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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第三章 貴族社会奮闘編
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驚愕の報告、そして重要人物との顔合わせ

 僕が準男爵位を授かってから数週間がたった。当然昇爵されたのはめでたい事であって、そうなってくるとめでたいことに過剰に反応する方がいらっしゃいましてね? 爵位を授かったその日の晩は盛大に祝ってもらっておいしいご飯をたらふく食べさせてもらいました。もちろんエレオノーレも一緒にね。

 それはともかくとして、そろそろ本格的に森の月に入る感じだ。気分も新たに、いろんなことに挑戦していこうと思う。

 そんな風に気持ちを今まで以上に切り替えて頑張っていこうと思っていた時、


 コンコンッ


 ああ、この緩やかなノックの仕方、多分女性の使用人だ。デニスは雑ではないけど手早くノックを済ませ僕に入室許可を求めてくる感じだからね。

 最近はどういった感じの人が執務室に来たのかわかるようになってきた(要るのか要らないのか分からない特技)。


「はーい。どうぞ~」

「失礼いたします。ご主人様、お手紙が二通ほど届いております。一つは第二級召喚令状、そしてもう一つは……特級召喚令状です」

「なんだって?」

「こちらでございます」

「うん、ありがとね」

「では、失礼いたします」


 そう挨拶をしてメイドは出ていった。やっぱり女性使用人だったか。なんてどうでもいいことは置いといて、特級か……何が起こったんだろう?

 とりあえず僕は手紙を特級の方から開けてみた。するとそこには信じられない内容が書かれていた。


『アフトクラトリア帝国帝都、陥落! 首謀者は悪魔であると確認済み。貴殿の意見を今後の対応の考慮に入れたいので至急、王城に登城願う』


 というものだった。最後が登城せよ! ではなく登城願う! ってところが陛下のお気遣いを感じるな。それはともかく、まさかあの軍事大国の首都が陥落?

 ってことはつまり、事実上帝国は滅亡か……人間の軍相手なら皇帝やその他重要人物が生存しているという望みはあるけど、悪魔からすれば人間のようないざこざはこの世界にはない。

 なので情報を得たり、他の生き残りの身分の高い貴族などに身代金を要求したりするために重要人物を生かす、なんてことはしないだろう。

 落とされた時点で帝国の首脳陣の生存は絶望的か……だが違和感があるな。


「どうしてそんなあっさり落ちたんだろう? 帝国にも竜魔導師のような強い人たちがいるはずだけど、というかむしろこっちは王国、向こうは帝国だ。国土の広さや国民の母数が圧倒的に違うだろうからあっちの方が強い人間の数は多いはずだ。なのになんで……」


 しかもアフトクラトリア帝の治世は歴代でもかなり強い方だと聞く。そのうえで竜魔導師や優秀な師団員、もしくは冒険者が協力したとすれば陥落は防げたはず、一体何が?


「とにかく、登城しなくちゃな。二級の方は馬車の中で見るとしよう」


 そう判断すると僕はすぐに呼び鈴を鳴らした。そしたらすぐにメイドが来たので、


「特級令状の内容は詳しくは言えないけど、端的に言うなら登城命令だった。だからすぐに馬車の手配をするようにデニスに伝えてくれないかな? それと、これは王家への登城受諾の手紙だ。早馬で届けさせてくれる?」

「かしこまりました。直ちにお伝えしてまいります」

「うん。ありがとう」


 そういうと、メイドはニコッと笑って足早に去っていった。この間デニスに言われたんだけど、僕は誰でもひいきにしたりせず、平等に扱う上に使用人にも気配りをする素晴らしい家主だ! って使用人の間でうわさらしい。

 僕は当たり前のことをしただけだけど、そこまで感謝されると悪い気もしないな。それにお互いが気持ちよく仕事ができる環境だと部下からの忠誠もより強いものになってくれると思う。

 だからこれからも、お礼、感謝、休日などの手配も徹底しよう。部下の士気はお家の士気だ。


「よし、まずはまた派手になった礼服に着替えないとな……」


 そうなのだ、ここがまた面倒なのだ。そろそろ僕も年ごろな上に自分で普通に着替えができるのもあって、着替える際、使用人は呼んでいない。

 まあ、今はそんなことはどうでもいいのだが。問題なのは、肩章や勲章がやたらと引っ付いてることだ。普通準男爵でここまで装飾の我が強い服を着ている者はいない。

 目立つったらありゃしない。まあ、でもこの勲章のおかげで、実力は確かだと認められて子供だからとなめてかかってくる貴族があまりいなくて助かってるのは事実だ。

 なのであまり文句も言えない。とりあえず着替えよう。


「よし、着替えは終わりっと。あとは二級令状をもって、一応特級の方が大事な話題だろうけど、二級の方が仕事の話題だったら手ぶらは問題なので、一応研究資料のカバンと帯剣はしておこう」


