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長期休暇 その3!

すみません。前話の天使の話し方、途中から変わってしまっていたので修正しました。混乱された方もいるかと思います。申し訳ありません。

 街の外の開けた場所になっているところに転移魔法で飛んだ。少し多めに魔力を消耗したけど今はラーにも力を供給してもらっているので魔力量も上がっている。この程度の消耗はどうってことはない。


「まさか俺たちごと街から引き離すとはな。おめえ結構やるな……適当に遊べばくたばるだろうと思っていたが、どうやらそうはいかないらしい。そっちのそのいやな感じがする杖を持ったおっさんも結構やばそうだしな~」

「そうですね。私としては敵が増えてしまったとはいえ、それは逆に言えばあなたを倒し得る可能性のある見方が増えたとも言えます。まあ見方ではありませんが。わたくしを不快にさせた時点で殺すのは確定です」

「ふん。ま~た見栄を張っていやがる。そういうのは見苦しいからやめろ。素直に脅威だっていやいいんだよ! それにその神位竜、生まれたてとはいってもある程度は成長してる。マジで殺す気で行かねえとこっちがやられそうだぜ~」

「まあ、僕としては君たちのような迷惑な存在には人間代表として言わせてもらうとさっさと消えてほしいんだよね。僕はね自分が大切にしてる人たちに危害を加えようとするやつがほんとに嫌いなんだ。君たちも余計なことさえしなければ、人間や竜に疎まれることもなかったのに……自ら嫌われに行くなんて僕には到底理解できない」


 そういうと、明らかに二人の雰囲気が変わった。彼らにも彼らなりの正義や価値観のようなものがあるのかもしれない。だがそれは到底、人類や竜には理解されないだろう。故に僕らと彼らが分かり合える道はないのかもしれない。彼らがむやみやたらと破壊行動をとらないというのなら人類も彼らにこの世界での生活を許容するだろう。どっちにせよ難しい問題だ。まだ政治にかかわれるほどの発言権がない僕には関係のないことだ。

 そういうのはお国に任せる。


「とにかく、君たちはこの場での戦闘行為をやめるつもりはないんでしょ?」

「あたりめえだ。あっちが喧嘩を売ってきたんだ。向こうが非を認めて素直に謝罪して俺をほおっておいてくれるんなら話は別だけどな」

「そんなかなうはずのない夢は見ない方が身のためですよ?」

「ほらな? 無理だぜ坊主」

「そのようだね。なら二人には消えてもらうしかないね」

「ほざけ、口先ばかりはいらねえぞ」

「ふん、そういうでかい口は実力を示してからいうものですよ。坊や」

「ならさっそく……『不死鳥(ふしちょう)逆鱗(げきりん)』!」


 そういって、僕はすぐさま戦闘行為に入った。分かり合えるとは思っていなかったけど、悲しいものだ。まあ、人類に損害が出てる時点でもう手遅れだとは思うけどね。僕が仮に彼らに肯定的になったとしても、被害を受けた人類は確実に天使と悪魔との殲滅戦争に入るだろう。

 人類は秩序を重んじる。だからこそそれを乱すものは許さないだろう。こうなった時の人類が恐ろしいのは現代の地球に住んでいた者ならわかるだろう。


「ほう、なんかやばそうな魔法だな! 軽く伝説級まで行ってやがるぜ! ならこっちも、『閃刃竜巻嵐(せんじんりゅうかんらん)』!」

「『光連斬(こうれんざん)』!」

「やっぱり上位悪魔だね。今の平然と対処するとかやばすぎでしょ……天使さんの方も相当高位の天使なのかな?」

「いまさら気づいてもおせえっつうの」

「そうですね。私は上天(じょうてん)と呼ばれる階級の天使です。ちなみにもう少しで天使長(てんしちょう)の階級に進化できます。そうなればもはや残すは聖天将(せいてんしょう)のみです」

「結構あんじゃねえか。まあつっても俺も魔将帝(ましょうてい)までの道のりは、準魔将(じゅんましょう)の段階を乗り越えねえとな~。まあそういうこったガキんちょ。仮に俺らを倒せてもうぬぼれねえこった。まだ上がいるってこった。まあ負けるつもりはねえけどな?」


 そんなことを悪魔たちは言い出した。なんで自分からペラペラと情報漏らしてんのか気にはなるけど、それよりも恐ろしいことに気づいたぞ。彼らの言っていた階級の数何個あった? 確か5つだよね。

 とすると竜よりも階級が多いってことだよね? え、やばくね? でもさっき進化とか言ってたからもしかするとそれぞれの種族になんか強みや弱みあったりすんのかな? まあ今は考えてもわからないから集中しよう。


「まあ、油断するつもりは当然ないよ。だからさっさと君たちを倒して修行でもするかな」

「ほう、言うね~」

「もう問答は飽きた。そろそろどちらも死んでくださいな」

「そっちがね! ラー君も攻撃だ! 『獄炎乱舞(ごくえんらんぶ)』!」


 あたり一面に業火が吹き荒れた。それに対し悪魔が対処してくる


「させるかよ! 『煉獄(れんごく)への(いざな)い』!」


 そう悪魔が言った瞬間僕の炎が一瞬で闇に飲み込まれた。あれは闇魔法? いや、なんか違う。しいて言うなら独特の属性というかよくわからない。多分属性なのはあってると思うけど、闇とは少し違う……

