表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/168

魔法の性能確認!

 あれから、いろいろあった。そりゃもういろいろあった。おそらく同情してくれる心優しい方もいらっしゃることでしょう……。と、ふざけるのはここまでにして、冗談抜きでいろいろあったのだ。

 具体的には、途中からフリーズして話を聞けていなかった父上からあれからどうなったかをまくしたてる勢いで聞かれ、ディルクとアンナには卵をもっと見せてほしいと駄々をこねられ、母上はあれ以降ずっと泣いていて(もちろんうれし涙)それをなだめるのに時間がかかったりと……。

 とりあえず今は行きに乗ってきた馬車に乗り、帰路についている途中だ。


「それにしても今日はめでたい日だ! アレンなら竜に認められるのは確実だと思っておったが、まさか5体と来るとは全く見通しが甘かったものだ。今日は盛大に祝い酒だな!」


 あ、父上のめでたいスイッチが入った、これは……今日は700mlくらいの酒瓶が4、5本ほどお酒の保管場所から消えると思った方がいいな。母上も参加するなら倍はくだらないだろう。二人とも底なしの酒豪だからな……。セーブは自分でするんだけど、セーブに入るまでがとてつもなく長い道のりなのだ。


「そうですわね、レミンソンあたりを2本ほど開けますか?」

「おお、それはいいな! さすが、妻と酒の趣味が合うのは幸運だな! ただこれはアレンの祝いというのもあるから後1本か2本追加で抑えとくとしよう。アレンたちに関しては今日は宴会形式で食事にするから、好きなだけ食べつくしなさい」


 おお! まさかの父上が飲む前にセーブした! 明日は嵐か!?

 とりあえず食事に関してはお言葉に甘えて久しぶりに食べまくろう! いつもはすごく美味しいんだけど育ち盛りだからたまに足りなく感じるんだよね。ちなみにレミンソンというのはこの世界の蒸留酒だ。度数は驚異の48%。日本人なら相当強い人以外ストレート1、2杯でノックアウトだろう。


「はい、父上。そうさせていただきます。ディルクもアンナも良かったね?」

「本当!? いつもよりいっぱい食べていいの!? 兄さま最高だよ!」

「そうでしゅ! さいこうでしゅ! いっぱい食べましゅ!」

 

 ん? それは僕が最高なのか、食事がたくさん食べられるのが最高なのかどっちなんだ? なんかアンナまで……。兄ちゃんさみしくて泣いちゃうよ?

 そんなこんなで、和やかに談笑しながらちょうど夕食ごろに家に着いた。




 さて、昨日はたくさん祝ってもらったのはいいが、うかうかしているだけではいられない。

 いつものように激しいスケジュールで今日も過ごしている。勉強、ダンス、礼儀作法、剣術、魔法にと。その中で今僕は魔法の修行中だ。

 初めて魔法を使い始めたころはそれはもう悲惨だった。転移では着地点を誤り林の中で練習していたので、木に正面衝突……。身体強化もかけすぎて木に正面衝突とそんなことを繰り返していたのだ。

 今でこそ順調に魔法の練習は進んでいるが最初は壊滅的だった……。


「魔法学に関しての勉強も最初は難しかったな~」


 そう。この世界の魔法は基本はイメージで完結するのだが、それでも基礎知識がいらないというわけではない。魔法陣構築や呪文詠唱がその最たる例だ。これらは実際に魔法を行使する際には特に必要はない。魔法を発動すると、呪文や魔法陣が勝手に構築されていく。ただこれの理解を深めることで、呪文や魔法陣の構築効率を大幅に上げることができるというものだ。

 なのでこの世界は基本的な呪文は存在するが、上級の魔法などに関してはほとんどが誰かのオリジナルだ。


「この世界には秘匿権利というものはないんだな~。魔法師ってそのまま戦争とかでも戦力になるし、やっぱり戦力の増強を考えると、新魔法理論を構築すると、役所に登録しないといけないのは必然か~」


 そんなこんなで今は何に悩んでいるかというと、


「ねえルシファー、この魔法の威力どうにかならない?……さすがにやばすぎなんだけど」

「無理だな。魔法というのは一度理論を構築するとちょっとした威力改造や効率化の改造はできても逆に威力を弱めることはできん。弱めたいなら、新しい魔法を作るしかない。だから危険で味方を巻き込む恐れのある魔法はしっかりと使いどころを見極める必要がある」


 ということらしい。イメージで魔法を作れるってところは自由性あるのに、変なところで使い勝手悪いな魔法って。

 それよりも……


「ルシファー、同化なんてできたんだね。必要な時に出たり入ったり出来るってすごすぎない?」

「我もそれはすごいと思う。だがよく考えてみればこういう力があっても不思議ではない。なんせ我らの巨体では人間界を自由に動くことすらできんからな」

「確かにね」


 そう。竜魔導師と契約した竜はその魔法師の中に宿ることができるらしいのだ。宿るといっても憑依とは違う。憑依は乗っ取ることだが、同化して宿るのはお互いの承認のもと必要に応じてだけなのだ。なんて便利!


「ま、とりあえずこの魔法は使いどころが来るまでは封印かな」

「その方が良かろう。我ですら正直、肝が冷えた魔法だからな」

「それ本当?」

「嘘など言わん」


 マジかそんなにやばいのか……。まあ自分で見てもわかるけど。今使ったのは『万有引力』という僕のオリジナル魔法だ。半径200メートルほどの自分の周囲を地面も木々も見境なくえぐり取っていく、凶悪な魔法だ。要はブラックホールだな。ブラックホールという名前でもよかったんだけど、この世界は地球じゃない。

 なので、英語が存在しないのだ。だから誰でもわかりやすい魔法を作らないといけないこの世界では、ちょっとでも意味不明な要素が入るとアウトなのだ。


 よし、とりあえずわかったのは黒帝竜(こくていりゅう)ルシファーと契約を結んだことにより、魔法が意味不明なほど強くなったことと、竜は必要に応じて顕現(けんげん)してもらったり、魔法の威力によっては場所を考えないといけないということが分かった。


「とりあえず今日はもう帰ろう」




 後にこのような記録が残っていた。欲をかいたとある列強国が、アンドレアス王国に進軍した。大国を手中に収めれば、覇権国家になれる上に、国力も段違いになると……。

 そして、愚か者がとある竜魔導師の逆鱗(げきりん)に触れた。その者の名はアレン・ベッケラート。

 アンドレアス王国最強にして最高の貴族といわれた男である。

 彼がたった一人で敵陣に乗り込み、五体の神位竜を頭上に顕現させ、自身も左手には雷魔法、右手には闇魔法を発動しながら、敵を圧倒的に蹂躙(じゅうりん)していく姿を人々はこう呼んだ……


 『最強の竜魔導王』、と……。

 

彼は歴史書に名前が残るほどの数々の功績を残し、人々には畏怖され、尊敬され、(あが)められたのだがそれはまだ先の話……



 

今回は魔法の性能確認です!ルシファーと契約したことにより、どれだけ魔法の威力が上がったのかとかの確認ですね。読んでくださるとうれしいです!またまた、申し訳ありません!第二話のお酒、完全にこの世界の名前のものを使ってたので修正させていただきました。混乱された方もいらっしゃるかもしれないので、報告させていただきました。申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