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反攻作戦

今回は次回のお話に合わせるため、すごく短めです。

 無事に六大聖人2人を倒した後、僕らは急ぎ王都を目指した。陛下にご報告をし、今後の動きの指示を仰がねばならない。



「とにかく犠牲をできるだけ少なくできてよかったな」


 グスタフが一安心だというような顔でそう言う。間違ってはいないけど、納得はできないよね。少なくとも何人かは師団員側に犠牲者が出てるし、あの男爵領や子爵領の人たちなんかは全員亡くなったわけだ。安心したくてもできない。


「……そうだね」


 そう返すので精一杯だった。





 それから長い時間をかけ、再び王都に戻ってきた。そしていつも通り初めに王宮に行って陛下にご報告をする。


「そうか。現地は全滅であったか……」

「はい……間に合いませんでした」

「それは仕方あるまい。手の届かぬ距離にいる者まで常に救えという方が無理な話だ」

「そうですね」


 僕と陛下は暗い面持ちでしばらく沈黙していた。けど不意に陛下が話さないといけないことがあったと言い出して、連絡事項を伝えてくれた。


 それは……




 敵の拠点が見つかったというものだ。各地に派遣しまくっていた密偵から数日前に届いた情報らしい。つまりこれって……


「つまりそれは……」

「ああ、今度はこちらが仕掛ける番だ」


 僕は先ほどまでの悲しい気持ちが嘘のように晴れていくのを感じた。亡くなった人々の仇を討ち、無念を晴らす。そう思うと自然とやる気がみなぎってきた。


「出発はいつ頃でしょうか?」

「悪いがすぐに発ってもらうことになるだろう。なるべく早く今回の件を収束させたい。国民は立て続けに起こる大事件に疲弊しきっている。自分たちが苦しいのは、国の失政のせいだなどとは思っておらんようだが、この理不尽な現状にかなり打ちのめされていると報告が上がっている」

「それは……まずいですね」

「あぁ、だからよろしく頼む」


 陛下にそこまで言われて動かない者などいないだろう。というかいれば、僕が貴族界にいられないように排除する。そんな馬鹿はこの国の貴族に、陛下の臣下に必要ないからね。まぁ大丈夫だとは思うけど。


「お任せください陛下。アレン・アンドレアス・ベッケラート・アフトクラトリア、この命に変えましてもその任務、達成してご覧に入れるとお約束いたします」

「ははは、これほどまでに信用できる約束はこれまでに交わしたことはないな」

「光栄の極みにございます」

「うむ、ではおぬしに全て任せよう。しっかりと達成してまいれ!」

「はは!」




 

 陛下との面会の後、僕は早速今回向かう敵の拠点についての情報を確認した。その内容を見て驚愕する。それは敵の拠点がフェルザー侯爵領の裏手の少し離れた場所にあるというものだったからだ。


 ある程度離れているので、占拠されているわけではないみたいだけど、これは……いかん! 非常にいかん! 由々しき事態だ! もし侯爵の領地が襲われでもしたら、大損害だ。特に麦の生産に影響が出てしまうから、美味しいビールや蒸留酒が飲めなく……じゃなくて、政治取り引きが頓挫してしまう! (誤解なきよう言っておくけど、決して自分が楽しみにしているビールや蒸留酒が飲めなくなるからなどと言った理由ではない。断じてない、と思う……多分)



 とまぁおふざけはこの辺にして、真剣な話、本当にやばいと思う。この領地が陥落すると本当に国内の麦の生産に打撃を受けてしまう。そうなってくるとお酒は当然だが、他にも小麦とかもあの領地が主流のため、パンやその他麦系統の植物を使う料理の物価は高騰するだろう。国民の生活に関わってくる。


 ただ、幸いなことにこれがシュナイダー伯爵やその他の食糧生産が盛んな地域にまで危険が及んでいない。もしこれがシュナイダー伯爵たちの領地にまで危険がありますとか言われたら本当に絶体絶命だった。


「取り敢えず、敵の拠点が早めに見つかったのは良かった。早急に叩き潰す計画を練らないとな」


 僕は王都の別邸の執務室で1人でそう呟く。


 今までは相手の戦力がわかっている状態で、しかも強いから一般の団員を連れて行っても犠牲を増やすだけだと考えてた。でも今回は敵の本拠地に乗り込む。

 どれだけ敵側に戦力があるか分からない。なので今回はかなり大きな部隊を編成しようかと思ってる。味方が多い方が助けられることもあるかもしれない。それにいよいよ人類の敵との最終決戦となるかもしれないんだ。

 心苦しいけど、お国のため、人類のために今回師団員のみんなには死ぬ覚悟で遠征に来てもらう。普段からそうしているとは思うけど、それでも今までは人間よりも上位の存在相手の時は後方支援に回ってもらっていた。


 だけど今回は全力で戦闘をしてもらう。装備も整いつつあるんだし、簡単に死ぬことはないだろう。僕も、みんなも腹を括るべきだよね。



 僕はその後、誰を副官に置くか、幹部はどんな編成で行くか、部隊はどんな編成で、何人で行くのかなどなどあらゆることを決定していった。あとはこの編成を幹部連中に確認してもらって、陛下に出撃許可をいただいたら今度はこちらから逆侵攻だ。




 

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