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二次予選!

 僕の予選が終わってからは実にあっけないものばかりだった。ツェーザルの予選、グスタフの予選、ベティーナの予選、カールの予選、ダミアンの予選。

 あとから分かったことなんだけど、この対抗戦の予選では成績最上位の生徒は確実に別々の予選に組み込まれるらしい。学園側が一番優秀な生徒の成長具合を確認したいというのもそうだし、せっかくなら陛下も来てくださってるので、学園の教育の出来栄えを見ていただこう、という理由らしい。

 というわけで僕以外のみんなは順調に終わったみたいでつまらなそうだった。


「じゃあ、次はみんな二次予選だね。ここからは僕らも当たる可能性があるんだよね」

「そうだね。次からは仮に君たちと当たらなくてもかなりいい戦いができるんじゃないかな。だってここまで残るだけでも相当な実力がいるもんね」

「確かにそうですわね。わたくしも基本的には風魔法と回復と結界ですから、防御手段はあってもやはり接近されるのは好みません。でもおそらくそういうところを突いてくるようなすごい人ばかりになると思います」


 そんな感じでみんなで会話しながら過ごし、今日は解散となった。帰りはもちろんエレオノーレと一緒だ。楽しくおしゃべりしながら帰っていた。

 そこで思い出したことがある。フランツのことだ。やはり彼のような不愉快極まりないことを平気でできる貴族がこの国にはまだいるだろうことがもう何となく今までの経験も併せてわかってきた。

 なので、これからも自分の邪魔をしてくる、足を引っ張ってくる人たちはたくさんいるだろう。だからこれからは毎日エレオノーレを寮まで送ろう。まあ、一緒に長くいたいという気持ちがないわけではないけどね。エレオノーレは強いけど、この間のようなからめ手で来られたらひとたまりもない。

 なので今回控室であった件をエレオノーレに話した。事情を話さなかったらただの過保護で片づけられるかもしれないと思ったからだ。


「なるほど、そんなことがあったのですね……」

「そうなんだよ。やっぱりエレオノーレは可愛いから狙ってる人は多いんだと思う」

「そ、そんな、可愛いだなんて……」

「エレオノーレ、冗談でも何でもないよ。君の容姿は本当に自信をもっていいほどのものだと思う。だからこそこうやって僕と婚約をしてくれたのに平気で手を出してくるっていう奴がいないとも限らない。だから、せめて学園内だけは、僕の手が届く範囲では僕に守らせてほしい。ダメかな?」

「わ、わかりましたわ。よろしくお願いしますね」

「うん!」


 そういって僕らはまた歩き出した。女子寮の前まで来たときは僕がエスコートしてるのを見てほかの女の子がキャーキャー言ってたけど、とりあえず無視してさっさとエレオノーレを送り届けたら男子寮に帰ってきた。

 明日も早いからね。今日はゆっくり休もう。そう思っていたら、


「ようやく会えたな」

「フランツ……」

「ふん、この俺を呼び捨てとは、本当にどこまでも生意気な奴だ。だがそれももはやどうでもいい。今回貴様を呼び止めた理由はただ一つ、次は負けん!」

「はい?」

「な、何を呆けた顔をしている!」

「い、いや、もうちょっと何かケンカを売るようなことをしてくるのかと……」

「た、確かに控室ではそのようなこともあったが、あ、あれは無しだ、無し! きれいな女だと思ったのは事実だが、あれはどっちかと言えばついでの話題だ! 俺の目的はただ一つ、お前を倒すことだ!」


 ん~と、つまりこの子にとってはエレオノーレの件は別に本気じゃなかったってこと? 本命は僕との勝負? ってことはつまり……え!? 僕、相手が冗談で言ってるつもりの内容にマジ切れしてたの!? 一人で熱くなってただけ? めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!? いや、でもそんな冗談ではふつう通らないような内容を本気じゃないくせに言うからじゃん! これは彼が悪いよ絶対に! でもまあ、要は彼も少し性格に難があって面倒くさいだけなのね。

