか、今はまだ誰にも分からない。

最近忙しくてなかなか毎日投稿できておりません。申し訳ありません。

本日もありがとうございました。

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