 そうして準備を終えると、すぐに屋敷の表に向かった。するとすでにデニスが馬車の横に立って待っていた。


「さすがだね。本当にいつも助かっているよ。それじゃあ、行こうか」

「はい! かしこまりました!」


 デニスは嬉しそうに張り切りながら御者台に向かっていく。最近はみんな僕の人柄を理解してくれて、僕がお礼とかをしても無駄に恐縮したりせずに素直に受け取ってくれるようになった。

 ありがたい。こっちの方が僕も気が楽だ。

 ちなみに今日はエレオノーレは学園で受けたい授業があるからと朝から通学だ。僕も昨日学校に行った。最近はよく行動スケジュールがかみ合わないことがよくある。

 でもだからこそ、一緒に彼女と行動できない日があったりするからこそ、明日はお互い家にいるな、なら今日は頑張ろう! とか思って頑張れるんだよね。それにどのみち夜には会えるんだし、そんなに寂しがることもない。

 僕らはすでに学生の期間はほぼ終わってるんだ。もう社会人として行動し始めているんだから、いつまでも感情のままに行動できない。

 なので割り切るところは割り切らないといけないだろう。


 僕は馬車に乗って扉を閉めた。心の中でエレオノーレ、授業頑張って! と応援しながら、僕は二級令状の封筒を開けた。


「ええと、内容は……」


 内容は、王家が主催するパーティに出席しないかという誘いと魔法具研究のことで依頼をしたいことがあるので、話し合いの場を設けたいとのこと。僕が登城するのであれば、すぐにでも機会を設けるとのこと。

 もう今頃は登城の受諾の手紙は届いているだろうし、準備が始まっていることだろう。この間、陛下から『おぬしにはいつもすぐに登城してもらって申し訳ない。だからもしこれからまた登城をお願いするときがあったら、受諾の手紙だけくれればいい。こちらの手紙は待ってもらわなくてもいいぞ』

 と言っていただいた。ありがたい。正直、礼儀作法は大事だけど面倒だと思う場面も結構あるからね。


「よしよし、内容はすべて把握した。やはり仕事道具を持ってきたのは正解だったね」


 そんな独り言を言いながら馬車に揺られていると、すぐに王城に着いた。僕の家の家紋を確認したのだろう、すぐに衛兵たちが城内に知らせに行ってる。

 そして顔パスで通してもらえた。もう信頼してもらえたのかもね。ありがたいことだ。


 するとすぐに小走りでクリストフさんが来た。


「ベッケラート卿、ようこそおいでくださいました。毎度、すぐにこちらの要求を受け止めてくださり、誠に感謝しております」

「そういわないでよクリストフさん。僕はクリストフさんにもそうだし、他の王城の使用人の皆さん、何より陛下にも大変よくしていただいてる。気にしないで。ね?」


 すごく申し訳なさそうな感じで謝ってくるので思わずなだめてしまった。


「そういっていただけると、気持ちが安らぎます。ありがとうございます。それでは早めにお越しいただいたので、さっそくご案内いたします」

「うん」


 そうして、今回は謁見の間ではなく、大会議室のような場所に案内された。


「おお、ベッケラート卿よく来てくれたな! 朝早くから済まない。さ、座ってくれたまえ」


 そういって、席を示されたのだが、一つ問題が……めちゃくちゃ大物貴族の方がそろってらっしゃるんですけど!? ギルベルト・バルツァー公爵、フェリクス・アンドレアス・アードラー大公、アーベル・ベッカー侯爵、そしてまさかのフェルディナント・ベーレンドルフ公爵だ。

 遂に登場か、グスタフの父親。確か、家系的には陛下の叔母の家系だったよな。そりゃ発言力あるから、一定数の貴族は貴族絶対主義になるのか。

 とにかく今はそんなことより、僕が今この場で浮きすぎて半端ない。とりあえず座った方がいいのだろうが、まず初めに礼儀として言うべきことがある。


「おはようございます。陛下、皆さま。お待たせしてしまい、誠に申し訳ございません」

「気にするでない。他の者も、おぬしがいきなり王城に呼ばれたというのは理解しておる」

「はは。ご理解、感謝いたします」

「うむ」


 そうやってまずは謝罪をしてから座った。これは大事なことだ。たとえ僕が悪いわけでなくとも、ただでさえ僕は下級貴族なんだ。そんな人物が大貴族の皆さんがしっかり集まっているところにのこのこと現れるなんて印象が悪すぎる。

 陛下はフォローしてくれたが、何人かは不満があるかもしれない。なのでここはまず間髪入れずに謝罪だ。これが正しい選択だろう。

 そうして自分の礼儀作法を改めて確認していると、


「では、ベッケラート卿も集まってくれたことですし、さっそく会議を始めたいと思います」


 と、バルツァー公爵が司会を務めながら会議が始まった。手際が半端ないほど良すぎる。さすがは宰相様だ。



 こんな場所に僕がいるなんて場違い感がすごいけど、仕方ない。今のところ、この国で確実に悪魔を倒せる戦力で、実際に倒している。

 そんなわけで呼ばれたのだろう。緊張するが、ここは精一杯、無礼の無いよう気を付けながら自分のお役目を果たそうじゃないか。



 覚悟を決めて僕は会議に臨んだ。

 


本日もありがとうございました!

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