エレオノーレの苦悩?
すみません! 昨日はかなり多忙で投稿できませんでした。
私の名前はエレオノーレ・ブラームス。私は今すごくほっとしています。小試験の時アレン様の班と戦わないといけないかもしれなかったとき、私は少し嫌だった。
ツェーザル様はようやくアレン様と本格的な舞台で戦えるって張り切っていたけど、私は別にアレン様に対して好敵手! みたいな感情は持ち合わせていない。
むしろ入学式の時見ず知らずの私がグスタフ様にやりたい放題、言いたい放題されてたのを助けてくれた、紳士な人としか映ってないから。
「うん。これって多分あれですわね。友人の子にも聞いたことがありますし……話しているだけでうれしくなったり、楽しくなったり。一緒に授業に向かったり、そういう何気ない学生生活を共にしてるだけなのに一つ一つのことにドキドキする。あの子が言っていたことと全く同じ状況ですわ……」
多分これは、アレン様のことが好きってことなのでしょうね。よくよく考えたらツェーザル様もあの時一緒に助けてくれていたのに、お礼を言ってからは不思議とアレン様ばかりに気が向いてた気がします。
ツェーザル様がどうでもいいとかではなくて、不思議とアレン様ばかりに目が行っていたような……
「え!? これってまさか! 私は初めて会った時点でアレン様のことを?……」
そう考えた瞬間、顔が一瞬でほてってきた気がした。考えてみれば不思議なご縁ですわ。
だってよくよく考えればアレン様も、ツェーザル様も容姿端麗、才色兼備、すごい人たちなのですわ。よく女の子の生徒さんが、アレン様やツェーザル様とすれ違ったり見かけたりしたら、目で追いかけたり、おとめの会話を始めたりしますわ。本当にお家とかでもほかの女生徒さんにかなわないはずの私がアレン様達と行動を共にできてるなんて奇跡ですわ。
そのことをしっかりと受け止めてこのご縁を大事にしなければ。
「でも不思議ですわ、ツェーザル様もすれ違う女性のほとんどを振り向かせるほどの容姿を持っているうえに、性格の方も誰が見ても文句なし、なのにどうしてアレン様にばかり目が行くのかしら?」
これについても何かのご縁かもしれないけど、最近ツェーザル様はベティーナさんと仲がいいですの。もちろんほかのみんなとも仲がいいのですけど、よく思い出してみるとほかの皆さんとの仲のよさとは少し違いますわね。わたくし自身こうやって気づく機会があったから、かえって冷静にあのお二人の変化に気づけたのかもしれないですわね。
本当に自然と二人でいることが増えましたわね。多分ですけれどこれもご縁なのかもしれませんね。
なるべくしてこうなったのかもしれません。
「とにかく、いずれこの気持ちをアレン様にお伝えしなくては! 他人のことを気にできる立場ではないのよ! エレオノーレ!」
ちなみに騒がしくしていますけど、今日は休日で学園がお休みなのです。ですから今私は自室にいるのですけど、他人が見たら不気味でしょうね。
「とにかく、まずはどういった方法で気持ちをお伝えするかが重要だと思いますわ。いきなり出会って唐突に言われても、は? っとなるのが普通でしょうし、難しいですわね。うーん、今は考えても仕方ないのかもしれませんわね。伝えられそうなときに伝える、そう気楽に考えた方がいいのでしょうか? だめですわ、埒があきません。せっかくのお休みですし、お買い物にでも出かけて気分転換しようかしら」
うん。その方がいい気がしてきましたわ。そのうち何かいい方法が思いつくかもしれませんし。
そう考え、エレオノーレは週に一回許される外出で買い物をするために、街に繰り出した。
「さすが、いつ見ても王都は素晴らしい発展ぶりですわ。この人々が毎日を平穏に生きられるのが永遠に続いてくれるといいのですけど、最近何やら、あちこちの地域で破壊行動が行われた痕跡が見つかったり、大規模な戦闘が行われた跡が見つかったりと世間が騒がしくなっていますから、わたくしも気を付けませんと!」
