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新たな生活!

 あれから早、6年の歳月が過ぎた。今日もいつも通り朝の7時に起床。本当は7時30分くらいに僕の専属使用人が起こしに来てくれるのだけれど、その必要はほとんどなく自分で起きている。

 日本で大学生をしていた時なんて6時とか6時半、早い人なら5時半台に起きないと間に合わない授業や用事だってあった。特に僕が通っていた学校は家からバス2本を乗り換えて、50分前後だった。混んでいるときは一時間以上かかることもしばしば。友達もみんな、基本的にあくびをしながら通学していた。それに比べると7時起きなんて優しすぎて大したことない。使用人はみんな驚くから言えない……。

 7時起きって実はたいしたことないよって……。今日も使用人が起こしに来てくれたようだ。


 コンコン……


「はーい。どうぞ~」

「失礼します。アレン様、本日も変わらずおはようございますね」

「うん。大体この時間には頭がすっきりしてるかな」

「さすがでございます。旦那様も、奥様ももう少しで朝のご支度が完了いたしますのでいつも通り食堂でお待ちいただければと」

「了解」


 本当にこの家の使用人さんたちは優秀だ。仕事ぶりがそつなく完璧だ。マジで無駄がない。

 着替えとかも本当は使用人さんが手伝ってくれるんだけど、僕には必要ない。3歳ぐらいから使用人のやっている手順を見て覚えたのだ。それからは自分で済ませている。6歳の体だし、恥ずかしいってことはないけど、中身が前世と合わせると26歳なんだよね。だから恥ずかしいというよりは落ち着かない。使用人に女性が多いっていうのも関係してると思う。

 ただこの世界の使用人さんの常識ではお世話される側の貴族がたったの3歳で勝手に着替え始めたっていうのは正直ビビる案件らしい。まあ、そんなことは今はどうでもいいから。

 とりあえず食堂に到着。


「やっぱりいつも通り一番乗りか」


 そんなことを考えていると、後ろから声がかかった。


「おにいさま~、おはようごじゃいましゅ」


 僕の妹だ。そう! あれ以降兄妹ができていたのだ! ちなみにこの子はアンナで、2歳になったばかりだ。超~かわいいのだ。さらにあと一人兄妹がいるが、まだ起きてない様子。その子は5歳で次男のディルクだ。この子は可愛いんだけど、母上曰く、


『ディルクはアレンのように賢くたくましい子になりたいのね』


 だそうだ。素直でとても懐いてくれてるんだけど勝負事とかになるとかなりムキになる……。でもま、二人とも可愛いんだけどね~。前世は双子の妹がいたから余計に。

 そして噂をすれば、


「兄さまおはよう~」

「おはよう。アンナ、ディルク。それにしてもディルクはお寝坊さんだな~。アンナの方がおめかしまでしてきて完璧だぞ」

「そうでしゅ! ディルク兄さまはお寝坊さんでしゅ!」


 うん。とりあえず、アンナは可愛いから何でも許す。お兄ちゃんにパンチしてきても許しちゃう!

 ちなみにアンナの名前が母上に似てるのは父上が母上大好き病だからだ。母上は違う名前でもよかったみたいだが、父上がアンネに似た名前がいい! とかなり駄々をこねたそうだ。うちの家族は平和だね~。


「仕方ないだろ、眠いんだから。というか父さまと母さまより早いんだからいいじゃんか。アンナと兄さまが早すぎるだけだって。それにアンナは早起きしようとしてるんじゃなくて、兄さまに早く会いたいからだろ?」


 とディルクが反論と同時にアンナをからかうように反撃……すると


「ち、違いましゅ!いや、違わないけど、違いましゅ!」


 とアンナが超絶可愛い上に、よくわからない、めちゃくちゃな反応をしております。というかディルク君。君アンナと3歳も違うんだぞ。そんな真剣に反論しなくても……

 まあ二人とも喧嘩してるわけではないし、気持ちが和むようなやり取りだしいいか。


「とりあえず二人とも、椅子に座ろうか。父上も、母上ももう直来るだろう」

「はーい」

「はい!」


 そんなやり取りをしながら待っていると、父上と母上が食堂に入ってきた。この家ではどれだけ食事が早くできていようと全員がそろわないと決して食事に手を付けてはいけない。目上の者が食堂に来ていないときは特にだ。こういうルールはかなり厳格に決められており、貴族家では基本そうらしい。食事が運ばれてくる順番も父上、母上、僕、ディルク、アンナだ。めっちゃ作法に厳しい。

