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学級対抗戦!

 あれから二週間たった。そろそろ温かい季節、日の月も終盤に差し掛かっている。ちなみに日の月やら終の月などいろいろあるけど、一つの季節はこちらも地球と似ていて三か月だ。

 で、今は日の月の三か月目、地球でいうところの8月あたりだ。そして僕の誕生日は終の月、つまり地球でいう秋になるとすぐだ。

 そうそう、一つの月の呼び方は例えば日の月で言うと、日の第一月、第二月、第三月となる。これを12か月繰り返す。

 本当に似ているなぁ。なので僕の誕生日は終の第一月の5日だ。

 学級対抗戦も明日からいよいよ始まる。いろいろと楽しみが続くな! そんなことを考えながら寮を出た。

 すると、男子寮の前にエレオノーレがいた。すごくびっくりした。待ち合わせとか特にしてなかったから、まさか来てるとは思わなかった。学期初めでいろいろと忙しいし、エレオノーレにも友達は当然いてその子たちとの付き合いもある。さらに何と言ってもお互いの寮は結構距離が離れているのだ。

 これは当然の処置だろう。むしろ気軽に行ける距離であればいろいろ問題も起こるかもしれない。お互いの寮に行くこと自体は止められていないが、あまりする人はいない。だって遠いもん。

 学園の中なのに、10分ほど移動しないといけない。なので事前に待ち合わせして場所を決めてる時しか一緒に校舎に向かわない予定だった。お互いに大変だからね。

 でもエレオノーレは来てくれた。嬉しいけど、大変だったのではなかろうか? そうこうしていると、

 何人かの女の子と楽しそうに話をしている。そしてその女の子たちが僕に気づき、エレオノーレに何やら耳打ちすると、エレオノーレもこちらに気づいた。

 するとスタスタとこちらに歩いてきた、


「おはようございます! アレン様!」


 満面の笑みでそういってくる……ダメだ、この笑顔は最強すぎる……


「お、おはよう。エレオノーレ、わざわざこっちまで来てくれたんだ。少し大変だったでしょ? もしかして何か用事とか?」

「えっと、用事とかなくても来ては、ダメでしょうか?」


 と、上目遣いに聞いてくる……だからそれはやっちゃダメ! でも今の話から察するに、ただ会いたくて来てくれたってこと!? え? なにこの子? 可愛すぎるんだけど!


「い、いやいやダメじゃないよ! 大歓迎だよ!」

「よ、よかったぁ~」

「ってことは僕のとこに来たくて来てくれたってこと?」


 そういうと、コクコクとエレオノーレはうなづいた。ああ、朝から幸せだな~。


「嬉しい! すっごく嬉しいよ! それじゃあ、一緒に行こうか」

「はい!」


 そういって僕らは歩き始め、教室に向かった。もちろん手をつないでね! 教室に入ると当然のように注目を集めるけど、僕らは気にしない。それよりも目に入った人物がいたからだ。


「グスタフ、おはよう!」

「おはようございます」

「ああ、久しぶりだな」


 そういってグスタフは挨拶を返してくれた。最近はこういう何気ないやり取りもしてくれるようになったんだ。すごい進歩だと思わない?


「それよりも、お前たちのその手はなんだ? 付き合ってでもいるのか?」

「えっと、そうだけど……」

「……」

「もしかして、話してなかったっけ?」

「聞いてない」

「あ、はははは……その実はこの度、僕たち婚約することになったんだ」

「許嫁ではない形でそんなに早く婚約というのもなかなかに珍しいな」


 ああ、言われてみれば確かにそうかも。貴族の子息で早くから婚約者が決まっているのはすでに小さいころに親が決めてる場合が多い。それが所謂、許嫁だ。


「言われてみればそうかもね」

「ふん。全く、お前は何から何まで特殊だな。だがまあ、とりあえずおめでとうと言っておこう」

「ふふ、ありがとグスタフ」

「ありがとうございます」

「ふん」


 不愛想なところは相変わらずだけど……でも本当に悪い奴じゃなかったんだよね。周りの大人がおそらく貴族絶対主義の人が多かったんだろう。

 そりゃ性格もゆがむわな。それなのに僕は何も知らないくせに偉そうなことを言って……本当に仲直りできてよかった。それにグスタフの考えも変わってくれて本当に良かった。

 このつながりは絶対に意味があると思う。大事にしないとな。

 

 そんな感じで雑談していると、ツェーザルも教室に着いたようだ。ほかにも続々ときた。カール、ベティーナ、ダミアン。よしよし。いつものメンバーがそろったな。みんな元気そうでよかった。


 すると、教室にクリスティーナ教授が来た。



「皆さんおはようございます。今日も元気そうで何よりです。さてではさっそく明日の学級対抗戦のお話を進めていきたいと思います。皆さんも先輩などからお話を聞いたりしてワクワクしている人もいるかもしれませんね。では初めに、明日から一週間、授業はお休みです。6日間は対抗戦に費やし、7日目は休養日です。全力で戦闘訓練以上に激しい戦いをするでしょうから、さすが終わってその翌日からというのはしんどいでしょう。なので七日目は完全休校日です。しっかり休養してください。買い物に出かけて気分転換するもよし、友人と遊び楽しい時間を過ごすもよし、一人で自室でゆっくり読書などにふけるもよし。すべてあなた方の自由です。さて、ここまではいいですか?」


