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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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大師団現場到着

お待たせしました!

 僕たちは王都を出て真っ直ぐに現場に向かった。大行列の師団部隊で歩くこと十数日。

 僕たちはようやく現場らしき場所に着いた。"らしき"とついたのは、それがあまりにも酷い惨状だったからだ。正直ぱっと見で分からない。


 だが何故分かったのかと言うと、少し前から激しい戦闘音と魔力波動を感知していたからだ。

 

(これは……とんでもなく強大な相手だな)


 明らかに魔将帝や聖天将とは違った気配がしている。それもより上位の……。

 しばらく辺りを観察してみて、見つけた。


(この濃密な気配、あの2体が原因だな……とんでもないなこれは……)


「ワレはどうすればいい? 様子見か?」


 と、声をかけてきたのは幻獣ヴェルセルクだ。実は戦いに赴く時に誘っていたんだ。


「そうだね、一旦ここで待っててくれるかな? みんなと行動するから覇気を抑えてもらってる関係で多分疲れると思うけど、できれば暴れるのは少し待ってほしい」

「ふん、確かに覇気を抑えるのは久方ぶりだが、別にそんなのは構わん。要らぬ気遣いだぞ?」

「そう?」

「うむ、万事問題ない。ここで皆を守っておいてやる」

「おお、そりゃ頼もしいや。頼むね」


 ヴェルセルクが頷くのをみて、僕は早速私兵の竜魔導士の1人に視察に行ってもらった。

 だいぶ距離を置いたところで悪魔たちを観察しているからここからじゃ得られる情報が少ないんだよね。



 十数分後、


 私兵が戻ってきたのだが、その顔がこの世の終わりと絶望を見たといったような感じだった。

 気になって尋ねてみたところ、


「やはりアレン様が予想なさった通り、とんでもなく強い個体、おそらくは魔将帝と聖天将が戦っていました。ですが、情報とは少し違った点がありまして。以前聞いた時は双方ともに4体が残っているとのことでしたが、今はお互いに2体ずつとなっていました。それから……ここからが本題なのですが……」


 私兵がそこで言い淀んだ。


「どうしたの?」

「それが……その最高幹部たちよりも圧倒的に強いであろう個体を確認しました」

「やはり、か」


 僕は自分の嫌な予感が完璧に的中していたことに嫌気がさした。


「でも仕方ない。進むぞ」

「奴らと戦うので?……」

「ははは……仕方ないよね」


 僕がそう言うと、ここでようやくみんな後はないんだと理解したようだ。そう、後はないんだ。

 覚悟を決めるしかない。


「総員、戦闘態勢! いつ戦いになってもいいように!」


 僕たちの会話を聞いていたのだろう、コルネリウスさんが全隊に指示を出した。


「全く、次から次へと化け物どものお出ましですね閣下?」


 コルネリウスさんが冗談交じりに言ってくる。ほんと不思議な関係だよな〜。師団内においてはコルネリウスさんが上なのに、貴族としては僕が格上だから、必然的にコルネリウスさんが謙った言葉を使わなきゃいけない。

 団長が副団長に敬語を使っている光景って歪すぎるよな。


「そうですね。だけど戦わないという方針はあり得ないです。でなければ人類滅亡ですから」

「ですね」


 そう言葉を交わすと、僕らは気を引き締めて前進するのだった。







 十数分後、

 現場に到着した。いや、正確には現場手前の広場になっている場所だ。

 なんでこんな場所で止まったかというと、おそらく僕らの存在は彼らにすでにバレている。実際すでに何体かの下級個体の天使や悪魔が突撃してきている。


 だが僕らにはやるべきことがある。

 それは、


「魔装砲の準備、急げ!」


 僕は声を荒げながら指示を出していく。コルネリウスさんも隊列の編成で大忙しだ。


「いいかい! ここが第一の防衛線だ! ここからさらに精鋭を数千人編成し、直接現場に突撃する! 君たちの任務は僕らが現場に向かっている間に邪魔しにくるであろう敵の下級個体の排除だ! いいね!?」

「「「はッ!!!」」」



 そうしてその後も下級個体がうじゃうじゃと突っ込んできて魔装砲の餌食となっていた。

 いや〜改めて自分で作ったものながらえげつない威力だ。



 そこから大体20分くらいかな? 時間が経ってから編成が終わり、僕、コルネリウスさん、グスタフ、ダミアン、カール、ツェーザル、エドゥアルト、私兵の竜魔導士何名か、そしてその他実力のある魔法師や魔法騎士をニ千名弱集め、早速現場へと向かった。


 そこでみたものはまさにこの世の終わりといった感じ。爆炎が燃え上がり、暴風が撒き散らされ、空は闇に包まれながらも一部空域は光が差し込み、空気は寒く、地面は熱で溶解している。



(なんだ? このまさに地獄絵図と言える光景は……いやそれどころか此処こそが地獄と言えそうだ)


