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長期休暇 その4!

本当にごめんなさい! 少し忙しくて昨日は投稿できなかったし、今日も遅くなりました!

明日はおそらく普通に投稿できると思います。

 翌朝、みんなで早くから起床して実家に向かうこととなった。

 正直僕としてはもう少し寝たかった。昨日夜遅くまで戦っていたというのもあるけど、僕の場合そのあともいろいろあったから……。

 実を言うとまだ少しお尻が痛い。回復魔法を使えば治るんだろうけど、そういうズルはなんかダメな気がして……。

 まあ椅子に座れないほどでもないから大丈夫だろう。もし生活に支障が出るほどならその時また考えればいい。

 そういうわけで、さっそく僕たちは街の門のところまできた。街の復興に関してはどのみち領地に戻らないと救援の手配などもできないから、どうにもならないと父上が言っていた。

 なので僕たちが最優先すべきなのは領地に戻り、急ぎ救援を手配することだ。

 その後は僕たちがどうこうすることはないらしい。ここは父上を尊敬してる貴族の人の派閥の領地みたいだけど、結局は他人の領地、人手や食料の手助けの手配くらいはしても過度な干渉は逆にだめらしい。

 なので僕たちは普通に里帰りだ。


「父上、あの町の長の人とあえて住民の前で挨拶をしてきたのは、何か意味があるのですか?」

「うむ。あえて公衆の面前で挨拶をすることで、我々は領地に戻るが見捨てるわけではないという意思を伝えるのが目的だ」

「なるほど、住民はただでさえ不安な上にベッケラート男爵家の者も実家に帰るとなれば、より住民の不安をあおります。それを事前に防ぐためにあえてみんなの前で挨拶をして、それを見ていた人たちにベッケラート男爵家はこの街を見捨てないという噂を広めてもらうということですね?」

「その通りだ。やはりお前は賢いな、アレン」


 そういうと父上は僕の頭をなでてくれた。やっぱり父上に褒められると、なんかほっとするな。

 怒られることは昨日みたいにあっても、ちゃんと愛情をもって育ててくれてるのが伝わってくる。


「確かにその方法なら住民の不安も和らぎますね。さすがはアレン様のお父上様。父上からもたくさんベッケラート卿のお噂は伺っております」

「いやいやそんなことはないと思うよ? 君のお父上だって同じことをしたんじゃないかな? 君のお父上、ブラームス卿にはあったことがある。彼なら私と同じではなくとも似たような判断をしたのではないかと思うよ」

「そうおっしゃっていただけると、父上も喜ばれると思います。ありがとうございます」


 へ〜、父上がそこまで評価するお父さんなのか、エレオノーレのお父さんって、どんな人なんだろう? 一度会ってみたいな〜



 そんな感じでおしゃべりをしながら馬車に揺られていると、ベッケラート男爵領に入った。

 ここで気づいたけど、エレオノーレ、めちゃくちゃ緊張してる。

 まあでもそりゃそうか。普通人の家の里帰りに混ざることになるなんていう状況になったら僕でも緊張する。

 でも、やっぱり緊張したままは可哀想だよな。よし!


「エレオノーレ」

「は、はい?」


 うわ〜緊張してるな〜……


「僕の家に着いたらさ、何かやってみたいこととかある?」

「え?」

「いや、多分僕の弟や妹もいるからずっと遊び相手になってって言われるんじゃないかと思って。だったらエレオノーレの希望も聞いとこうと思って」

「えっと、どうでしょう。この人誰? で終わりませんか?」

「そんなことないと思うな。僕も結構いろんなものに興味を持つ方だけど、二人はそれに輪をかけて好奇心旺盛だから、いろんな物事に興味を示すね。だからエレオノーレの訪問に関してもむしろ大歓迎するんじゃないかな?」

「そうなのですね。わたくしとしましてはとてもうれしいですわ。アレン様のお母上やご兄弟にもぜひお会いしたいです」

「うん! きっと喜んでくれるよ!」


 

