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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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決着の時?

 僕は今、敵の大将2人と対峙している。いや、正確には僕が彼らの元に向かってるんだけど、2人はこちらを警戒しながらもずっと戦い続けているのだ。

 僕はそれを遠目から眺めている感じになっている。でももう近くまで来たので流石に一旦お互いに距離を取ったようだ。


「ふぅ、さっきも聞いたが、ヴェルノートやアリシアを殺ったのが貴様らしいな」

「あの2人がこんな少年2人に立て続けにやられたとか、本気で言ってるの?」

「だから余も苛立っているのであろうが。貴様の方も呑気なことは言っておれんようだが?」

「そのようね。まさかあの2人が竜魔導師とは言え、人間にやられるなんて……」


 大将2人はずっと話しているがそろそろ割り込ませてもらおう。


「まあ、竜魔導師は半分人間を辞めてるからね」


 僕がそう答えると、2人は言われてみれば確かにと言った顔をした。


「確かに人間であって人間ではない者に負けたのならばあやつらの矜持もある程度は守られるか」

「それで納得しとこうかしら」

「というわけで、さっそくだけど人類と悪魔及び天使との最終決着と行きますか」


 僕がそう言うと2人は同時に構えた。そして僕も含め魔力を3人同時に最大展開した。

 ちなみに既にルシファー達には出てきてもらっています。

 流石に神位竜5体同時顕現は警戒に値するようで、2人の顔に険しさが増した。

 そして極め付けはヴェルセルクの存在だ。神位竜5体に加え、幻獣まで勢揃いしているのだ。

 ヴェルセルク本人は後方で待機してくれているんだけど、いざとなった時は参戦してくれるだろう。

 そんなわけで実質、神位竜5体に幻獣1体と言う戦力だ。

 普通に考えれば敵2人に対しては過剰戦力だ。だけど、彼らは人類を何度も恐怖させてきた悪魔と天使の親玉だ。

 万全を期する方がいいに決まっている。


「やはり貴様は只者ではなかったか。報告を聞いた時点でおかしいとは思っていた。なんせ悪魔の上位存在とは竜達にも後れを取らぬどころか圧倒する者までいる。それなのにこのザマだ。あやつらを倒せた者はどこか異質なのだろうと思っていたが、なるほど。予想は違ってなかったと言うことだな」

「流石の私もこれには驚きね〜。戦いでこんなに緊張したのはいつぶりかしら?」


 大将達は各々勝手に納得してるけど、ぶっちゃけそんなことはどうでもいい。僕ら人類にとって彼らが排除すべき存在ということに変わりはない。故に手早く短期決戦で挑む。

 こう言う強い相手と長期戦をするのは馬鹿がすることだからね。


 さてと、始めるとしますか。


「それじゃあ早速だけど、行かせてもらうよ! ルシファー! 援護頼むよ!」

「承知した」

「よし、なら僕は……『万有引力』!」


 彼らの状況など知ったことかといきなり戦いを仕掛けていく。2人とも流石に警戒はしていたようで構を取ってから迎撃体制に入った。


「ほう、この膨大な魔力。凄まじいな。魔将帝がやられるわけだ。ならば! 『滅覇暴風(めっぱぼうふう)』!」

「いい加減戦い疲れてきたからさっさと終わらせるわよ! 『光滅陣(こうめつじん)』!」


 僕が放った重力系伝説級魔法に対して2人はそれぞれ風の帝王級と光の伝説級を撃ってきた。

 三つの魔法がちょうど僕ら3人の真ん中でぶつかり合い、衝撃波を生み出した。

 もう既にいくつかの戦場ではだいぶ戦況が動いていて、魔将帝や聖天将に関しては全員僕の配下や仲間に討たれている。いよいよ大詰めだなと思っていたその時、


 目の前を光の槍が通り過ぎていった。瞬間的に悪寒を覚えて後ろに飛び退いたのが功を奏し、貫かれることはなかったが、危ない危ない。


「よそ見しているなんて随分と余裕じゃない?」

「そんなことないさ。結構色々考えてて大変なんだよ」

「ふーん、まあどうでもいいけど。彼との戦いもさっさと終わらせたいし、そろそろお遊びは終わりに……」


 天使の親玉が発言している途中で、蒼色に光り輝く雷の収束砲が放たれた。

 インドラの仕業だ。


「ッ!?」


 彼女は避けたようだけど、僅かに食らったようで左腕が焼け焦げている。

 まあ既に修復が始まっているのだけどね。


「今のは油断したわ〜。ちょっと怒ったかも」

「僕ら人間は初めから怒ってるんでね。気を抜いてると、ほんとに死ぬよ?」

「そうね、ならお望み通り本気で相手してあげる!」

「余の力の前に平伏すがいい!」


 彼らがそう言った瞬間、今まで以上に魔力が膨れ上がった。そして明らかに災厄級か禁忌級に届くのではという魔力量の魔法の発動準備をしている。

 それが一段落すると、彼らは一気に僕に詰め寄ってきた。今は2人とも無意識のうちに休戦状態になっているんだろう。僕ら人類という不確定要素を早めに排除してから互いに決着をつけるつもりなのかもしれない。