そんな決意を胸にさっそく買い物を始めようとしたその時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれエレオノーレ? どうしたのこんなところで」
そう、それは今ではすっかり聞きなれた声、優しさにあふれていて、毎日聞いているはずなのに飽きることなく自分の胸に高揚感や安心感を与えてくれる声。今さっきまで思いを伝えようかと考えていた人の声……
「アレン様? あなたもお出かけですか?」
「うん。ちょっと買いたいものがあって外出してたんだ」
「どんなものかお聞きしても?」
「うん。そろそろ長期休暇でしょ? あとは中期試験を受け終わったらそこからは実家に一旦帰るから、その際のお土産をね」
「そうでしたの……」
「ん? エレオノーレ? どうしたの?」
「あ、いえ! 何でもありませんわ」
「そう? ならいいけど」
ああ、ほんとにこの方は優しいですわ。自分の休日なのに、しかも長期休暇がもうすぐあることも忘れずに家族のためにお土産を買いに来る。本当にこんなに素晴らしい殿方、いままで会ったことがありませんわ。この方を知れば知るほど興味がわいて、もっとこの方について知りたくなって、より好きになってしまう。
でも、こんなに素晴らしい方ならいろんなお家から引く手あまたでしょう。実力に関していえば貴族としても、男性としても、師団員としても。むしろ誘う側のお家が気後れしそうですわ。
そんな方にわたくしで釣り合うのでしょうか? 今そんな不安が一瞬よぎりました。
貴族令嬢として恥ずかしくない振る舞いを今まで心がけるよう努力してきた自信はあります。ですがなぜかこの方を前にするとそんなちっぽけな自信も吹き飛んでしまう。
だめですわ! 伝える前から弱気になってどうするんですの! どの道わたくしに振り向いてもらえるかどうかもわたくしが気持ちをお伝えしないことには始まりませんわ!
そんなことを考えていると、
「ね、ねえエレオノーレ……よかったらなんだけど」
そうアレン様が話しかけてきた。
「はい。どうされましたの?」
「僕と一緒にお店を見て回らない? こうしてせっかく会ったんだし、一人より二人の方が絶対楽しいと思うんだ。どうかな?」
私は心臓が停止したかと思いましたわ……。こんなに話しかけてきた相手に対して返答を待たせたのは生まれて初めてでしたわ。それと心なしかアレン様のお顔が赤いような……気のせいかしら?
「いいんですの? わたくしが同行させていただいても」
「いいも何も、僕が一緒に行きたいってお願いしてるんだからさ、そんなこと気にしなくて大丈夫だよ」
「あ、そ、その是非! 同行させてください!」
い、言えた! す、すごい。今まで体験したことがないくらい心臓がドックンドックン言ってますわ。
「ほんとに!? よし! じゃあ、この近くのお店からゆっくり回っていこうか!」
「は、はい!」
すごくうれしい! うれしいですわ! それとなんかアレン様もすごくうれしそう? も、もしかしてアレン様もわたくしのことを? って! いくら何でもいきなりその考えはうぬぼれすぎよ! エレオノーレ! ゆっくりよ! ゆっくり、アレン様との距離をこれからも縮める努力をして、だんだんと女の子としてみてもらえるように頑張ればいいんだと思います……多分。
うん。そういう感じで頑張りましょう! 今の私にできることはそれくらいですわ。
そして、いつかアレン様にしっかりと自分の気持ちをお伝えするの! わたくしは頑張りますわ!
今回、お買い物にお誘いいただいただけですけれども、それでも少しだけほんの少しだけ前進できた気がしますわ。
今回はエレオノーレの可愛らしい苦悩を描こうと思いました。ただ、うまく書けてるか不安なのですが、お楽しみいただけると嬉しいです。