 うーん、でもエレオノーレの話題での一件はどうしても許せないな~。まあとりあえず一旦彼との話に戻るか。


「おい、聞いているのか!」

「はいはい、聞いてるよ。話は分かった。つまり君は冗談のつもりでエレオノーレを渡せと言ってたんだね?」

「そ、そういうことになるな」

「なら今回は許してあげる。でも次はないからね。まあ、戦闘に関してはいつでも引き受けるよ」

「言ったな? 二言はないな?」

「うん」

「よし。そして貴様が言ったことも守ってやろうではないか」


 はぁ、どこまでも素直じゃないんだな彼は。素直にちょくちょく訓練の相手をしろ、でいいだろうに。まあ、いいや。なんかまたグスタフ第二号が誕生したな。





 翌朝、さっそく会場内は前日の予選の余韻で沸き立っている。みんなが昨日の予選はだれだれがすごかったとか話している。

 そんな中当然話題に出るのが、フランツの話題だ。まさか全く同じ世代に竜魔導師となれる資質を持つ者が4人もいたなんて話題にならないはずがない。彼が今まで隠しながら学園の授業を受けていたのもより強く物議を呼んだ理由であろう。

 竜に認められた者というくくりでならここ、師団員育成学園は戦闘職に就くための逸材たちが集められる場所だ。

 それなりの人数はいるのだが、一学年に4人というのはかなり強烈な印象を与える数字だ。


「なんならあの時の予選を勝ち抜いた僕より話題になってるんだから、竜魔導師という名前の凄み、深み、重み、そういったものを改めて強く実感させられるなあ」

「いまさら何を言っているんだお前は……」


 今は他のみんなが二次予選が始まったりしていていなくて、僕とグスタフ二人でいる状態だ。で、思いっきり突っ込まれた……


「い、いやでも……」

「でもも、だってもない。俺たちはそれだけ国から期待されているってことだ。くれぐれもヘマはするなよ? ほかの者には悪いがおそらくこれからは俺たち特1教室の上位陣の独壇場っといった感じになっていくだろう。準決勝や決勝で当たる相手も、俺たちのうちだれかになる。気を抜いている暇などない」

「そ、そうだね。今改めて考えると、特1のみんなはすごすぎるよ」

「そうだな。俺も生まれて初めて竜に認められていないものに追いすがられたんだ。戦いは純粋に才能だけで決まることももちろんあるが、油断すれば俺たちのように恵まれた力を持っていても、負けることは十分にある」

「だね」


 やっぱ、さすがだわ。グスタフ。油断なんてものからは百歩も千歩もかけ離れてる。フランツも強いけど、やっぱりグスタフとは雲泥の差があるな。ツェーザルも普段は僕たちのことをからかってきたりと割とパッと見た感じ享楽的にに感じるけど、その実、めちゃくちゃ冷静で勝負事で気を抜くなんてありえない。

 命の奪い合いをしているときに気を抜いて死にかけて、父上にお尻を真っ赤になるまで叩かれて泣いてた僕とは大違いだ……そう考えるとすっごく恥ずかしい……よし! 今グスタフにも言われたように、ここからは今まで以上に気合を入れていこう!


 そうして話をしていると、僕の順番が回ってきたので控室に向かう。今回の相手は特2教室の生徒だ。


「ここか」


 僕は控室に入った。二次予選からは個人戦で、相手は一人だけなので控室に一緒に入れるとトラブルになるかもしれないということで、控室は別れてる。なので相手がどんな人なのか全くわからない。

 でもそれはそれでいい緊張材料になっていいとは思う。


「よおし! 今回も油断せず、きっちり戦っていこう!」


 そう自分に気合を入れた。その後控室に放送が聞こえてきた。いよいよだ……

フランツもまさかのツンデレさん?(笑) でも人の女性に手を出そうとするのは良くないよ! と、僕からも言っておきますw

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