 以前ディルクが4歳くらいの時につまみ食いで父上が来る前に食事に手を付けて、母上にそりゃもうキッツいお尻叩きのお仕置きを食らってたよ……。

 僕もアンナも見てる前で膝に抱えられて、ズボンもパンツも降ろされて裸のお尻をバッチンバッチン叩かれてた。ごめんなさいと泣き叫びながら許しを請うディルクを見ていられなくて、僕は、さすがにやりすぎではないか? やめてあげてほしいという旨を母上に伝えると父上が、


『アレン、私は以前にもお前たちを厳しく育てるといったはずだ。なぜそうするかは理由がある。貴族の世界は平民よりも規律に厳格な世界だ。やるなといわれていることをわざとではなくてもしてしまっただけで、とんでもない額の罰金を取られたり、罪の内容によっては死罪だ。だからこういったちょっとした、まだごめんなさいで済むような内容の規律も守れないようでは貴族としてやっていけん。それをよく覚えておきなさい』


 と言われて、厳しい貴族の世界のことを考えれば、あまりのド正論に何も言えなくなってしまった。そうなのだ。父上や母上もこんなことはしたくないのだ。だがそれだけ厳しく育てないと、ルールを破れば厳しい罰が下されるんだということを認識させるためにこんなやりたくもないことを心を鬼にしてまで教えてくれているんだ。 

 よく見たら父上はディルクを見ながら強くこぶしを握っていた。やっぱりやりたくないんだよな。だから僕がしっかりしてディルクたちのお手本となり導いていこう! そうすれば、家族みんながずっと笑って暮らせる。

 そしてその後、母上がディルクに僕が父上にいわれたのと同じようなことを言った後、強く抱きしめていた。ディルクもその時しっかりと反省したようで、それ以降そういったことで怒られなくなっていた。




「おはよう、みんな今日も全員元気なようで何よりだ。それでは食材の恵みと手間暇かけて作ってくれた使用人に感謝して、いただこう!」

「「「「いただきます!!!!」」」」


 こうしていつもの朝食が和やかに進んだ。その後はアンネは母上とお散歩に行ったり、ダンスの練習をしたりで、僕とディルクは専属の家庭教師による授業だ。算術、読み書き、歴史、この国、アンドレアス王国の簡単なさわり程度の政治や経済の仕組み。午後からは剣術、魔法、乗馬

ダンスと礼儀作法を同時に学びながら忙しくも楽しい毎日を過ごしていく。ちなみに僕は魔法にかなり才があるみたいでぐんぐんと成長していき、教師も舌を巻いていた。剣術もそこそこ筋がいいとは言われたが、やはり魔法の才がすごいため最近は魔法に時間を割く割合が増えている。

 剣術に関してはどちらかというとディルクの方が才があったようだ。それと、特殊属性の魔法に関してはかなり個性が出た。アンナは回復魔法のみ。ディルクは身体強化と回復魔法。僕は回復魔法が少しだけだったが、あとは全部できた。転移魔法、結界魔法、身体強化とできないものはなかったみたいだ。もしかして僕って特殊属性に偏ってる?他はこれ以上伸びないとかないよね?     

 この世界の魔法は基本学べば大体できる。もちろん使えないものもあるけど。適性判断というのは、その中でも特にこれからも伸びる可能性のあるものを見る儀式だ。

 少し不安になってきた。




 それから数か月後、ついに魔法属性適正の判断の日が来た。

少し人によっては見ていてつらいシーンもあったかと思いますが、この世界の、貴族の世界の厳しさを表現するために書かせていただきました。ご理解いただければ幸いです。なるべく同じ日でも時間があるときは更新頑張ります。面白いと思ってくださった方は、ブックマーク、評価、レビュー、していただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。

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