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国立師団員育成学園!

 その後、興奮するディルクを落ち着かせ、祝いと言ってまためでたいスイッチが入った父上と母上が安定のドカ食いならぬドカ飲みを始めと忙しかった。

 ちなみに今回両親が開けたのは、ラヴィーサと呼ばれるお酒で、地球でいうところのワインだ。かなりの年代物らしい。これを二本ほど開けていた。あとはウイスキーと同系統のアルヴェーヌと呼ばれる39%のお酒を800mlくらい、氷割で丸々一本飲み干していた。

 こんだけ飲んでも余裕そうなんだから笑えるよね……マジで底なしだ。

 そして食事もひと段落してきたところで、母上がとある話題を振ってきた。


「そういえばあなた、アレンの学園の話、そろそろではありません?」

「おお! そうだったな。アレンもあと二か月ほどで七歳だもんな。今年はいろいろ忙しすぎて年の初めのことをすっかり忘れていたからな。そうかそうか、もう日の月に入ったのか」


 そうそう、前から思ってたけど、この世界って一年の表現の仕方が似てるんだよね。一年は普通に365日だし、月は一回30日、もしくは31日、時間も24時間、四季もあり、それぞれ『影の月』『森の月』『日の月』『終の月』という風になっている。すごく似ていてはじめはびっくりした。もしかしたらセオーティタ様が関係……ないか。下界に直接干渉できないって言ってたもんね。じゃあなんでなんだろう? まあいいか。

 とりあえず気になるのが、


「母上、確かに学園のことは家庭教師の先生から伺っています。7歳になると平民、貴族、王族関係なく学園に通うことになると。ですが僕は通えるのですか?」

「ああ、それは大丈夫よ。学園は基本、学年は関係ないから、一年間で卒業可能だと判断されればその時点で自動的に次の学年からは単位自動取得性に切り替わるの。試験を受けなくても、授業を受けなくても満点で単位はとれるわ。だってそれらを学ぶ必要がないから卒業資格を与えられるんだもの」

「なるほど、つまり一年間頑張りさえすれば、あとは貴族の仕事に打ち込めるというわけですね。僕は領地持ちの貴族ではないので仕事自体はそんなに忙しくないでしょうけど」

「そうね。でもあなたの実力なら緊急招集もかかると思うし、常に訓練して備えておくことは大事よ」

「そうですね。ところで、学園は確か三種類あるのでしたよね?」

「ええそうね。国立官職員育成学園と国立師団員育成学園、そして国立一般職員育成学園ね」


 そう。この国は学園が三種類あり、簡単に説明すると、文官、武官、そして一般市民の仕事それらに着けるようにするための義務教育だ。この世界に義務教育があるなんて! 驚いたよ本当に。身分制度はきっちりしているのに教育の大切さは見失っていないみたいだ。やっぱり教育は大事なんだよな。

 実際この世界でも大国に発展している国ではほとんどが教育を重視している。ただ義務教育といってもその卒業制度のように実力主義な面はもちろんある。卒業はできるからといってさぼっていいというわけではない。実際、この三つの学園は寮生なのだが、成績の良し悪しで寮の性能や規模も変わってくる。結構ナマケモノには容赦ないのだ。


「では、僕の場合は国立師団員育成学園ということですか?」

「そうね。それ一択でしょうね。ほかにアレンがやりたいことがあるなら、その他の学園を選んでもいいんでしょうけど」

「そうだな。竜魔導師を目指すなら、師団員育成学園だろう」


 と、そこまで話していると


「兄さん、学園に行っちゃうの? 確か寮っていうと、お泊り制なんだよね?……」

「お兄様にずっと会えないのでしゅか?……」


 ってすごく寂しそうな顔で兄妹二人が見つめてくる……何この可愛い生き物たちは!? ディルクもいつになく弟モードだ! だめだ、二人が可愛すぎて急に気持ちがぐらついてきた……だがアレンよ、ダメなのだ。お前はこれからお国のためにより優秀にならねばならない! ここは泰然と構えておくべきだ。


「そうだよ、でも別にずっと会えなくなるわけじゃないよ? 長いお休みに入れば絶対家に帰ってくるし、その時は二人とも存分に遊んであげるし、いっぱい楽しいことをしよう? ね?」

「ほんとに帰ってきてくれる?」

「わしゅれたりしないでしゅか?」

「もちろんだよ。僕は二人のことがとっても大好きだから本当はおうちから通いたいけど、学園の規則としてそれはできないからね。だから約束だ! 僕は休みには絶対に帰ってくる」

「わかった。絶対だよ!」

「かならじゅ帰ってきてくだしゃい!」

「うん。もちろん!」


 こうして二人の納得も何とか得られた。可愛すぎるだろこの兄妹! 絶対大事にしよう。そして天使と悪魔、お前たちにはこの兄妹たちにも、父上や母上にも指一本触れさせない! こうしてアレンは新たに決意を固めるのであった。



 そしてアレンは、これからの人生が途方もなく厳しい道のりだとは知る由もない。だがアレンは決意を固めたのだ。どんな困難にも立ち向かうと、この世界を救い女神セオーティタとの約束を果たすと。

 そして、愛する家族を守り抜くと……


 アレンの冒険はまだまだ終わらない。むしろここからが始まりなのだ。

 

二話目遅くなって申し訳ありません。それと謁見の話の前半部分での国王陛下との初対面のシーン、陛下の名前を出していなかったのでまずいと思い、編集させていただきました。誠に申し訳ありません。

 ここで第一章完結です。次からは第二章の始まりです。

ここまで読んでくださった皆さん、そして新しく僕の小説に興味を持って読みに来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。この先もまだまだ書いていく予定ですのでお付き合いくださるととてもうれしいです! 面白い! と思ってくださった方はブックマーク、評価、レビュー等してくださればとてもうれしいです。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。

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