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反攻作戦 始動!

 翌日、僕は昨日の内にまとめた作戦の草案を持って王宮に来ていた。いつも通り城門を顔パスで通され、応接室へと案内された。


 そして待つこと20分ほど……


 思ったよりも早く陛下がいらっしゃって早速会議が始まった。今回は僕1人でやって来た。グスタフや父上たちを呼ぶことも考えたが、みんな忙しいのだ。

 作戦の方針が固まってから報告するのでも遅くはない。そう思ったため、今回は1人なのだ。



「陛下、朝早くからお時間を頂き、感謝致します」

「良い良い、昨日の今日でもう草案をまとめてきてくれたのであろう? 要件はだいたい分かっておるから話を続けてくれ」

「かしこまりました」


 今回の遠征は相当大規模なものとなる。そして各貴族が自分で師団を動かすのではなく、あくまで国家主導で貴族に派遣申請をして国家師団として動くつもりだ。なので当然費用も国持ちとなる。

 貴族たちは自分の私兵への指揮権が一時的に無くなるので不満だろうが、その分遠征中に兵たちを食べさせる兵站資金、装備の維持費など全てを国が負担してくれる。

 よほどのバカでない限り、派兵しないなんてことはないだろう。


 とまぁ、派兵のことはさておき、次は誰が総指揮を取るかだ。これはいうまでもなく、コルネリウスさんだ。団長なんだから当たり前だ。しかもコルネリウスさんは、ただでさえ真騎士として相当な強さを誇るのに、今回の装備見直しの際に新しい魔剣を用意されてさらに強くなったのだ。

 僕の見立てではあるけど、超位竜を従えている竜魔導師ですらコルネリウスさんには苦戦を強いられると思う。それほどまでに強くなった。この間久しぶりに剣を交えて、めちゃくちゃ驚いたのは内緒だ。


 そして次に副官だけど、僕だ。作戦展開時に部隊を分けないといけないような場面に遭遇した時、別働隊を指揮する役目だ。他の幹部はそれぞれ自分の階級に見合った規模の部隊に必要に応じて指示を出すといった感じだ。

 

 最後に1番重要な作戦の流れだけど、これはシンプルにフェルザー侯爵領に乗り込む。予定では一万を超える戦力で乗り込むことになっているので、3000人ほどを実働部隊として動員し、残りの7000人は侯爵領を守る役目に回ってもらう。ちなみにこの3000人の内訳だけど、約半数が近衛師団だ。残りの半数は僕とコルネリウスさんの私兵がメインとなっている。


 これらの戦力と僕の伝手で集められそうな強力な助っ人で敵拠点に襲撃を仕掛け、一気に殲滅する。情報によると、まだ敵には動きはないそうだ。

 つまりこれがこの戦の趨勢を決すると言っても過言ではないだろう。気を引き締めていかないとね。


「陛下、この作戦でいかがでしょうか?」

「ふむ、現状出来得る最適な作戦のようだな。許可しよう。費用のことは気にするな。思う存分やってくれ」

「ありがとうございます」



 こうして陛下への作戦の報告を終えた僕は、とある場所に向かう。それは、



「久しぶりだね」

「おお、アレンか。久しぶりだな。森にやって来るとは、何かワレに用か?」

「うん、実は力を貸して欲しいんだ。今、竜魔導師の集団が国中を荒らしているのは知ってるよね?」

「なるほど、そのことか。魔大樹の森にも何人か来おったわ。まぁ、秒殺で蹴散らしてやったがの」

「ここにも来てたんだ。それにしても流石だね」

「当然じゃ。それよりも協力だったな。良かろう、貴様の頼みだ。無下にはせん」

「ありがとう! ルセルク!」


 こうして僕は幻獣ヴェルセルクの協力を取り付けることに成功した。ちなみにルセルクというのは僕が彼につけた名前だ。流石に種族名で呼び続けるのも変だしね。この間用事があって会いに行った時付けさせてもらった。思ったよりも喜んでもらえた。


