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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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旧帝国のなれの果て

 旧アフトクラトリア帝国・帝都、その中心に聳え立つ宮殿の玉座の周りに鎮座する者が複数名。

 彼らは皆からこう呼ばれている、『七つの大罪』と。

 真ん中の玉座に座っているのは七つの大罪のリーダーのようなものを務める最強の男。七つの大罪は皆同じくらいの強さだが、全員が最強の座に関してはその男と認めるほどの存在。

 それが、”憤怒のヴォルドール”、そしてその周囲の床やら玉座前の階段やらに座っているのがその他の大罪のメンバーだ。

 階段の一番前に座っているのが帝都を落とした張本人、”強欲のアルマーダ”。そのすぐ後ろの柱にもたれながら立っているのが”暴食のゼローグ”。

 次に玉座のひじ掛けに座るようにしてもたれているのが、”傲慢のヴェルノート”。そして玉座を背にして地べたに座っているのが、”怠惰のべネルタ”

 そして階段の真ん中あたりに足を組んで座っているのが、”嫉妬のセレジア”。そして最後に玉座に座っているヴォルドールにしな垂れかかるようにして、ひじ掛けに器用に足を組みながら座っているのが、”色欲のアリシア”だ。


 そう、ここには七つの大罪……つまりは魔将帝級の大悪魔が勢ぞろいしているのだ。そして玉座から広間の扉まで敷かれている絨毯の横に綺麗に整列しているのがそれぞれの悪魔の配下たち。

 彼らも全員が準魔将級の上級悪魔だ。


 彼らが集まったのはとあることが目的だからだ。それは……魔力の回復だ。


 ではなぜ魔力の回復のために帝国を落とし、そこに集まる必要があったのか。

 それは帝国がアンドレアス王国と国境が接していないとはいえ近い位置にあるからだ。そしてアンドレアス王国に近いということはどういうことか、それすなわち魔大樹の森と近いということ。

 魔大樹の森は人間が思っているよりも貴重な場所だ。とにかく魔力が潤沢に溢れていて、魔物も魔獣も生存競争の為の戦闘で力を使い果たした場合は魔大樹の森に魔力を補充しに来る。

 だから魔大樹の森は魔物などが多いのだ。そして魔力が活動の原動力となるので集まってくる魔物たちの中にも当然強い者も居る。

 そういうわけで基本的には実力のある者以外、魔大樹の森には立ち入ることを禁止されている。



 それほどまでに人間以外の生物、特に魔物たちに恩恵を与えることができる魔大樹の森は悪魔にとっても都合がいい場所なのだ。

 悪魔も魔物や魔獣と同じで魔力が活動の原動力だ。よって魔力が減って弱体化しているというのは彼らにとっては死活問題となる。

 それでも、竜魔導師以外の人間程度では相手にならないほど強いのだが……

 ただ何も体に影響を及ぼさないというわけではない。そこまで気にする必要がないのは戦闘においてだけであり、健康面には害を及ぼすのだから。


 そういう理由があって悪魔たちは魔大樹の森に近い帝国に真っ先に乗り込んだというわけだ。そしてそこにいる人間や皇族、貴族を皆殺しにしたのも自分たちの魔力補充を邪魔されないようにするためだ。

 これから徐々に他の悪魔たちも集まってくるだろう。



 そんな中大罪のうちの一人、ヴォルドールが、



「お前たち全員と会うのも久しぶりだな。軽く千年以上も会ってないんじゃねえのか?」

「そうなるな。封印される前に何人か個人的にあったぐらいで、全員集まるのは久方ぶりだな」


 ゼローグがそう答える。


「やっぱりお前ら全員揃うと覇気の密度が半端じゃねえな。そりゃそうか、俺たちはあのお方に直接力を与えて頂いたんだからな」

「そうだな」


 ゼローグとヴォルドールの会話が始まったのをきっかけに、それぞれが話し始める。


「それにしてもアルマーダ、本当に強い者は一人もいなかったの? この国に」

「ああ、そうだよ。実に興ざめな夜だったね。もう少し骨のある者……そうだね、俺の配下に勝てるくらいか最低でもいい勝負ができるような奴がいればもう少し楽しめたんだけどね」

「あら、そうなの? 最悪ねそれ。一番骨折り損な奴じゃない」


 今度は強欲のアルマーダに色欲のアリシアが質問する形で会話が始まった。




 そんな感じで全員がそれぞれ会話しながらまったりと過ごしていたのだが、



 ドーンッ!