 そんなことを考えていると、


「随分と余裕ですね? 私を忘れていませんか? 『光覇一閃(こうはいっせん)』!」


 やばいと思った……あれだけ気を抜かないようにしようと思っていたのに、少し考え事をしただけでこのありさまだ。

 死ぬ、と思った瞬間、


「させんぞ! 『裂光聖覇(れっこうせいは)』!」

「グフッ! き、貴様! なんだその力は!」

「ふん! とりあえずはこの杖の力と私の長年の魔法研究のたまもののなせる業っとでも言っておこう」

「父上……」

「アレン……言いたいことは多々あれど、説教は後だ! 今は目の前に集中しろ!」

「は、はい!」


 とにかく今は集中だ! これは……とんだ失態だ。父上もすごく怒っていた。そりゃそうだ、あれだけ訓練の時動きを止めて思案するなと言われていたのに……今のは下手をすれば死んでいたんだ。

 後でものすごく叱られるだろう……だがそれもことが終わってからだ。


「おのれ、やってくれたな!」

「ふん。息子を守るのは当然だ」

「そうか、ならば親子まとめてあの世に送ってくれる!」


 

 そうしてしばらく戦闘が続き、悪魔や天使が疲弊してきたころ、僕はまだ余裕があったので、一気にたたみみかけることにした。


「そろそろ終わらせるよ! 父上、エレオノーレ! 援護頼みます!」

「任せておけ!」

「了解ですわ!」



 そして悪魔は地上で腕がなくなって満身創痍(まんしんそうい)、天使はかろうじて上空で浮かんでいる。


「くらえ! 『火炎爆裂熱波(かえんばくれつねっぱ)』!」


 父上とエレオノーレにだけ帝王級に匹敵する結界を張り、僕は大昔、賢者とまで言われた人が編み出したオリジナル災厄級魔法を放った。


「く、くそーーーー! こんな、ところでくたばって……」

「おのれ! 人間! いずれ、いずれ私の同胞が、お前たちをーーーー!」


 そこで悪魔と天使たちは消えていった……ようやく戦いは終わった。




 その後宿屋に戻った。その時エレオノーレには普通に部屋に戻ってもらったが、僕は違った。僕は父上に呼び出され、父上が店主に、誰も通らない宿屋の部屋の階と部屋を貸し切りで頼んでいた部屋に向かった。

 部屋に着いたのでノックをした。


「父上、アレンです」

「入れ」


 許可を得て部屋に入った。すると父上は黙ってベッドの上に座っていた。

 しばらく沈黙が続き、そして不意に父上が口を開いた。


「アレン」

「はい」

「お前は今回の戦い、少し慢心していたのではないか?」

「そ、そんなことは!……」

「ならなぜ、戦闘中に思案にふけるなどという危ない真似をした? 私は常々お前に言い聞かせてきた。戦闘中は一瞬の気のゆるみで死ぬこともあると、だから動きを止めて思案するという行為は最重要禁止事項だと……そしてお前は今までそれを守ってきた。だが、今回初めてそのおきてを破った」

「は、はい……自分でも情けないと思っております」

「うむ。故に今回、お前が我が家に生まれて初めて説教と罰を与えないといけないと考えている。私もできればこんなことはしたくない。だが、今回お前は一歩間違えていれば死んでいたんだ。もしそうなれば、反省して次に生かそうなんてことはできない。わかるな?」

「はい……」

「わかったら、ここに来なさい」


 そういわれ僕は素直に父上に示された通り、父上の膝にうつぶせになった。もう大体何をされるかはわかっている。


 僕はズボンと下着を下ろされたが、抵抗はしない。今回は100%僕が悪いからだ。父上の言う通り一歩間違えれば死んでいた。父上に一番きつく言われていた戦闘においての心得も破ってしまった。

 当然の結果だ。


「今からお前に罰を与える。キツいだろうが、20発耐えろ。だがディルクでも頑張ったんだ。お前も耐えられるはずだ」

「はい、父上……」


 そういうと、父上はお尻たたきを始めた。


 バチーンッ


「ッ!」


 バチーンッ


「ッ痛!」


 痛い、痛すぎる……すでに僕は涙を流している。痛くて泣いているのもあるが、やはり情けない気持ちが大きく、どうしても涙が出てくる。でも大声で泣かないし、叫ばない。 これは僕への(いまし)めだ。今後二度と自分への甘えと慢心を許さぬために……


 バチーンッ


「あはッ! く!」

「耐えろ」


 父上は淡々と告げる。心なしか父上も泣いているような気がする。ただ僕は、叫んだりはしていないがもう既に限界を迎えそうだ。


「はい、頑張ります! ぐすッ」

「お前は強い子だから耐えられる。我慢しろ」


 バチーンッ





 そうして、僕はその後もお尻を叩かれ続け、何とか20発耐えきった。ただ今日、明日くらいはまともに座れないかもしれない……


「よく耐えたな。偉いぞ。この痛みを忘れるな。今回の失敗はお前を確実に成長させてくれる。お前ならできると私は信じている」

「はい、父上。ぐすッ」

「アレン、こっちにおいで」

「はい」


 そして父上は優しく抱きしめてくれた。そして今気づいたが父上の目は充血していた。つまり相当涙をこらえていた証拠だ。本当に申し訳ない気持ちになる。この世界では体罰が一般的なしつけとはいえ、父上もやりたくなかったんだ。でも僕のためだったんだろう。

 

 もう二度と油断もしないし、慢心もしない! みんなを守るために修行も今まで以上に頑張ろう!

 アレンはそう心に誓った。



まだ長期休暇続きそうです。よろしくお願いします。

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