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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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殺戮の権化VS光の象徴VS背水の陣の人類 その1

これからかなり忙しくなるのでもしかしたらより更新が不定期になるかもしれません。大変申し訳ございませんが、ご理解の程よろしくお願いいたします。


 悪魔と天使が激突してから早数日が立った。その周囲はもはや元の面影は一切残っていない荒野となり果てた。

 生命の生存権をこれでもかというほど冒涜している場所である。とてもこの世に存在していていいものではない。


 そして両陣営とも互いに一歩も譲らない激戦が繰り広げられていた。


「調子に乗ってんじゃねえぞ! 『煉獄爆炎陣(れんごくばくえんじん)』! ぜぇあぁ!!」

「それはこっちのセリフよ! そんな馬鹿みたいにふざけた威力の炎魔法放ちまくって! 私の綺麗な顔に傷が付いたらどうしてくれんのよ!」


 今まで必死に戦っていたヴォルドールがいきなり距離を置いて停止した。

 そして真顔で、


「ん? あ、それは心配いらねえと思う。お前らみたいな自己満足の塊野郎共の顔なんて気にしてるやつなんていねえから。自意識過剰ってやつだ」

「なんですって!? 私の美貌に誘惑されないやつなんていないから!」

「いや実際、目の前にいる俺が誘惑されてねえし。頭の中大丈夫か?」

「ふざけないでくれるかしら!? ああ、もういいわあなた取り敢えず黙っててちょうだい。もう殺すから」

「簡単にできねえことは口にするもんじゃねえぜ?」

「ああほんと徹頭徹尾、癪に触るクソ虫だこと!」


 聖天将・閃光のセレーヌは一気に飛び上がった。そして魔力を練り、魔法の発動準備を整える。

 彼女の使える最高最強の魔法で一撃で仕留めるために。自分の女性としての尊厳を、自信を極限までズタズタに踏み躙ったこの憎き男を肉塊にするために。


「2度とその虫唾の走る顔を見なくて済むようにしなくちゃね! 失せなさい! 『流星輝煌殲滅群(りゅうせいきこうせんめつぐん)』!」

「ハッ! いいねえ! さすが天使様だ! 周りにいるお仲間の被害は知ったこっちゃねえってか!」

「それもこれもあなたたち悪魔がさっさと消えてくれないからよ!」

「おっとそいつぁ悪かったな〜こっちだって簡単に死んでやるわけにゃいかねぇんだわ! さーてと、覚悟しろよ? 『奈落の底より出でし、黒炎槍』! 吹き飛びやがれ!」


 数秒後、


 ドッガーンッ!! ドゴゴゴゴッ!!


 幾つもの魔法がぶつかり合う轟音が鳴り響いた。そしてすぐ後には爆風が辺りを蹂躙した。

 とんでもない質量の光の弾丸の雨と炎と闇を複合させた槍の大群がぶつかり合ったのだ。

 当然タダでは済まない被害が出た。実際今ので下位悪魔や下天の者たちの大部分が絶命した。

 ものすごい破壊の爪痕を残すその戦場にて佇む影は二つ。


「はあ、はあ……馬鹿、な……こんなのあり得ない、わ」

「いゃ〜俺もギリギリだったぜ?」


 バタッ。


 閃光のセレーヌの敗北である。対して憤怒のヴォルドールのダメージは光の弾丸が左脇腹を掠めて少し抉ったくらい。

 だが悪魔と天使ではお馴染みの超再生能力のおかげで既に腹の修復が行われ始めている。


「いやーさっきの攻撃はマジでヒヤッとしたぜ……できるなら二度と食らいたくねえもんだな」


 

 そう言いながら、ヴォルドールは再び戦闘へと赴くためその場を後にする。




 所変わって、

 

「やれやれ、すばしっこい羽虫だな貴様は」

「お前の方こそ、俺の速さに着いてきて非常に癪に触る奴だな」


 ゼローグとルドエルは互いを罵り合う。そしておしゃべりは終わりだと言わんばかりに、


「貴様ら天使共は正義正義とうるさいが、そもそもそれは"お前たちに都合のいい価値観"の吐き違いではないのか? どうも我には貴様らが確固たる信念のもと、確固たる正しき理由のもと動いているようには見えないがな」

