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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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決戦 その2

遅くなりました。なんと投稿できて良かった。本日もよろしくお願いします!

 儂は今、大恩ある主人への忠義を示しているところだ。

 目の前にいる風と闇を司る恐るべき大悪魔と対峙することでな。だがそれよりも、


(強いな……しかしあの時の魔将帝と違って此度の魔将帝は疲弊しておる。故に突破口はあるだろう)


 儂は隣に並ぶ若い竜魔導師をチラリと見ながらそう思う。彼女はアデリナ。ラント公爵閣下に私兵として仕えている内の1人の金剛級冒険者だ。

 今の若い冒険者はとても優秀だなと思う。何故なら上位竜と契約した者ですら冒険者の頂点に立ち、こうして人類の脅威と戦えているのだから。

 儂が若い時は超位竜ぐらいの竜と契約しないと金剛級冒険者になどなれなかった。

 何故か。それは竜魔導師の戦い方というのはなかなか研究できるものではないというのが理由として挙げられる。

 何せその竜魔導師本人達の絶対数が少なすぎるからだ。

 だが数百年ほど前からようやく竜魔導師の数も充実してきた。そこで研究機関がようやく彼らに聞き込み調査などを行えるようになり、彼らが戦いで不便に感じていること、こうできればいいのにと思っていることなどを詳細に調べていった結果、この間の戦いで使ったような魔力の質を落とさないようにする戦闘方法などが確立されていった。


 故に昔は下位の竜ではあまり上に行けない時代だったのだ。強くなる方法があまり確立していなかったので、独学で学ぶしかなかった。運良く効率のいい戦い方を見つけられ、それが理由で成長して金剛級にまで至った下位の竜魔導師達もいるにはいる。

 しかしながらそれは少数派だ。これらが原因で基本的に昔は竜魔導師達でも上に行くことは難しかった。

 それが今はどうだ? 自分よりも下の位階の竜と契約した者と共に悪魔に立ち向かっている。

 単純に技術の進歩は素晴らしいと思う。


 だが儂とて昔の人間ではあるが、金剛級にまで至った実績がある。若い世代に格好悪いところは見せられん。

 それにこの戦場には閣下もおられる上に自分たちで戦うと啖呵を切って来たのだ。失敗は許されない。


 超位竜に認められた竜魔導師としての矜持(きょうじ)を持って、彼奴めを打ち果たしてみせようではないか!


 そう思い、アデリナに目で合図を送ると、アデリナは一気に前に出た。

 風の強化魔法を下半身に纏い、特殊な鋼材で造られた片手直剣に炎を纏いながら突進していく。

 儂はそれを援護するために、目の前の魔将帝・暴食のゼローグと名乗った男に熱線砲(ねっせんほう)の魔法を放った。

 ちなみにこれは閣下にコツを教えてもらった。

 威力は申し分無し。

 

 そしてそのまま儂とアデリナの魔法はゼローグの元へと向かっていった。


「貴様らもなかなかやる竜魔導師の様だな。そこに顕現している竜の位階も相当高い。女の方は竜はそこそこだが、実力に関しては申し分なしと言ったところか。さて、我も天使以外では久々の骨のありそうな相手だ。少々本気を出してやろう」



 そう言うと、奴は風の大鎌を魔法にて顕現させた。先程は闇と風の鎌だったが、今回は風のみのようだ。

 威力が下がるのではと思うかもしれんが、それは逆だと言うのを儂らは知っておる。


「では行くぞ! しっかり受け止めるか相殺せねば、死ぬぞ? 精々我を楽しませてくれたまえ」


 そう言った後、奴は風の鎌を振り抜いた。とてつもない轟音と突風、そして体を抉り取られるような激しい痛みを伴いながらこちらに向かってくる。

 儂らはすぐに対処した。


「『怒炎(どえん)侵略(しんりゃく)』!」

「『炎竜(えんりゅう)咆哮(ほうこう)』!」


 儂は灼熱の熱波を、アデリナは単純に炎の放射をする魔法を。ただ、アデリナの魔法が他と違うのは彼女の竜、業炎竜もその魔法に合わせるように火を吐いていることか。

 あれは強いぞ間違いなく。


 実際、魔将帝の魔法は霧散している。相殺成功だ。


「ほう、単体属性特化で極限まで威力を上げる斬撃魔法を、易々とではないようだが相殺するか」


 今彼が言ったように、儂らは魔将帝の攻撃を相殺した。しかしかなりの魔力を消耗してだ。

 何故それほどまでに消耗するのか、それはあやつがつい数分前に使っていた闇と風の混合魔法の鎌。

 あれと違って風属性だけの魔法を放って来たからだ。どういうことかと言うと、混合魔法はいろんな属性に対処できる利点の代わりに、とある属性にもう一つの属性を合わせるための魔力制御をしなくてはならない。