 と、呑気にそんなことを考えていると、急に強烈な殺意を感じたので、僕は迷わず帝王級結界を張った。

 するとその数秒後に黒い稲妻がバシバシと恐ろしい音を奏でながら飛来した。

 まさに地獄に落ちるにふさわしい雷だ。


 そんなふうに考えていると、唐突に声をかけられた。


「貴様か? 我ら悪魔の行動の一切を邪魔するという愚物は」

「うーん、見たところ竜魔導士かしら? それに珍しいわね。幻獣まで出張ってきたの?」


 2人の巨大な、そう、巨大な天使と悪魔に話しかけられた。一際大きな魔力波動を感じるから彼らが親玉で間違いなさそうだ。

 それよりも、


「そうだけど何か?」


 僕がそう答えた瞬間、物凄い速さで闇と炎の魔力を纏いながら突っ込んでくる者がいた。

 僕はすぐに剣を抜き、雷の魔力と身体強化を纏いながら受け止めた。

 さっきの2人ではない。これは……


「魔将帝の生き残りか……」

「は! よくわかったじゃねえか! 俺らの仲間を関係ねえ部外者がバッタバッタ倒してくれやがってよ!」

「関係ない? おかしなことを言うね? 自分達の世界からわざわざ出てきて、人様の世界で自分勝手に暴れるだけの迷惑な存在たちが言っていいことではないと思うけど?」

「ふん! 知るかよ! 出られたから冥界から出てきただけだ! それに向こうの世界からは何故かこっちの様子が見えんだよ。そんでお前らが楽しそうに日々を過ごしてんのも見えてんだよ! だから何かしらこの世界とのつながりがあんだろうよ!」

「そっか、確かにそうかもね。でもそれなら人類や竜たちと共存する道もあったんじゃない? 調子に乗って悪さするからバチが当たるんだよ」


 俺の発言で怒りのギアがさらに上がったんだろう。だけど僕らからしたらコイツらを受け入れてやる義理も筋合いも理由もない。自分達の欲求を満たすことしか考えない連中なんて今後の害悪にしかならない。

 もちろん優しくて真っ当に人間と向き合ってくれる悪魔や天使が少数でもいるならまだしも、そんな奴らは皆無だ。

 みんな自分のことしか考えていない。


「やっぱり君たちをこの世界に迎え入れるのは無理があるようだね」

「は! なんで貴様ら人間風情に許可をもらわないといけねえんだ? 何様のつもりだ?」



 此処でようやく衝突が終わった。僕らは一旦距離を取る。そしてお互いを観察しながら、この魔将帝の質問に答える。


「何様も何もないよ。だってこれは僕1人の意見ではなく、全人類共通の意見なんだから。他の国々の地域でも人類と悪魔や天使たちとの戦争が起こっているのが動かぬ証拠でしょ?」

「ああ、そうかいそうかい。取り敢えず俺たちが自由に過ごすには人類は邪魔だってことはわかった。てことは人間に協力してる竜たちも同じ意見なのか?」


 彼が唐突に竜にも意見を聞きたそうなことを言うから驚いた。だが今此処に竜を顕現させている人はいない。

 なら、


「それは彼らに聞いてみるといいよ。みんな出てきてくれない?」


 そう言ってから僕はルシファーらを顕現させた。

 ツェーザルもグスタフもエドゥアルトも金剛級冒険者たちも顕現させた。


 一気に顕現した竜たちの威圧力に悪魔も天使も人間も一気に緊張感を高める。

 涼しい顔をしているのはさっきの巨大な個体の2名のみ。彼らは静観を先ほどから貫いている。


「さて、ルシファーたちに聞きたいことがあるんだけど……」

「我々が悪魔や天使たちをどう思っておるかだな」

「そうそう、ぶっちゃけそこんとこどうなの?」

「我は正直、共存できるのならばどちらでも良い。人間と悪魔や天使が共に生きようとな。だがそれはあくまで共に生きるのならばの話だ。我らも同じ世界に生きる生物の一種。故に自分の住んでいる世界を荒らされては、やはりいい気分はせんよ」

「全面的にルシファーに賛成ー」

「私も〜」

「俺も〜」

「僕も〜」


 ルシファーの次はラー、ブイ、インドラ、ポセイドンの順番に答えてくれた。結論無駄に自分達の世界を荒らす存在は受け入れる気はないと言うことらしい。

 そしてそれは僕以外の竜魔導士の契約竜たちも同じ意見だったらしい。


 それを聞いて、


「ゼデルゲート様、奴らこのように申しておりますが?」

「ふん、全く。どこまでも余たちとは相いれぬと言うわけだな……嘆かわしい」

「私としても今のを聞いちゃったら、どうしようもないなって思っちゃう」


 ゼデルゲートと呼ばれた大男に次いで喋ったでかい体躯の天使がそう言う。


「つまりは、やっぱり戦って決着をつけるしかないと言うわけだね」

「ふん」

「そう言うことね〜」


 僕が言った言葉に対して、親玉であろう天使と悪魔が口数少なく答える。

 どうやら本格的な大戦争を覚悟しないといけないな。

 犠牲も当然のように出るだろう。だがそれがなるべく少なくなるよう、願うしかない。

 

 こう言う時父上がいてくれたらな〜と思う。だけどそうも言ってられない。なんせ、父上は今回不参加。

 理由は簡単。王都での最終兵器として待機しているからだ。


 つまり僕たちだけでなんとかしないといけない。


(これは……非常に厳しい展開だな〜……)


 気が遠くなるような思いでそんなことを考えたのだった。

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