 まあ、どのみち僕には関係ないことだ。ただ、2人同時に来られるのはめちゃくちゃヤバい……なんて考えていた次の瞬間、驚きの光景が目の前に広がる。


「ガハッ!?」

「グボッ!? ……な、何だ?」


 その言葉を最後に次の瞬間には彼らは闇と雷を混合させた魔法であろう漆黒の雷に呑み込まれて消えていった。


 僕は一瞬、何が起きたか理解できなかった。ただ、一つ分かるのは、さっきまで何も気配がしなかったはずの天使と悪魔の親玉がいた場所の後方から、まるで刃物で背中をなぞられているようなおぞましい殺気が吹き寄せてくることだ。

 僕は彼らに注意を向けるように視線を固定する。よく見ると、いつの間にか黒い装束に身を包んだ男? 女? かは分からないけどそんな人たちが数人宙を浮いている。

 顔が隠れていて性別が分からない。まあ、そんなことはどうでもいいか。今はそれよりも、彼らの正体を探らなければ。僕がそう思っていたまさにその時、


「ふむ、大魔帝や最高神と言ってもこの程度か……いや消耗していたのを考えると本来はもっと強いのだろう。だが、世界を終わらせるには不足だな。消耗してる状態なら我輩の不意打ちにも気づけぬか」


 とそんな訳のわからないことをぶつぶつと呟きはじめた。

 だが、とにかくやばい相手だというのは本能的に感じる。むしろこの世の全てを憎んでいるようなそんな憎悪と怨念に満ちたような瞳から、悪魔や天使達よりもヤバそうな雰囲気を纏っている。

 僕は意を決して、


「貴方達は何者だ?」


 と、質問をした。すると、


「おお、貴殿があの噂の竜魔導王とやらか。ふむふむ、聞いていた通りなかなかに強そうであるな。特に貴殿のすぐ近くに控えている黒帝竜に関しては我輩の竜と同質のものを感じるな」


 とか言い出した。そして今なんて言った? ルシファーと同質? それってつまり……


「貴方はもしかして竜魔導師で、契約している竜は神位竜で、その上古代竜ということかな?」

「ほう? 察しがいいな。なかなかに博識なようだ。その通りだ。我輩は太古の昔から存在する古代竜と契約している竜魔導師である」


 そっか、そうだよね。普通に考えて神位竜と契約を交わす存在が僕だけなわけないもんね。

 ただそれよりも、


「貴方自身のことは少しわかりました。なら次はどういった人たちなのか聞いても? 後ろの人たちも含めて」

「ふむ、良いだろう。我らは魔天教という組織だ。あまり詳しいことは言えないが、そうだな。取り敢えず、世界を今一度平和に戻すことを夢見ているとだけ言っておこう。この世には不要な人間が多すぎる。それらを一度間引こうか考えている」

「不要な人間が多い? 人間を間引く……だと?」


 我ながらものすごい低い声が出たものだと思った。かなり殺気を孕んだ言い方だったのだろう。

 目の前の男はさっきまで横向きでこちらに顔をむけているだけで話していたが、今は少しこちらに体を向けている。

 多少は警戒した、と言ったところか。

 そして男の言葉は続く。


「その通りだ。そして人間の中でも竜魔導師は特別だと考えている。なのでいずれ君ともまた会うこととなろう。ではな。さらばだ」

「ま、待て!」


 僕がそう叫んだ次の瞬間には閃光が辺り一面に広がり、それが収まった後にはもうさっきの男達は居なかった。

 恐らく転移魔法だろう。

 せっかく脅威が排除されたばかりだというのに、また脅威が顔を出した。

 一難去ってまた一難とはまさにこのことだね。


「はぁ、陛下に何と報告すればいいのやら……」


 常に民のことをお考えになるお優しい方だ。今回もまたこの厄介な問題にお悩みになることだろうな。

 僕がしっかりしてお支えしないと。そう考えて気持ちを一旦切り替えた後、すぐに後方の本陣に戻ったのだった。



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