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卒業資格!

 あれから4か月の月日がたった。僕はもうとっくに8歳になり体もすくすくと大きくなった。今となっては153センチにもなる。ツェーザルは確か155センチくらいだといっていたからもうほとんど差はないようなもんだ。

 ほかのみんなもかなり大きくなってる。カールは少し小柄だけどそれは早く伸びる人に対してだ。普通に考えればごくごく一般的な身長だと思う。確か135センチくらいって言ってたかな?

 ほかのみんなは女子以外はみんなプラス5センチくらい。ただグスタフはデカい。彼は152センチくらいあるからね。

 まあ、そんなこんなでみんなの成長は順調だ。この話はこの辺にしておこう。本題に入ろうと思う。


 ようやく卒業資格取得試験の時がすぐそこに迫っている。そう、ようやくだ。長いようで短い一年だったけど、思い返せばしっかり一年過ごしていて、ようやくここまで来たんだなっていう実感がある。

 ちなみにいうと席次はほぼ変わらずだ。あえて言うなら最近はツェーザルも次席の維持は難しくなってきたようで、グスタフに抜きつ抜かれつで迫られているくらいだ。

 まあ、そんな感じでみんなものすごく切磋琢磨している。もちろんこの僕もね。今は下校途中だ。明日からいよいよ卒業資格取得試験開始だ。

 ただこれは別に強制ではない。受けたい人、自信のある人だけ受けなさいというスタンスだ。


「いよいよ明日だね」

「そうですわね。まあ、これだけの成績を収めてまいりましたし、自分でも自信をもって言えるくらい実力はつきましたわ。なので何の心配もしておりません。できることを精一杯明日にぶつけるだけですわ。アレン様だってもう受かっているようなものではないですか。試験の内容は選べずとも、自分の得意分野で受けられますから」

「そうだね。その制度はすごく理にかなってると思うよ。苦手な物、伸びないものを無理やりやらせても意味ないからね。それなら得意分野を存分に伸ばす方が生徒にとっても将来の人材を求めるお国にとっても意義があるだろうからね」

「おっしゃる通りでございますわ」

「よおし! 明日は精一杯、この一年間での自分の学びを披露するとしよう!」

「そうですね!」


 すごくおもしろいシステムなのだが、この学園の卒業試験のシステムは得意分野において自分が最も自信のあるテーマで実力を披露せよという者。それが教授たちの口から合格を引っ張り出せるものならそのまま資格を取得、ダメなら一か月後の再試験でそれができればよし。そこでも無理ならもう、来年まで頑張るしかない。


「あ、もうこんなところに、それではアレン様今日もありがとうございました。明日は頑張りましょうね」

「うん!」


 そういって僕はエレオノーレと別れ、男子寮に戻ってきた。何気に話がスムーズだったけど、いまさらながら言っておくと、明日の試験、特1の上位組はみんな受けるらしい。

 まあ、そりゃそうだよね。優秀なんだもん、そうしないと逆にもったいないよ。

 というわけでみんな受けるようだ。


「とりあえず、今日は軽く談笑室でいつもみたいにツェーザルたちと談笑してそのあとはさっさと寝るか」



 そうして、今日は明日に備え、早めに床に入った。






 翌朝、いつも通り朝の7時に目が覚め、出発の準備をし、寮でさっと朝食をとった後、女子寮に向かった。

 今日も気持ちのいい朝だ。そう思いながら10分ほど歩き、女子寮に着いた。待つこと数分、するとエレオノーレが寮から出てきた。


「おはようございます!」

「おはよう」


 朝から元気だな~。すごく可愛いから見ていて癒されるけど。尻尾があったらブンブン振られてそうな笑顔だな。


「それじゃあ、行こうか」

「はい。今日はお互い魔法の試験ですね」

「そうだね。ダミアンが剣術、グスタフは魔法と剣術。僕も魔法と剣術、エレオノーレは魔法だよね。カールとベティーナも魔法か。あとツェーザルも。複数受けても良いっていう自由性があるのはいいよね」

「そうですわね。得意分野はすべて見せなさいっとクリスティーナ教授も仰っていましたもんね」

「うん。そうだね」


 そうして話していると、校舎に着いた。


「じゃあ、僕はまず剣術からだから、エレオノーレとは一旦お別れだね。今日の午後にまた会おう」

「はい。先に受けてお待ちしていますわ」


 そういって僕たちはそれぞれの試験会場に向かうため、別々の校舎に入った。ここで試験についての説明を受けて、試験会場に向かうらしい。

 ちなみに周りは見渡した限りでは上級生ばっかだ。肩章を見れば序列もわかる上、学年もわかる。序列に関しては学級対抗戦の成績が大きくかかわってくるけど、その後相手に正式に決闘を申し込めば入れかわかりの決闘を申し込むことができる。

 ちなみに僕もこの4か月の間で5回ほど申し込みを受けた。まあ、全部返り討ちにしたけど……ただ特1のみんなはあまり申し込んでこなかった。特に上位メンバーは全くと言っていいほど。

 一度その話題になってさりげなく理由を聞いてみたところ、まだその時とは思っていない。自分が納得できる強さには至っていないとのこと。確かに学園に入学し、実力はついてる。

 だけど、まだ僕と戦いたいと思えるほど実力がついたとは思っていないといわれた。よくわからなかったけど、それ以上聞くのも野暮だろうと思い、その時はそれで納得した。

 結果、申し込んでくるのは特2の人やその他下位クラスの人たち。フランツも申し込んでくるのかと思っていたら、来なかった。不思議だったな~。あんだけライバル視されてたのに。


