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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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報告と拝領?

 王都に戻ってすぐに王城に向かった。そしていつものようにクリストフさんが出迎えてくれた。


「ベッカー閣下、アーベントロート卿、ベッケラート卿、随分とお早いお戻りだったのですね? 何か問題などがございましたか?」

「ああ、大至急陛下に取り次いでもらいたい。早急にお話ししたいことがあると」

「かしこまりました」


 そういってクリストフさんは僕らを王城に案内し、途中で別の者に引き継いで、自分は陛下にベッカー侯爵からの伝言を伝えに行った。

 僕らはそのまま引き継ぎで入ってくれた女性についていった。通された控室で待つことしばし、クリストフさんが戻ってきた。


「皆さま、お待たせいたしました。陛下のご支度が整いましたので、どうぞこちらへ」

「うむ。毎度すまんな」

「いえ、これもお仕事ですから」


 ベッカー侯爵とクリストフさんのやり取りが終わると、さっそく応接間に通してもらった。


 コンコンッ


「陛下、ベッカー閣下、アーベントロート卿、ベッケラート卿をお連れしました」

「うむ。入れ」

「失礼いたします」


 クリストフさんがドア開けてくれて僕たちも入った。

 そしてベッカー侯爵が開口一番、


「陛下、急な会議の申し込み、ご承諾いただき感謝いたします」

「よいよい。まずは皆座れ」


 そういわれ僕たちは座った。


「さて、まずは報告を聞こうか」

「はい、それではわたくしからお伝えいたします。初めに……」


 そうしてベッカー侯爵が説明をしていく。陛下は顔色一つ変えずに報告を聞いていた。僕が話が通じる相手なら余計な手出しはせずに様子を見ようといったことや、結局話し合いの末、お互いに過剰干渉はせずに、相手方も人間の命をむやみやたらと奪わないと誓ってくれたこと、そしてそれらの要求をのむ条件として僕と決闘をしたこと。

 そして最終的には敗北寄りの互角で終わったこと、その上で相手方がこちらの力を認めてくれ、納得してくれたこと。

 さらには何かあればこちらが約束を守る限り、協力までしてくれること。すべてを陛下に話した。


 そして陛下の返答は、


「ん? ものすごくいい条件ではないか? もしおぬしらがそれでよいと思っておるなら反対はせぬよ?」


 っと、ものすごくあっさりと認めてもらえた。もう少し説得がいるのかと思ったが……だが、許可を貰えるのならばありがたい。


「だが、一つだけ。それらを決める前にやるべきことがある。今回の件、最終的に話をすべて良い方向に持って行けたのはベッケラート卿のおかげだ。そうだな?」


 そう陛下が聞いてきたのでベッカー侯爵が、


「間違いございません」

「うむ」


 と、証言してくれた。


「ならばこれはベッケラート卿の大功績ということになる。間違いなく金剛一等勲章は確定だろう」

「おっしゃる通りかと」

「えぇ!? あ、失礼しました」

「ベッケラート卿、何をそんなに驚いておる? おぬしは竜でいうところの神位級の生物にこちらが約束の内容を守るだけで、この国を守護してもらえるよう、話を付けてきてくれたのだ。これはすなわち国家を直接的に守護してくれる、最高峰の戦力を国内に引き入れたのと同義だ。胸を張って最高級の勲章を受け取れると思うが? アーベントロート卿もそう思わぬか?」

「全く持ってその通りでございます、陛下。むしろそれ以下の勲章を与えるようなことがあれば、ベッケラート卿を支持している貴族から猛反発が起こるほどでしょう」


 ええ……そんなに? あぁ、でもそうかルシファーやほかの竜たちと同等のポテンシャルを秘めた最強クラスの生物をこの国に引き入れたんだもんな。

 よく考えたら功績扱いになってもおかしくない……のか?

