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アレン革命を起こす魔法具開発!

 小試験から約二週間。基礎知識もみんな深めてきたところで、ようやく実技に入る内容が出てきた。

 基本的には剣術や魔法学応用などといったものはみんなすでに基礎知識を抑えてきているので、実践に入るのも比較的早かったが、今回のようなケースはその裏技が通用しない。それは何か、


「さて、今日はうれしい報告があります。正直先生はすごくうれしい。それは、そろそろ皆には魔法具づくりの実践に入ってもらおうと思う。多分教育予定表をしっかり読んでいる人は、すぐに疑問符がこんにちはしたことだろう。それは実際正しいよ。ただね、ぶっちゃけて言うと君たち優秀すぎるんだよね……ははは。なので逆に教育予定表が追い付けてないありさまなんだよね……今回のようなことは僕が教授になってから初めてなのでうれしい半面、びっくり半面なんだよ。というわけで僕の結論としては、もう実践教えちゃっていいかなと思ってるんだ。というわけで早速行ってみよう!」


 なんと僕たちは初見の科目で基礎知識においてはすでに免許皆伝をいただけたみたいだ。しかもクラス全員が……何それ? いくら何でもすごすぎない? 確かに言われてみればこのクラスはほかのクラスに比べて、全教科基本的に平均点が20点くらい上なんだよね……そりゃもう口頭で教えることないか……ははは。


「まず初めにこの間言ったとおりだ。使うものは何でもいい木だろうが、鉄だろうが。ただし銀や金といった高級素材は今回は控える。今回の出来栄えで渡しても問題ない、素材を無駄にしないと確信できた者だけに進呈しよう。よしじゃあ、ここにあるもの何でも使っていい。倉庫にあるものは国から許可が下りてるから何も問題はない。では初め!」


 さっそくみんな素材に集まりだしたな。よくそんな速攻で作るものを決めれるな。僕はどうしよう……うーん、あ、そういや悪魔や天使云々って話も出てるから攻撃手段の増加とかありかな。となると、僕が前世の記憶をもとに再現できそうな便利なものといえば……あれだ。


「じゃあ、まずは鉄と、鉛とかもいるか」


 この世界の物質は地球とほとんど変わらない。なんかこうしてみてると、学問が魔法という便利なものに発展を阻害されて、文明の発展具合が違うだけで、ほとんど地球と変わらない世界にいるみたいだ。もちろん地球にはなかった物質も数多くあるけどね。セオーティタ様があえて似た世界の地球人の僕を呼び寄せたってことなのかな? ああ、でもその方がすごくしっくりくるな。まあいいや。


 魔法具というのは魔法と同じでイメージの要素が強い。使う魔法と、どんな装置を作りたいのかの明確な想像、そして素材を錬成するスキル。ちなみに装置そのものの形さえできればあとは自分で考えたオリジナルのイメージを術式や魔法陣に出てくる魔法言語に魔力とともに刻み込み、魔力を込めるだけだ。そこに明確な魔法が介在しないこともよくある。本当に不思議だ。


 まずは手のひらで握れる取っ手を再現、その取っ手を持つ際、指を添える方に囲いを作る。その中に人差し指で引っ張れる突起を作る。その上に筒状の鉄で作ったものを取りつけ、その先にさらに太めの面積で作った筒を取り付ける。回転させられるような形で、そしてその太い筒に六つの穴をあける。太い筒が貫通するまでだ。そして囲いの蓋のようなのも形成して完成だ。

 あとはその太い筒に入れる鉛の金属を先が緩い円錐状になるようにして、すごく小さめの筒を形成する。これを太い筒に埋め込み、自分が必要と思った。イメージを魔法言語によりこの道具に刻み込む。