 故に魔力消費が激しいために、自分にとって不利な属性魔法攻撃が来たり、何かしら特殊な攻撃に対処したり、相手が自分にとって不利な属性を隠し持っていないかを探るために使う。

 なので、それ以外の場面では基本的に単体属性で攻撃した方が魔力も安上がりで余計な部分に魔力制御の意識を割かれないので、結果的に操れる魔力量も上がり、凄い威力や攻撃力を誇る魔法となる。

 と言うわけで、儂らは少し消耗してしまったと言うわけだ。


「儂らも随分と消耗して来た。ここらで決着と行こうぞ!」

「エデゥアルトさんの言うとおりですね。私も結構魔力使ってしまっているので、そろそろ終わりにしたいです」

「その意見には我も賛成だ。次で決める!」


 儂とアデリナは一瞬で緊張が増した。このような化け物が本気で勝負を決めにくると言うのだ。

 並大抵の相殺や防御では薄っぺらい紙程度にしか障害物とならんだろう。

 今の儂にできる最高最強の技で応戦してくれる! それはアデリナも同じ考えだったようで、彼女からものすごい魔力の高まりが感知出来た。


 準備できた儂らを見て魔将帝は、


「来い!」


 と言って来たので儂らは一斉に動き出した。

 だが先に動き出したのは魔将帝側だったようで、


「我らの邪魔ばかりする虫ケラどもが! 塵となって消え失せるがいい! 『終焉(しゅうえん)幕開(まくあ)け』!」


 膨大な魔力を内包した闇が儂らに向かってくる。大地、木々、大岩、そして光までも、全てを呑み込み押しつぶす闇が迫ってくる。

 まさに終焉が始まっている光景だ。その恐怖に争いながら、儂はとある魔法を発動させる。これは儂の2体の竜との連携魔法だ。


 まずは極限まで温度を下げた氷の円球を作る。これには儂の冰凍竜(ひょうとうりゅう)にも協力してもらう。

 そしてそこに今度は極限まで温度を上げた炎の塊を氷の円球に入れる。

 原理は何故かわからんが、こうすることによって以前に大爆発が起きたのじゃ。

 

「くらうがいい! 『冰炎爆滅覇(ひょうえんばくめつは)』!」

「私からも贈り物よ! 『火炎竜巻(かえんりゅうかん)』!」


 ものすごい熱量の炎の竜巻をアデリナは繰り出した。儂のもそうだが、魔力換算すると、恐らく災厄級に及ぶだろう。

 この世のあらゆる森羅万象に破滅的な被害をもたらすには十分すぎる威力だ。


 そして儂らの魔法と、魔将帝の魔法がぶつかる。目が眩むほどの閃光が辺り一面を染めたその直後、耳をつん裂くような轟音と共に爆風が撒き散らされた。儂らは爆発の直前に身体強化を使い、距離を取り、帝王級結界を張って待機していたのでだいぶ楽だ。

 だが魔将帝はもう既に限界だったようで、今も奴の魔法は打ち消され、儂らの魔法を防ぐのに精一杯といった状況になっている。


 そしてついにそのギリギリ保っていた生命線が切れてしまった。儂らが放った魔法が魔将帝を呑み込み、消し去った……やはり彼は消耗していたようだ。

 もしそうでなくて、全開の状態であの魔法を放たれたらと思うだけで背筋が凍りそうになる。


「終わったの」

「ええ、過酷な戦いでした」


 儂らは揃って足取り危うくなりながら本陣へ報告の為戻るのであった。


(これであの時の御恩の少しくらいは閣下にお返しできたであろうか?) 


 そう願わずにはいられないエデゥアルトであった。

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