「まあ、別にそんなに真剣に考えることでもないか。結局のところ僕はあくまで卒業資格を得るだけで、実際には卒業はまだ2年先だしな。気長にやってけばいいだろう」


 そう独り言をつぶやきながら、歩くこと5分、説明会場に着いた。その瞬間なぜかすごく注目された。なんかすごく居心地が悪い。

 とりあえず、すぐ近くの席に座り、周りの視線を自分の視界に入れないようにした。なんか学級対抗戦が終わってからこういうことが増えたよな。

 知名度が上がるってことなのかな? その辺については興味ないから気にしてこなかったけど、もしそうならいろんな視線を向けられることには納得できないことはない。

 まあ、どうでもいいや。とりあえず今は教授が来るのを待とう。




 

 そうして待つこと15分ほど、教授が教室に入ってきた。そしてその他もろもろの説明を終え、さっそく試験会場に向かうこととなった。

 試験会場自体はそんなに遠くなかった。大体6、7分くらい歩いたところか。


「それでは今から卒業資格取得試験を始めます。今回は一年生が数名混じってくれています。これは素晴らしいことです。自信を持てるというのは次なる成功への第一歩となることも珍しくはありません」


 そんな感じで話はじめ、


「それでは早速ですが初めて行きましょう。ここにたくさんの的があると思います。その的に対して、自分が今まで培ってきた剣術のすべてをもって打ち込んでもらいます。どんな手段でも基本的には構いません。純粋に身体強化で打ち込むもよし、何かしらの魔法で強化したりするもよし、身体強化を使って打ち込みながら、魔法を使うもよし。ほぼ何でもありです。ただ気を付けてほしいことは、今言ったように受験者は言ってしまえば何でもありの本気の攻撃をするわけです。なので当然危険が伴います。なので、ないとは信じたいですが、一応言っておきます。わざとその攻撃をまと以外に向けるのはやめてください。以上です」


 そうして教授の説明は終わった。本当に自由度の高い試験だな。生徒の全力を発揮してもらうためってことなのかな?

 そんなことを考えていると、


「よお! アレン」

「ん?……あ、ダミアン!」

「お前剣術から来てたのか、てっきり奥さんとイチャイチャしながら魔法から行くのかと」

「そ、そんなことはしないよ!」

「ははは、悪い悪い、冗談だって」

「全く……」


 そんな感じでダミアンが話しかけてきた。よかった、周りが上級生ばっかで心細かったから友達がいてくれるのはありがたい。

 ちなみに今、すごく砕けた話し方をしているが、それは周りに人がいないからだ。ほかの生徒がいるときは彼も敬語で話してくる。

 初めは慣れなさそうだったけど、今では自然とそういう公私を分けるスキルっていうのかな? そんなのが身についてる。本当にすごいと思う。

 そんな時、


「では次! お、一年生かどれどれ……てぇッ! アレン・ベッケラート!? な、なるほどこれなら一年生が受けていたというのもうなづける。なら、さっそくお手並み拝見と行こうか」

「はい!」


 そう返事をし、試験開始位置まで移動する。そしてまずは身体強化をまとい、次に顔と剣に結界を張り安全性を高める。

 こういう時に無属性魔法の汎用性の高さに助けられる。もともと無属性魔法、または特殊属性魔法と呼ばれるこの魔法たちはただ単純にイメージとそれに見合うだけの魔力注ぎ込んだだけの魔法なのだ。

 なので厳密には魔法とは少し違う。なので魔法陣や呪文などが確立されているわけではないので、威力を上げ下げしたり、部分的に使用したりができるのだ。

 実にありがたい。


「それでは君の最高の剣術を見せてくれ」

「はい!」

「それでははじめ!」


 まず僕は一番大きい的に向けて、『火炎覇(かえんは)』と呼ばれる魔法を放った。いわゆる、火炎放射だ。それでまずは的を熱し、柔らかくしてから、


「『氷牙一閃(ひょうがいっせん)』!」


 氷を剣にまとい対象を攻撃する魔法だ。ただ他と違うのはこれが斬撃を放つ剣だということ。直接攻撃できる魔法剣術はいろいろあるけど、これは僕のオリジナル魔法で、前世での漫画などの知識から、斬撃を直接叩き込むのではなく遠距離から放つ、そうすればかなり有効的な攻撃手段になるのではと思ったのだ。

 そして実際、僕があのデカい的を破壊するのは無理だと思っていたのだろう、ダミアンを除く会場内の全員が絶句していた。

 ただそこでダミアンが当然だよな? みたいな顔をしていたのが嬉しかった。僕のことを認めてくれてるってことだ。魔法ではなく剣術でね? それは素直に嬉しいことだ。

 そして僕も確信している。ダミアンならもっと余裕であの的を木っ端みじんにしていただろう。それだけの安心感がダミアンの剣にはある。


「はッ! あ、すまない驚いて思わず。アレン君、君は文句なく資格取得だ。確か魔法でも受けるんだったね。なら今は一応仮取得ということになるが、魔法でも取得できれば完全な資格取得だ。頑張り給え」


 そういって教授が僕に資格取得済みの証明書をくれた。


「はい! ありがとうございます。頑張ります!」

「うむ。では次、ダミアン!」

「はい!」


 おお、ダミアンが呼ばれた。いよいよか。僕も彼の剣を見ておこう。少しでも強くなるために。結果、ダミアン、圧倒的……狙った的どころかその他の的まで粉砕していた……ははは。マジでダミアンの剣術はバケモンすぎる。剣ではまだまだ彼には遠く及ばないな~。

 対抗戦だって、剣術縛りとかされてたら間違いなく負けてた。だけど僕はまだまだ強くなりたい! 魔法だけに頼らずとも、剣でも強くなれるようにこれからも鍛錬を続けよう!


試験、もう少し続きます。

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