表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
61/168

アンドレアス王国の守護者?

今回は少し短めです。

 幻獣ベルセルクとの戦いが終わった後は簡易的な会議が開かれた。

 議題は今後、魔大樹の森をどう扱っていくか? という物。まあ、大筋はもうヴェルセルクと話してたから決まってはいるんだけどね。

 でもそれはお国で正式に決まったわけではないから、細かい決まりを決めていく必要がある。

 というわけで、今回の遠征の主要な部隊の貴族や師団員幹部が呼ばれたわけだけど、なぜかその輪の中に僕がいるんだよね。

 いやまあ、わかるよ? 今回の件の言い出しっぺは僕だし。でもなんか普通に当たり前のように子爵位以上の貴族が集まっている場にいると、少し落ち着かないな。

 しかも僕がベッカー侯爵やコルネリウスさんと並んで座ってるってのがもう普通じゃないよね?

 まあ、いいや。結局のところ今回の件のメインは僕になってしまうんだから、やるしかないんだ。今更泣き言は許されない。


「それでは、会議を始めていこうと思う。まずはベッケラート卿、今回のことの顛末を今一度皆に説明してやってくれないか?」

「承知いたしました、ベッカー閣下」


 そして僕は今回の事の成り行きを説明した。みんなは渋い顔をしていた。そりゃそうだ。普通、ヴェルセルクのような圧倒的力の権化のような存在は畏怖され恐怖される。人間の心理としては彼をそのままにしたくないのだろう。

 だが、前にクラウスにも言ったことだがそんなのは被害妄想もいいところだ。実害が出てもいないのに相手を敵視し、排除しようだなんて。

 怖いならばまずは話し合いで相手の人となりを知るように努力する。それで話が通じる相手ではないというのがわかれば、取り敢えず争いごとに備える、抑止力としてね。

 そこからは過度な干渉はせず、お互い静観。それが一番安全だろう。相手が何もしていないのに手を出すのが一番論外だ。


「という風に幻獣ヴェルセルク殿にも理解を示していただけました」

「そんなもの、相手は魔物だぞ! あ、いや幻獣か、とにかく約束を守る保障などどこにもない!」


 またそんなつまらない話か。貴族なら子供でももう理解できると思うけど……


「お言葉を返すようですが、ヴェルセルク殿にとっても我々人間が約束を守ってくれるとは限らないと思うと思いますが?」

「そ、そんなことはない! 我々誇り高きアンドレアス王国の民は約束を守る! 貴様もそう思うだろ!」


 いや、ごめんなさい。人間の口約束ほど信用できないものはないと思います、はい。一般市民の間でどこどこで何時に待ち合わせして遊ぼうね~、くらいの約束なら守ってくれると思うけど、実際お金が絡んできたり、何かしら自分に利益があることだと途端に豹変して人を裏切るとかよく聞く話じゃん。ニュースとかでも会社のお金をだまし取るとか、横領するとかいろいろね?

 もちろんすべての人間がそうとは限らないけど、逆にそういうことをする人も一定数いるわけで……なのでこの世界でも僕は基本、利益などが絡む約束はすぐには信用しないと決めている。貴族になったわけだし特にね。


「確かに”この場にいらっしゃる皆さん”ならこの場での約束でもお守りいただけるでしょう」


 まずは牽制だ。それだけきゃんきゃん吠えるならあなたは当然率先して約束守るよね? という圧をかけておく。この程度の腹の探り合いすら理解できないなら、もはや相手にする価値は無し。

 事実、ベッカー侯爵たちは僕の発言の意味をしっかりと理解してくれている様子だった。今は僕にこの場を任したのだから静観するって言ってるように感じた。

 そんなことを思っていると、


「と、当然だ。もしこの場で約束されればちゃんと守るさ。陛下がご承認されたのなら尚更だ」

「ではよろしいではないですか?」

「なに?」

「あなたは誇り高い民であるから約束は守るとおっしゃいましたよね?」

「そ、そうだ」


 彼はうなづいた。そのほかにも彼の派閥なのであろう貴族たちもうなづいた。


「ならば問題はないでしょう。何故ならヴェルセルク殿もまた誇り高き一族。何百年、何千年と自然界での生存競争を生き抜いた歴戦の猛者です。卑怯な真似などするとは私には思えません。ですよね? ヴェルセルク殿?」

「もちろんだ。アレン、貴様は若いのに戦いに生きる者のことをよく理解している。やはり貴様に任せて正解だったようだな」

「というわけです。僕が言いたいこと、ご理解いただけますよね?」

「そ、それは……」


 それ以降は彼は黙っていた。プライド、自尊心、こういったものって時には邪魔になるけどこういうシチュエーションなら結構使える。

 貴族はプライドが高い人が多い。だからこそみっともないことは控えようとする傾向にある。なので今回のように戦いに生きる者として卑怯な真似はしないと言われれば、結構すんなり納得してもらえるかなと思ってそういう話に持って行ったんだけど、予想以上に効果があったようだ。


 というわけで面倒な人を黙らせることには成功したので、続きを始めていこうと思う。 





 

 細かい取り決めをして、魔大樹の森を出て数日、王都に帰ってきた。予定より早い帰還だ。当然だ。何せ本来ならもっと探索する予定だったんだから。

 でも森で一番力があるであろう者にこれから人類を傷付けないよう、森の魔物には伝えておく、という風に言ってもらえたので、取り敢えずしばらくは何も起こらないだろうということで、それなら何も知らない人間があの森に立ち入って悪さとかをしないように早急にこのことを陛下にお伝えして、その後何とかしてあの森には今後過剰な干渉はしないという約束を受理してもらわないといけない。

 それが済めばあとは約束の内容について御触れを出してもらって、国民に周知してもらえばいい。それでとりあえず僕ができる範囲の任務は終了だ。

 というわけで、今から王宮に向かう。急ぎ、陛下にこのことをお伝えしなければいけないからね。


 それにもう一つ伝えるべきことがあるんだ。今回の件お国が承認してくれれば、今後アンドレアス王国に何かあれば協力してもいいと言ってくれた。

 そして直接的な何か、例えば他国に攻めいられたとか最近の話題でいけば悪魔や天使と戦うことになったとか、そういったことになった時も力を貸してくれるとはっきり断言してくれた。

 そして今後ずっと今回の約束を守り続けてくれれば、自分も約束を守り続けるし、協力もし続けてもいいと言ってくれた。

 つまりは守護者のような役割を担ってくれると言ってくれたのだ。これは非常に心強い。

 すぐにでも陛下のお耳に入れるべきであろう。



 とにかく、まず第一優先でやるべきことは陛下に今回の件の承認をいただくことだ。

 よし、もうひと踏ん張りだ! 頑張るぞ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