 みんなざわざわしていたけど、休養日があるって話が出た瞬間示し合わせたようにピシッと静かになったな……みんなその話に夢中なんだろう。

 はっきり言うと、この学園の教育課程っていうのはめちゃくちゃハードだ。戦う必要があまりない現代地球の学校なんかとは当然比べるべくもなく、この世界の学園、つまり、一般職員育成学園と官職員育成学園よりもぶっちゃけハードだ。

 そりゃそうだ。ほかの学園でも学ぶであろう一般教養科目に加えてさらに戦闘訓練などの実践授業も盛りだくさんだからな。

 みんな相当疲れていたり、ストレスが溜まってるんだろうな……


「よろしい。質問などもないようですね。では次に移ります。初日以降は外部からの観戦客もかなり来られます。ですから学園の生徒は常に見られていると思っておいてください。羽目を外したり、目に余るような行為は学園の名を汚すと心得ておいてください。我らが学園がこれほどの敬意と憧憬の念を持たれているのはすべて先輩方の努力のたまものです。それらをたったの数日で地に落とすような真似は慎んでください。それでは、当日にいくつかやる必要のあるかかりを決めたいと思います。ではその進行役をアレン君、あなたにお願いしたいのですが」


 へ? かかり決めの進行役? なんで僕が? まあ、いいか、好感度上げておけば後々なんかいいことあるかもだし。


「わかりました」


 すると、


「進行役がアレン様ですって」

「うそでしょ? 待ってどうしましょ。当てられたりしたら私速攻で係を引き受けちゃいそう……」

「ああ、君ならありそうだね」

「ちょっと何よ? なんか文句でもあるの?」

「いや? ただ、よくあれだけはっきり恋人とのお熱い場面を見せられて諦めないもんだと思ってね」

「そんなの別にこの子の勝手じゃない。それに正妻の座はもう無理でも妾ならまだ機会はあるかもでしょ?」

「まあね」


 そんな感じでざわざわしだした。何の内容を話してるのかは小声だからわからないけど、まあいいや。

 とにかく今は仕事を全うしよう。


「ええ、では皆さん。進行役になったのでここからは僕が……」

「ああ、少し待ってください。あなたの役割がもう決まっていることをお伝えし忘れていました」

「え?」

「あなたは当日の開会式の時学年から一人ずつ選ばれる開会の言葉を語る役目があります。選ばれるのは学年の首席のみです」

「そんな連絡一切なかったのですが……」

「今言いました」

「あ、はい……」


 しっかりしているようで、意外と抜けてんだなこの先生。そんでちゃっかりとそういうこともあります的な感じでミスをなかったことにしたよこの人。

 うん。まあ直前ではあるんだけど、いちおう前日には伝えてくれただけまだましかな? これが当日にいきなり言われるとかだったら多分僕緊張でお腹こわしてます。はい。


「あー、では僕の役割はもうすでに決まっているみたいなんで、僕以外の人の役割をさっそく決めなければなりません。ではまずええと、この資料によれば必要な役割は三つほど割り当てられてます。一つが交代制での会場の見回り、二つ目がこれもまた交代制での屋台付近の見回り、そして三つ目が……これに関しては教室内での戦闘訓練上位成績者のみというくくりになってます。当日は普通に対抗戦の時間を過ごしてもらうのですが、その間に見つけた不審者などを自己裁定で取り締まるという役割です。ただ、これは別に何をしてもいいというわけではなく、一応決められた処罰方法の中から状況に応じて自分で選んでよいということのようです。さてそれではこれらの係りの担当を決めていきましょう!」



 そういって、僕はじゃんじゃん係を決めていった。なぜか女の子の生徒さんが良く立候補してくれたけど、まあ、そんなことはどうでもいい。やってくれるのならすごくありがたい。僕は係になってくれた一人一人にお礼を言って回った。ちなみに三つ目の役割は僕が指名してグスタフにやってもらうこととなった。ツェーザルでもよかったんだけど、やっぱり戦闘という面で考えると、グスタフの方が有利だからね。ツェーザルももちろんすごいんだよ? すごいんだけど、やっぱり安心感があったのはグスタフだった。

 公爵家のでということもあり、こういう人の上に立つようなこともあっただろう。だから最適だ。


 とまあ、今日の授業はサクッと係を決めてあとは自習時間となった。自習時間と聞くとやはり、さぼる人が一人か二人はいるイメージがある人もいるのではないだろうか?

 だが、びっくり仰天、このクラスのみんなは全員が机に向かって勉強していた。そりゃすごいわけだよね~このクラスだけ……ははは


 その後は授業時間も終わったので皆さっさと寮に帰っていった。僕もその一人だ。明日からかなり疲れそうだからね。休んどかないと。

 そういうわけで、今日も学園の一日が終わったのだった。

これからまた戦いとか増えそうですね~。お楽しみに!

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