「はッ! そういう正論じみたことはお前ら悪魔にだけは言われたくない。正義とやらはなんぞやと言ったことを考えたこともないくせに」

「何故そう思う?」

「当たり前だろ? お前らがやってることといえば破壊と本能満たすことだけ。そんなお前たちに……」

「そこだ」


 ゼローグはルドエルの話を遮って自論を展開していく。


「そもそも我らの行動や考え方を貴様らがいつ知り得たというのだ? ずっと天界にいたであろうに。所詮貴様らが見ているものなんて悪魔の行動原理の中ではほんの氷山の一角でしかない。それで知った気になって馬鹿みたいに攻めてくる。そこのどこに正義とやらが存在する? 我らからすれば至極下らん戯言にしか聞こえんな」

「何だと?」

「下らんと言っておるのだ。愚か者どもめ。それこそ人間どもの方がよっぽど貴様らよりまともであろうよ」

「あんな争いばかりしか頭に無い馬鹿どもと一緒にするんじゃない!」

「貴様らも戦うことしか頭に無いであろうよ。人のことを言えんぞ? そういう発言の一つ一つからでも貴様らがどれほど考え無しなのか理解できるというものだ」


 ゼローグがそこまで言った途端、ゼローグに向かって今までよりもさらに数段速くなった雷撃が飛んできた。

 

「もういい、貴様は黙れ」

「ふん。ろくに言い返せもせんで実力行使か……愚かな」

「『蒼雷疾風刃(そうらいしっぷうじん)』!」

「『螺旋暗刃(らせんあんじん)(みだ)()ち』!」


 ルドエルは高速で雷を放つ攻撃。ちなみに全力である。そしてゼローグもまた全力で迎撃する。

 使用するは闇の刃を風魔法を上乗せし、螺旋回転を加え、前方に放ちまくるというもの。


 どちらも手数を意識した最大級の魔法である。そして魔法がぶつかり合い、とんでもない轟音の直後に煙の向こうで見える影はひとつだけ。


「全く、一つの価値観に凝り固まった者ほど見ていて冷めるものは無い。つまらん男であったな、蒼雷のルドエルよ。だが貴様の実力については、一級品。故にその力に敬意を表し、最強の技で応戦した。光栄に思って天に戻るが良い」


 

 こうして二つの戦場での戦いが一段落した。

 ゼローグはその後一言も話さず、静かにその場を後にした。






 アンドレアス王国・王都。

 その王城の巨大な広場にて、現在王都の師団員とその近辺ですぐに王都に来れる貴族領の師団員たちが勢揃いして並んでいる。その他の王都より遠い貴族領では告知が届き、部隊を編成せよとの命令で只今絶賛師団員部隊編成の真っ最中だ。

 

 そして王都の王城にて整列している一万を超える大部隊の前には彼らが忠誠を誓う存在、即ち国王その人が立っていた。


 少し高く作られた台の上でアンドレアス王は演説をする。そして師団員たちの指揮を極限まで上げていく。


「……故に、奴らはこの世に害しかもたらさん! 人類や他の生命の存在を脅かす者たちだ! これを見て見ぬ振りをするわけにはいかん! 命とはどんな富や名声よりも尊く、貴重な宝だ! そして、貴殿らはその最も価値ある宝を守るために戦うのだ! そして勘違いするでない! ここで言う命とは全ての命だ。つまり貴殿らの命も価値ある宝に含まれる! だからむやみに死ぬな! 上官にも危険な任務はさせないように命令してある! 死にそうになれば一度引いて立て直せ! 自分が戦えそうな相手を見極めて戦うのだ! そして生きてまたこのアンドレアス王国という母なる大地を踏みしめに戻ってこい! 再び余に貴殿らの元気な姿を見せに戻ってこい! これはどんな状況であろうと絶対に守られるべき命令である! 良いな!? 貴殿らの名誉ある健闘と生還を心より祈っておる!」


 アンドレアス王の演説が終わった途端、


 ウォォォォォーーーーーーーッッッ!!!


 怒号のような歓声が鳴り響いた。まるで声だけで地鳴りが起こっているようだ。どうやらアンドレアス王の言葉の一つ一つが彼らの心に響き、指揮を向上させるのに成功したようだ。だが、アンドレアス王は分かっている。これが決死の作戦であることは。おそらく何百、何千もの命が失われるであろうことを。それでも本心では犠牲を少なくしたい。だから戦闘員にかける言葉らしからぬ、帰ってこいと言う言葉で締めくくった。


「では、アーベントロート団長、ラント副団長、あとは頼んだぞ?」

「お任せを!」

「必ずや任務を成し遂げて戻ってまいります!」

「うむ」


 

 そしてコルネリウス・アーベントロートは兵士たちに向き直ると、


「皆のもの、出撃だ!」


 ウォォォォォーーーーーーーッッッ!!!



 その後、一糸乱れぬ行進で突き進むアンドレアス王国師団員達を王都民は盛大な拍手と共に送り出したのだった。

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