 そうして何とかエレオノーレを落ち着かせることに成功し、その後は何の問題もなく家に到着した。



「ただいま~」

「ただいま戻りました!」

「お、お邪魔いたします」


 そういって三人で家に入った。すぐに家族のみんなが出迎えてくれたんだけど、


「父様、兄さまおかえり~!」

「お父様、お兄様おかえりなさいませ!」

「あなた、アレン、おかえりなさい。あら? そちらの素敵なお嬢さんはアレンの恋人さんかしら?」


 そんな感じで三者三様に出迎えてくれたんだけど、母上がいきなり爆弾発言だ……


「は、母上! べ、別にそんなんじゃないです! エレオノーレもびっくりしてるのでやめてあげてください!」

「こ、恋人さん……」

「あら? そうなの? でもとても親しげに名前を呼んでいるし、事実彼女は否定もしないし、むしろすごく可愛らしい反応をしているようだけど?」

「は、母上!」

「はいはい。わかったわよ。とにかく、()はそういう関係じゃないのは理解したわ。ささ、あなたも長旅疲れたでしょ? どうぞ上がって?」

「し、失礼いたします!」

「ふふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」

「は、はい。あ、ご挨拶がまだでした! 改めまして、エレオノーレ・ブラームスです。よろしくお願いします」

「はい、私はアンネ・ベッケラートよ。よろしくお願いしますね?」

「はい!」


 はあ~何とか収まった。と思いきや、そうは問屋が卸さない。


「ええ、隣のお姉さんは兄さまの恋人さんじゃないの? 全然違和感なかったからむしろびっくりだよ!」

「そうです。とってもきれいな恋人さんかと思いました!」


 そんなことを言い出したガキんちょ二人、兄さま兄さまと懐いてきて、めちゃくちゃ可愛いのは相変わらずだけど、しかもアンナに関してはだいぶ言葉が上手になったし。あとで褒めてあげたら喜ぶかな? 

 とりあえず今はこの二人の暴走を止めよう。さっきからエレオノーレが顔を超絶真っ赤にしてフリーズ中だから。


「こらこら二人とも。さっきも言ったように僕たちは別にお付き合いしてるわけじゃないんだから、あんまりエレオノーレを困らせること言っちゃだめだよ?」

「ええ~、つまんない!」

「そうです! つまんないです!」

「いいから二人もちゃんとエレオノーレにあいさつしなさい。そうじゃなきゃ一緒に遊んであげないよ?」

「ええ! それはヤダ! えっと、エレオノーレさん、初めまして、僕はディルクと申します。よろしくお願いします」

「えっとえっと、私はアンナと申します、よろしくお願いします」


 うーん、やっぱやればできるんだよね。この二人、やんちゃっけがすごすぎて暴走することはあるけど、こうやって注意すればやるべきことはきちんとできる。ほんとにいい子たちなんだ。あと可愛いし。それに可愛いし。