 とりあえず話を進めよう。


「申し訳ありません、少し驚いてしまいまして。承知しました。陛下からの勲章ありがたく頂戴いたします」

「うむ。そうなってくると謁見の準備もせんとな。他の貴族にもこの功績は知らしめる必要がある。もちろんおぬしの父親にも知らせる必要があろう」

「ありがとうございます」

「うむ」


 そういうことで、話し合いは終了した。そのあとはすぐさま家に帰った。早くエレオノーレに会いたくて仕方なかったのだ。


「ただいま~」

「え!? その声は、アレン様!?」


 そんな感じで驚きながらエレオノーレが玄関まで走ってきた。ちょっと慌ててるエレオノーレも可愛いな。


「ははは、ビックリした?」

「ええ、ビックリしましたわ。もう少し遅いお帰りだと思ってましたから」

「なんかいろいろあってね。早く帰ってくることになったんだ」

「そうだったんですね! よかったです!」


 うわぁ、すんごい嬉しそう。こっちも嬉しくなるよね。


「ただ明日また、王城に行かないといけないんだ。ちょうど選択科目の授業もなかったしよかったんだけど」

「そうなんですか? 何かお仕事ですか?」

「うん。今回の仕事でなんか功績が認められてさ、それの表彰と報酬を与えるために明日登城してほしいって言われてるんだ」

「そうですか。ならわたくしは特にお国から呼ばれたりはしてないので屋敷にいてればいいのですよね?」

「そうなるね。またよろしくね」

「お安い御用ですわ」

「ありがとう」


 そういって僕は彼女を抱きしめた。ああ、あったかくてホッとするなぁ。


「ア、アレン様?……」


 エレオノーレも初めは戸惑っていたけれど、途中から抱きしめ返してくれた。


「よし、ありがとね。今日は少し早めにご飯にしてすぐに休むよ」

「わかりましたわ。使用人にそのように伝えておきます」

「うん。それじゃあ、ちょっとお風呂に入ってくる」


 そういって僕はお風呂に入った。そしてその日はすぐに眠りについた。





 翌日、僕はさっそく王城に向かう準備をしていた。


「アレン様、お仕事頑張ってくださいね」

「うん。それじゃあ行ってくるよ」

「はい。行ってらっしゃいませ!」


 彼女の笑顔の見送りにはいつも元気づけられるな~。そしてひそかに今度サプライズで、彼女の好きな甘い物がたくさんある高級料理店を予約して驚かしてやろうと計画しつつ、馬車に乗り込んだ。


「デニス、今日の執務もよろしくね。最近任せっぱなしでごめんね。また、僕じゃないと判断しきれなそうな書類は置いといてくれていいから」

「かしこまりました」


 そうして、僕たちは出発した。十数分ほどして王城に到着した。するとなぜか華々しい装飾などが施されている。

 なんなのだろうと思っていると、クリストフさんがやってきていつも通り案内された。

 そして控室に入るとなんと父上がすでに来ていた。


「また、凄いことを成し遂げたようだな。よくもまあ、次から次へとそんなに功績を挙げられるものだな」

「いえ、これも父上が僕に貴族としてどうあるべきかを沢山教えてくださったからです」

「ははは、そう思っておくよ」


 そうやって会話していると、クリストフさんじゃない使用人さんが呼びに来た。父上はこれからどうするんだろう?