 とにかく彼がいれば千人力だ。ひとまずは目的の一つを成し遂げた。あとはもう一箇所いく場所があるので、今からそこに向かう。




 僕が転移で向かった先、それは、


「あらアレン。よく来ましたわね!」

「ノルデ、お邪魔するね?」

「ええ、いつでもどうぞ。貴方にはこの場所を守ってもらった恩義がありますからね」

「それはここに来るたび、いつも言ってるけどお互い様だよ。君も僕らに何にも変え難いものをくれた。定期的にお話に来ることを君が望んでるのならそうしない理由はないよ」

「貴方は人間にしては本当に律儀なのですね。今まで数え切れないほど人間と出会ってきたけれど、貴方ほど他人との約束を遵守(じゅんしゅ)する人は初めてですわ」

「そうなの?」


 そんなに約束を破る人間が多いなんて……同族としてなんか恥ずかしいよ……


 僕がそんなことを考えていると、


「だから貴方は自分を誇っていいと思います。約束を守るというのは簡単なようである意味最も難しいことだもの」

「そっか、ありがとう」


 そこからも少し談笑して、本題に入った。要件は当然今回の事件への参戦要請だ。そして二つ返事でOKしてもらえた。


「ありがとう、ノルデ。本当に助かるよ」

「良いのですよ。困った時はお互い様。これからもいつでも頼ってくれて良いんですからね?」

「うん、それじゃあ困った時は遠慮なく頼らせてもらうよ」

「えぇ、そうなさってくださいな」



 これで幻獣2人が味方についてくれた。良い感じで風向きがこちらに来てる。ひとまず準備段階で出来ることは終わった。魔装砲や銃、防具など必要な物も全て揃えた。

 戦闘態勢は万全だ。





 ノルデとルセルクからの協力を取り付ける段取りまで全て終わらせたあと、僕は王宮に戻ってきていた。応接室に陛下とバルツァー公爵をはじめとする重鎮を全員呼んである。勿論、父上やツェーザル達もね。


 何をするためかは言うまでもない。今回の作戦と現状の戦力確認のためだ。

 応接室についたので、ノックする。するとクリストフさんが扉を開けてくれた。すでにみんな集まっている。これなら早速会議を始められる。


「皆様、お待たせいたしました」


 僕がそう言うと、陛下が代表して返事をしてくれた。


「構わぬ、おぬしが忙しいのは皆理解しておる」

「ご理解、感謝申し上げます」

「ではすまんが、先ほどの作戦を皆にも共有して欲しいのと、それとは別で今回の作戦のために動いていたようだが、それの報告も頼む」

「かしこまりました」


 僕はそう返事をして、早速幻獣達のことを話した。するとみんな目に見えて安心感に包まれているのがわかる。

 そりゃそうだよね。神位竜に匹敵するような強さの味方が2人一気に増えたんだもん。そりゃびっくりするだろうし、心強いと思うだろう。実際、僕も同じ気持ちだし。




 そんな感じで次々とみんなに情報を共有していき、あとは作戦決行を待つだけとなった。





 2日後、


 ついに今日は待ちに待った反攻作戦始動の日だ。今まで散々苦渋を舐めさせられたアイツらに、今度はこちらが一泡吹かせる番だ。


 今回は本当に重大な作戦なので、士気向上の為に陛下に演説を行ってもらうことにした。


「皆の者! よくぞ戦う決意をしてくれた! まずは国を代表し、そなたらの勇気に敬意と感謝の意を表する……」


 そんな感じで陛下が話し始め、終始今作戦に参加する団員達を激励した。皆驚きと同時に陛下から直接お言葉を賜ったことに感動している様子だ。


 そりゃそうだろうな、僕らは貴族だから陛下に会おうと思えば会えてしまう。だけど、彼らは一般市民よりかは上級国民に分類されるけど、陛下に気軽に会えるか、もしくは目にすることが可能かどうかと言えば、そうでもないというのが現実だ。だから素直に嬉しいだろうな。



 とまぁ、こんな感じで陛下の演説も問題なく終了し、あとはフェルザー侯爵領に向かうだけとなった。盛大なパレードと国民達の大歓声に見送られながら王都の門を抜けていく。



 ここからは地獄の戦場だ。今までよりもさらに厳しい戦いになるだろうから、気を引き締めないとね。

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