表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/168

報告と事後処理 その2

 会議室での報告をした日の翌日、再びお祭り騒ぎの戦勝祝いが開かれた。

 そしてそれに合わせて謁見が行われ、今回作戦に参加し、主な功績を挙げた者達が全員招集された。


 僕、コルネリウスさん、ボニファティウス、アデリナ、アーノルド、ベッティーナ、エデゥアルト、グスタフ、ツェーザル。これが今回公に謁見の間で表彰され、褒美を渡されるメンバーだ。


 ちなみに今回僕はあんまり戦ってないし、先日のようなものすごい報酬をもらうのはおかしいんじゃないかと言われるだろう。

 だけど、陛下やバルツァー卿は考え方が違ったみたいで、寧ろ積極的に僕を評価しようとしているみたいだ。

 その理由を聞いたらなんとなくだけど、理解はできた。

 その理由とは至って簡単なもので、師団とは国家の預かり、つまり分かりやすく言えば国王の所有物なのである。

 だからその師団に所属する者や物資、兵器などを軽微な損害だけで帰還させた僕の功績はかなり重大で慎重に評価されるべきらしい。

 

 今回の遠征で出た被害は、死者12名。魔装砲損壊、3門。物資の消耗、約2週間分。使いすぎで整備が必要又は破損した銃、79丁。


 だいたいこんな感じだ。死者は12名も出ているのだが、師団規模で動くのだからこれくらいで済んで良かったと考えられるらしい。

 まあ、こればっかりは戦争なので慣れるなんてことはするつもりはないが、理解はすることにした。

 

 なので、人的被害も、兵器や物資の損耗も少なく済んだので今回も大手柄ということらしい。

 コルネリウスさんも似たようなもののようだ。団長として、被害少なく部隊を指揮したとして評価されるようだ。

 他のみんなは言わずもがな、悪魔や天使の最上級個体をしっかりと討伐している。なので評価対象なのだ。

 今作戦に参加した師団員達はそれぞれ昇格などの措置で褒美とされるらしい。

 今回で一気に上級師団員になる者が激増しそうだな。



 さてさて、さらっと現状を再確認したがいよいよ謁見開始だ。僕らは既に謁見の間に呼ばれて待機している。

 いつもとは少し違った形式だけど、まあそこんとこは陛下方が決めることなのであまり気にしない。

 

 約束の時間になったので、周りの貴族たちもざわざわお喋りしていたのが嘘のように静まり返る。

 そして玉座付近の大扉が開かれ陛下と宰相のバルツァー卿が入場してくる。

 玉座に座るのを確認した後、僕らは一斉に跪き頭を垂れる。一瞬の間の後、陛下が口を開く。


「うむ、皆楽にして良い。それでは謁見を始める。まず初めに……」


 そんな感じで謁見が始まった。内容はバルツァー卿が一つ一つ説明していく。

 

 大まかに言っていくとこんな感じだ。

 まず僕の私兵のボニファティウスたち。彼らは全員叙爵された。みんな騎士爵位だ。

 自由な冒険者がいきなり貴族になれって言われてそれを引き受けるのか? と思われるかもしれないが、答えは人によるだ。

 そしてボニファティウスたちは最近本格的に僕の私兵として働こうと考えていたらしい。

 冒険者もいいけど、より安定した高収入が得られる僕の元にいる方がいいと考えていたそう。

 あとは僕が彼らを平民だからと見下さないところも仕えていたい理由らしい。

 と言うわけで叙爵を素直に引き受けたようだ。これでまた僕の周りに協力的な貴族が増えることとなった。

 うんうん、重畳重畳。


 次はエデゥアルト。彼は準男爵位だ。戦への貢献もそうだが、なによりも直接的に前回の天魔大戦を経験しているというのが大きい。

 なのでボニファティウスたちよりも少し重要な立場ということで準男爵位だ。


 次はグスタフやツェーザルだが、ツェーザルは子爵位に陞爵、付近の領地を拡大された。


 グスタフは役職が一つ増えた。それは兵務大臣代理補佐官だ。つまり、僕の代わりに師団内の軽犯罪を裁く役割のアレ。あれは元々違う人がやっていたんだけど、そこをグスタフにしてもらうということらしい。

 ワオっ、グスタフに裁かれる未来のちょいワル師団員たちよ、ご愁傷様……。

 そして旧帝国領土の受領権も獲得した。アンドレアス王国に近い男爵領2つ、子爵領1つ、伯爵領1つの大幅拡大だ。

 ちょうどベーレンドルフ公爵領が隣接というわけではないが帝国と近い場所に位置していて、帝都に近い同格の公爵領や侯爵領を得るよりも利点が多いという理由で、このエリアになった。結果的に僕やコルネリウスさんが得た最終領地面積より少し狭いが、概ね一緒ぐらいの広さに収まった。


 というわけで、続々と旧帝国領土がアンドレアス王国に侵食されていってる。

 まぁ、それに対してもう文句を言える帝国民は居ないんだけどさ……。

 だが、他国がそれに対して不満を持たないかというと別の話だ。当然の話だけどいくら大国とは言え、アンドレアス王国のこの決定に不満を持っている国はいくつか存在する。

 彼らも天使や悪魔たちと戦っていたのだ。自分達にもその土地を得る権利はある! と苦情書類を送りつけてきている国も既にちらほらいるらしい。それがまだ一国だけならすぐに睨みを効かせるだけで鎮められただろうが、数カ国から来てるのだから楽観視はできない。

 だがまあ、これについては陛下と宰相のバルツァー卿の領分だ。丸投げするべ、オイラ知らん。

 

 何か軍事問題に発展した時だけ、気を配っていればいいだろう。そんな感じで次々と褒美が授与されていった。



 ちなみに今回みんながもらう勲章だが、僕とコルネリウスさん以外は全員、聖金十字竜王勲章を一つずつ。と金剛一等勲章やら二等勲章やらをいくつか授与されていた。


 僕らは重要任務を達成したとは言え、悪魔や天使たちの強い個体を実際には倒していないので、金剛一等勲章と二等勲章、三等勲章を一つずつもらっただけに留まった。

 そして報酬金だね。



 そんな感じで着々と謁見が進み、終了となった。その後は戦勝祝いのパレードで主役として街中を回る仕事をした。

 民たちに僕たちは常にあなたたちと共にある、というのを示すための行事らしい。重要なことだ。



 さてさて、僕は早速自領に戻ってデニスに今後、領主代理としてラント領を収めるようにと伝えて引き継ぎをするのと同時に、帝都へ向かう準備もしなくてはならない。

 当然だけど今回は急ぎではないので、馬車で向かわねばならない。貴族が周辺の街を回って買い物などをしてお金を落とし、経済を回すためだね。

 なのでせっせと動かないといけない。


 というわけで早速行動だ。僕は転移でラント領の館に戻る。館の前に降り立ち、扉を開ける。

 するとすぐにデニスが出迎えに来た。


「お帰りになられたのですね! お仕事お疲れ様でございました」

「ありがとう、デニス。早速だけど色々と話したいことがある。執務室に来てくれるかな?」

「仰せのままに」


 

 こうして僕は久しぶりに我が家に帰ってきた。まあ帰ってきた目的はただの帰宅ではないのが残念だけどね。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