「父上はこの後どうされるのですか?」

「うむ。私はこの後陛下と面談があるのだ。これについてはお前のとは完全に別件だから、気にしなくていいぞ。お前は胸を張って陛下からのお言葉を受け取ってこい」

「承知しました、父上。ではまたお会いしましょう」

「うむ」


 そうして父上と別れた後、僕は謁見の間に着いた。その後ゆっくりと扉が開き、目に入ってきたのはものすごい数の貴族の方々が集まって僕の方を見ている光景だ。

 すごく緊張するな。これに関しては慣れるしかないのだが、それでも元庶民の僕からしたらビクビクものなんだよね。

 そんなことを考えているとバルツァー公爵が、


「ベッケラート卿の到着です。皆さまお静かにお願いします」


 そう宣言する。すると会場が一瞬でシーンとなった。大勢の貴族が集まる中、一瞬で場の空気を支配してしまう……これが公爵……凄すぎる。


「それではベッケラート卿、前へ」

「はい!」


 そう返事をして僕はいつも通り作法にのっとりながらレッドカーペットの上を歩いていく。そして陛下の前まで来たところで膝を付く。


「よく来てくれた、ベッケラート卿。面を上げよ」

「は!」

「余はいつもおぬしには感謝しておる。学園での優秀な成績、主席卒業、悪魔および天使の討伐、しかもその悪魔や天使の中には上位の者も混じっていたと報告にはある。下位悪魔ですら人類を脅かす強さだというのにおぬしはそれらを見事打ち取った。まさに英雄である。さらには世に革命をもたらせるであろう素晴らしい性能の魔法具を次々と開発。おぬしの国家への貢献度は他の追随を許さぬものであろう。本当に感謝しておる」

「もったいなきお言葉、感謝いたします」


 うおーッ! なんかいきなりすごい褒められたけど、それよりも気になるのが僕の功績に対してしきりに頷いてくれている貴族の方がやたら多いということだ。いったいどうしたんだろう?


「うむ。これだけでもおぬしの働きぶりには目を見張るものがある、だが今回それらの功績よりもさらに偉大な功績をおぬしは挙げた」


 そういった瞬間、会場が一気にざわめきだした。なんだ? 今回幻獣ヴェルセルクのことで表彰と勲章授与、そして報酬の受け渡しをすると言われていたけど、もしかしてほかのみんなは伝えられていないのかな?


「そのおぬしの挙げた功績は、まさにとんでもないものだ。今後の王国が何事もなければ安泰に過ごせるようになったといっても過言ではないほどに。その功績についてだが、バルツァー卿頼む」

「かしこまりました。陛下」


 そうしてバルツァー公爵が事の顛末を会場のみんなに説明した。するとみんな顔色を変えて僕の方を見てきた。


「まさに異次元の功績といってもよい。そういうわけで、アレン・ベッケラート!」

「はは!」

「そなたに金剛一等勲章を授与し、金剛貨10枚、白金貨15枚、金貨20枚を進呈、そして1階級飛ばしてそなたに子爵位を授けるものとする! 今後は実家とは本家が入れ替わり、そなたの家が本家となり、現ベッケラート男爵家は分家となる! さらに今後そなたに管理してもらうのが良いという結論により魔大樹の森およびその近隣街のラントという町を治めてもらう。よろしく頼むぞ」

「は、はは! 謹んで拝命いたします」

「うむ」


 うそーーーッ! なんか男爵位飛ばして子爵位になっちゃったし、拝領しちゃったし、あれこれ起こりすぎてもう頭追いつかない!

 うーん、でもまあ、いいか。結果的には自分のお家が大きくなったわけだし。今は努力が認めてもらえたことを素直に喜ぼう。


 そう思っているとバルツァー公爵が、


「それでは、今回の表彰式は終了とさせていただきます。皆さまお忙しい中のご足労、誠に御礼申し上げます。この後は王家主催で盛大に祝宴を催させていただきます。皆さまぜひともご参加くださいませ」


 その後、僕も祝宴に交じって食事をすることとなった。ただ開催は夜となっているらしく、家に用事があるものは一旦帰ってもらって構わないとのことだったので、僕はエレオノーレを呼びに帰った。

 こういう祝宴の場には奥さんを連れてくるのはかなり一般的だ。なので僕は一緒に食事をしたい人を連れていくことにしたのだ。



 せっかく陛下が主催してくださるパーティだ、参加しないと損だろう。この機会に他の貴族とももっと触れ合っておくべきだな。

 というわけで、また大変な場所に向かうのでエレオノーレに一緒に来てもらって癒してもらうことにしたのだ。

 さっきまでのことの顛末は馬車の中で話した。



 さあ、もう少し頑張るか!





 

遅くなってしまい、申し訳ありません。

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