「なんか来たみてえだな」

「そのようだな」


 またヴォルドールとゼローグが受け答えし、話が進んでいく。


「数は……そうだな……」

「3のようだな」

「ああ」

「面白そうなのがきたねえ!」

「ようやく楽しめそうですわ」


 彼らは一様に楽しげな表情を浮かべた。見る者が見れば身の毛がよだって恐怖でその場から動けなくなるような光景だろう。

 七つの大罪は皆が特徴的な風貌をしている。例えばヴォルドール、彼は憤怒の名にふさわしく炎がめらめらと揺らめいているような風貌。

 暴食のゼローグはその名の通りに闇で全てを飲み込みそうなまるでブラックホールを型どったような風貌。

 強欲のアルマーダは豪華絢爛なきらびやかな風貌。他にもいろんな風貌の者がいる。その者の罪の名にふさわしいような風貌の者も居れば、一見関連性がなさそうな、でも禍々しさはあるような風貌、など。

 勿論能力に関しては申し分なくその者の特徴を持ち合わせている。


 このように皆が皆、王者の風格を漂わせながら、そして彼らの配下も彼らを守るようにして待機している。



 そうこうしている内に、先ほどの爆音の元凶が入ってきた。


 純白の翼をはためかせ、鋭い眼光で大罪のメンバーを見据える。


「封印から目覚め、魔力の回復に都合のいい場所はないかと探して外界に出て、真っ先にここを見つけてきてみれば……まさか貴様らに先を越されていたとはな。ゴミムシどもめ」

「ヒラヒラといっちょまえな翼つけてるだけの羽虫風情に言われたかねえな。それに数も少なくねえか?」

「まあな。あいにく今自由に動ける者が少なくてな。だが時期にこれだけの魔力波動が集まる場所は我が一族にも補足されるだろう。貴様らとこの場で全面戦争になるのも時間の問題だ」

「お前らはいつも大義名分みたいなのを掲げて攻撃してくるが、要は結論としてお前らが気分良くなりたいだけだろ? 今回の襲撃に関してだってそうだ。どうせそれっぽい名分見つけて攻撃してくんだろ?」

「よくわかってるじゃないか。そうだ貴様らにこの場所は少々贅沢すぎる。我らに譲ってもらおう」



 聖天将の位に就く彼がそういうと、悪魔側はあいつついに戦いすぎで頭おかしくなったのかな? そう思った


「おいおいいきなり穏やかじゃねえな」

「ほう、この数で我らに攻撃を仕掛けるとは、よほど死にたいらしいな」


 ヴォルドールとゼローグが獰猛な笑みを浮かべる。


「ふん、確かに多少不利かもしれないが、こんなので逃げていたら聖天将の名が廃るだろ?」

「確かに、な。そこだけは同意できるが、実際に無謀なことをするかどうかは別問題だと思うが?」


 そういうとゼローグの側近が天使の側近の攻撃を防いだ。ゼローグの目の前でだ。

 だがゼローグは自分の部下がその程度のことはできると分かっていたかのように身じろぎ一つしなかった。

 むしろ先ほどと同じ獰猛な笑みを浮かべ、


「エルネーゼ、お客がどうしても遊びたいようだ。お相手して差し上げろ」

「御意」


 そういってゼローグの側近は本格的に天使の側近との戦闘に突入していく。


「どのみちお前たちとは戦わないといけないんだ。ならここで多少不利だとしても戦って少しでも数を減らしておくのがいいだろう?」

「あいつついに戦いすぎで頭おかしくなったのかな?」


 アルマーダが挑発的なことを発言するが、彼の聖天将は反応しない。

 むしろ、


「では始めるとしようか。我、聖天将・サルネリエが貴様らのお相手をするとしよう。残りの二人はほかに悪魔が来ないか外で見張ってもらっている」

「おもしれえ!」

「久しぶりに暴れるとするか」


 アルマーダの発言を無視し、聖天将は悪魔たちに宣戦を布告する。そして魔将帝である七つの大罪の者たちは皆、その布告に応じるのだった。




 かくしてまたもやアレンの知らないところで世界情勢が大きく動き出す。

遅くなりました! ごめんなさい!

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