 ここでようやくエレオノーレが復活してきた。


「あ、はい! よろしくお願いします。わたくしはエレオノーレ・ブラームスです。よろしくお願いします」

「よし、自己紹介はあらかた終わったな。ではさっそくだがもう夕飯の時間だし食事にしよう! その後は各自自由時間でいいだろう」

「わかりました。父上」

「承知いたしました。ベッケラート卿」

「では、あなた、お荷物お預かりしますわ。王都から本当にお疲れさまでした」

「ああ、久しぶりにみんなの顔が見れてうれしい限りだよ」



 そうして僕らは楽しく夕飯を食べて、お風呂に入って、そこからは父上と母上が安定の晩酌(ばんしゃく)に入ったので、僕やエレオノーレも自由時間を過ごすことにした。

 そうなると当然好奇心の塊のちび二人が僕の部屋に突入してきて、エレオノーレに会わせろとうるさいので、エレオノーレの泊まっている部屋に訪れた。


 コンコンッ


「はーい。どうぞ~」

「お邪魔しまーす」

「あ、アレン様!? えっとどうして? あ、ヤダわたくしお化粧もせずに、ご、ごめんなさい! アレン様が来るとは思わなかったから、油断してて……」


 うん。ふつうそういう反応になるよね? これに関しては貴族令嬢の部屋にアポなしで訪問した僕が120%悪い。

 女性の人と会うための支度というのは大変だし、時間もかかるものだ。だからこういう気の抜ける時間が女性には必要なのだ。

 そこに僕が礼を失して訪れたわけだから、エレオノーレは全く悪くない。


「い、いやエレオノーレは全然悪くないよ、事前に連絡して準備してもらう時間も作らずにいきなり訪れた僕が悪いんだし」

「で、でも……」

「いや、ほんとにエレオノーレは悪くないって、もしあれなら出直すし、もし今日は疲れてるとかだったら明日にするけど」

「い、いえ少しお時間いただければすぐにしたくしますので!」

「そ、そう? ほんとにごめんね?」


 そういうと僕たちはいったん部屋を出た。お化粧しなおしてるとことか絶対見られたくないだろうから。

 それにしても、エレオノーレはお化粧してなくてもすごく可愛いんだな~。あの上位悪魔たちと戦った時もそうだったけど、改めて明るい場所で見るとめちゃくちゃ可愛かった……正直ドキッとした。

 なんていうか普段のプライベートっていうか、あんなに無防備さらしてるエレオノーレを見る機会ってないからすごく新鮮だ。

 そんなことを考えていると、


「なんか兄さますごく顔が赤いよ?」

「そうですね。そんなに表情を崩してるお兄様は初めて見ました。なんか……可愛いです」


 ん? なんかアンナの最期の言葉だんだん声が小さくなっていって聞こえなかったけど、すごく不穏なことを言われた気がしたんだけど?


「そ、そう? 別に赤くなってないと思うけど……」

「いいや、赤くなってた。やっぱあのお姉さんのこと好きなんでしょ!」

「そうです! 絶対そうです! お母様に聞いたことがあります。人は好きな人を見たり一緒にお話ししたりするとお顔が赤くなるって!」

「そ、そうなのかな? やっぱりそうなのかな?」

「うん! 絶対そうだよ!」

「お気持ちはもう伝えたのですか?

「ううん。まだ」


 自分より年下の兄妹と恋愛相談をしてるやつ……ああ、わかってるよ! 情けないって言いたいんだろ! 自分でもわかってますヨーだ! でも前世では女の子とお付き合いしたこともなければ、そもそも女の子を好きになったこともなかったんだから仕方ないだろ!

 僕は恋愛偏差値30なんだよ! この世界ではディルクくらいの年齢なら許嫁(いいなずけ)がいたっておかしくないんだ! むしろそういう人がいない僕の方が特殊なんだよ! 

 はあ、はあ、はあ、ごめんなさい。取り乱しました、落ち着きます。

 でもほんとのことなんだよな。とりあえずいくら子供とはいえ、他人から見ても僕のエレオノーレに対する気持ちはあからさまみたいだから、機会を見つけたら告白しようくらいの心構えでいた方がいいかもしれない。


「とにかく一旦このお話は終わりにしよう? そろそろエレオノーレも支度ができるだろうから」

「はーい」

「わかりました」

「それと言いそびれてたけど、二人とも」

「なに?」

「どうしたんですか?」

「大きくなったね。それにアンナは言葉を話すのがとても上手になったね。ディルクもすごくしっかりしてきた。成長した二人に久しぶりに会えて、兄さんはすごくうれしいよ」


 そういうと、二人ともぱあッ! 笑顔になった。特にアンナは言葉のことで褒めてもらえてとてもうれしそうだ。やっぱりこういうことは言葉にしてちゃんと伝えてあげた方がいいよな。

 そんな感じで考えていると、


「俺も兄さまがかえってきてくれてうれしいよ! いっぱい遊んでよ!」

「私も、言葉はしっかりとお勉強しました!」

「うんうん。二人は兄さんの自慢の兄妹だ! とにかく、しばらく家にいるからいっぱい遊ぼう!」

「うん!」

「はい!」



 そうして話していると、エレオノーレがしたくできたみたいで、僕たちは夜の9時くらいまでお話ししたりして楽しく過ごした。

 エレオノーレもすごく楽しんでくれたみたいで本当に良かった。

多分もう少し続きます。お楽しみいただけたらと思います。

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