 すると……


「できた! あとは効果を試すだけだ!」

「え!? もうですか!? いくらなんでも開始20分で完成ですか? 早すぎでしょ!」

「あ、いや、構造は完成したけど成功かどうかはこれから試さないと……」

「ああ、確かにそうですね。この場で試せるものですか? それとも……」

「ああ、できれば攻撃用の魔法具を作ったので、訓練場かどこかをお借りできればと思うんですけど」

「攻撃用!? なんでまたそんな危険なものを?」

「うーん、護身のためです」


 適当にごまかした。


「なるほどそうですか。わかりました。行ってきなさい」

「ありがとうございます」


 そうして近場の誰もいない訓練場に移動した。なぜ魔法具学の研究室の近くに訓練場があるのかというと、今僕が作ったみたいに攻撃用の魔法具を作る人もいるからなんだよね。


「ここなら大丈夫かな。よし、それじゃあ始めようかな。まずは魔力を込めて……撃つ!」


 すると、そのあとに耳をつんざくような破裂音とともに金属の物体が飛び出た! 余裕で肉眼で視認できる速度は超えている。そしてこれはイメージで作れるので、勝手に筒が回転してくれる仕組みにしたのだ。

 そう。僕が作ったのは回転式拳銃。所謂(いわゆる)リボルバーといわれる銃だ。

 そしてその効果のほどだが、エグイ……とにかくエグすぎる! まあ当然だよね。素人とはいえ、向こうの世界にあった一撃で人の命を奪えるような兵器に魔力まで追加して撃ったんだもん。火薬はなかったとはいえすさまじい威力だ。僕は念のため身体強化をして撃ったからよかったが、

 向こうの世界の兵器の恐ろしさを知らず、かつどんな兵器かも想像もできていないこの世界の人が初見でこの魔法具を使ったら(身体強化もせず)まず間違いなく腕の骨がいくね。

 それほどの威力だった。僕はアメリカのフロリダに行ったことがあって、その時に実銃を撃ったけど、その時の威力より断然上だった。多分3倍くらい違うと思う。まず生身じゃ撃てない。


 そんなことを暢気(のんき)に考えていると、魔法具の教授が来た。あ、すごい顔してる……やばい? 結構叱られたりして……僕は戦々恐々(せんせんきょうきょう)としながら先生に質問した。


「あ、先生、えっと、どうされたんですか?」

「アレン君」

「はい」

「どうして魔法で強化している的が木っ端みじんに吹き飛んでいるんですか?」


 ああ……だめだ。これ怒られる。先生すごくさわやかな笑顔してるけど、目が一切笑ってない……


「えっと、僕が作った魔法具を試したんですけど、威力がすごすぎたみたいで的が吹き飛びました……」


 こんな報告受けても先生も戸惑うだけだろうけど、ちゃんと言わないと後ですっごい怒られそうだし。


「とにかく、あなたの持っている魔法具の実験をした結果。そうなったと、そういうことですか?」

「はい」

「そうですか。とにかく見せてもらっても?」

「もちろんです。ですが身体強化を使わないとおそらく腕がいってしまいます」

「そ、そんなにですか!? いったい何を作ったんですかあなたは!?」

「とりあえず、見ていただければわかるかと」

「わかりました。忠告も聞いて身体強化を使いましょう」


 先生はそう言って、身体強化を使った後、銃に魔力を込め始めた。そして発射。先生は僕が言ったことがよほど衝撃的だったようで、警戒して中腰の姿勢で撃った。結果的にそれは正解だった。

 なんせ……


「まさか、教員の私が身体強化をして、しかも姿勢を固定して、ちゃんと言われた手順で撃ったというのに、後ろに吹き飛ばされましたよ……」

「あははは……」


 先生にジト目を向けられた。なんかすごく気まずい。


「なるほど、わかりました。これは一発合格です。というより……革命が起きますよこれは! 陛下にぜひともお伝えしなくては!」


 と先生は興奮し始めた。まあ確かに今だに騎士同士でというか、剣が主流の世界でこの兵器は少し早すぎたかな? でも天使や悪魔に対抗しようと思ったらこういう地道な戦力強化もありなんじゃないかと思うんだ。


「とにかく、君は今回の実験文句なしの最高評価です! これからまた何か思いついたら私に言いなさい。素材はいつでもできる限り用意しましょう!」

「あ、ありがとうございます」


 とりあえずよかった~。怒られずに済んだ。今はそれが何よりも重要だった。

 まあ先生も認めてくれたみたいだし、これからも遠慮なく便利そうなものは作っていこう! それもお国への貢献の一つの手段だ! 



 とそこまで良い感じだったのはいいが、まさかのあの轟音で生徒たちも訓練場に来ていたらしく、いろいろ根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。

 結構疲れたが、なんだかんだ楽しかった。これからも授業は積極的に頑張っていこう!

 



銃、作っちゃいました(笑)

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