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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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刻一刻と近づく雌雄を決する時

遅くなりました!

本日もよろしくお願いします!

 僕たちはアルテンブルク領の旅行を満喫した。露店を廻り、観光スポットとして有名な神秘の湖(ちなみにノルデがいた湖のこと)などなど、割といろんなことを楽しめた。

 妻たちもご満悦のようだ。さっきから両腕にそれぞれくっついて離れようとしない。

 恥ずかしさはあるものの、だいぶ慣れたし、それに彼女たちの花が咲いたような笑顔を見ていると、むしろずっと腕を絡めていたいと言う気持ちになる。


「それじゃあ、帰ろうか」

「はい!」

「ええ、そうしましょ」


 僕らは笑顔で馬車に乗り込み、帰路に着いた。






 一方、同刻。とある荒野が広がる無人の土地にて、


「ようやくてめえらとの決着の時だな」

「ふん、臆病なクソ虫達がようやく決心をつけてのこのこと顔を出したかと思えば、何を世迷言を。決着は我ら天使族に軍配が上がるに決まっている」


 憤怒のヴォルドールの言葉に対して蒼雷のルドエルが返答する。この場ではお互い最強同士。

 話を進める権限的なものは暗黙の了解で彼らに決まっていた。

 

「臆病? はて? 何言ってんだこいつら?」

「ふん。大方、我らがこやつらに怖気付いたりするといった、万に一つもありはしない希望的観測を言っているまで。いつもいつも数を減らされるのが先であるあやつらは自分達が我々悪魔より優れていると思い込みたいのであろうよ」

「はは、ちげえねえ!」


 悪魔側の散々な言い分に流石の天使達も眉を顰める。 


「今となっては同人数だが?」

「それはあれよ、なんつったっけ? ほら、人間の……あ、そうだ! 竜魔導師だ。そいつらが数減らしを手伝ってくれてるだけだろ?」

「何を戯けたことを……」

「事実だろうがよ? 実際、天使側の最高幹部であるお前らは一度もその竜魔導師と遭遇してないだろうがよ。でも俺らは何度も当たってんだよ。それで消耗した俺らに、人数少ないはずの俺らにお前らはどっこいどっこいに持って来させられてんだよ」

「おのれ……言わせておけば!」


 ルドエルはだんだん額に青筋を浮かべ始めるが、今ヴォルドールが言ったことは全て事実だ。

 要するに、そういうことである。


「そんなに我らの力が不足していると言うのなら、見せてやるわ!」

「おう、楽しみにしてるぜ!」

「油断するなよ? ヴォルドール」

「当たり前だろ」


 ゼローグ達が会話し終えたタイミングで、


「では、いざ尋常に!」

「かかってきやがれ!


 こうして悪魔と天使は再び激突するのだった。ちなみに今回の戦いは大戦争規模である。

 魔将帝4名対聖天将4名、及びその配下と部隊数百名規模。普通にそこらの生態系が軒並み壊されるレベルの戦いである。


「『(てん)(らい)(りゅう)』!」

「『漆黒抉(しっこくえぐ)()き』!」


 ルドエルが生み出した雷の竜がヴォルドール達を襲わんと向かっていく。

 それに対してゼローグは何処からともなく漆黒の大鎌を取り出し、魔法効果を上乗せして雷の竜を少し均衡しながらも相殺しきった。


「ほう、今のを普通に相殺してのけるか」

「大した強さでもない魔法なのだ。当たり前であろう」

「ほざけ!」


 ドカーンッ!


 ゼローグとルドエルは衝突した。激しい稲妻が辺りに拡散され、ゼローグは暴風を辺りに撒き散らしている。

 

「『獄炎弾(ごくえんだん)』!」

「『聖光槍(せいこうそう)』!」


 ヴォルドールの炎の巨大な砲弾とセレーヌの光の槍のぶつかり合いだ。

 ものすごい衝撃波で、周囲一帯を一瞬で更地に変えた。




「さあ、久しぶりに暴れますかね!」

「やれるものならやってみればいい」

「いやいや、姉さんや。扱う属性に比例して、声まで冷たいのかい?」

「無駄口ばかり叩くゴミはこれだから嫌いだ」


 そしてアルマーダとスエラも激突。こっちはお互い武闘派のようで、スエラも氷の強化魔法と身体強化。

 アルマーダは身体強化と雷の強化魔法。それぞれを纏った拳で殴り合う。




「俺と対峙するとは運のない女だ」

「自分を誇示する男は嫌われるよ?」

「ふん、知ったことではない」

「そうね、あなた女に興味なさそうだもん」


 こちらも口数少なく、いきなり戦闘が始まった。

 アリエルと、セレジアである。


「『絡みつく悪水』!」

「『暴熱波(ぼうねっぱ)』!」


 こうして、魔将帝と聖天将が同数ずつ、しかもお互い全戦力で戦い始めた。



 時間が経つにつれて抉れていく地面、吹き付ける寒波、地面から立ち上る熱気、大量に落雷に打たれたのであろう木々が焦げ尽きている。

 何もかもが失われた大地と化した。


 そして当然、こんなことになっていれば人類は黙ってはいない。





 僕は帰りの馬車の中でウトウトしていた。妻達はみんな疲れ切って寝ている。

 久しぶりの私的な外出ではしゃぎすぎたんだろうな。女の子はお出かけのことになると体力が無限化するけど、その分後の反動が怖いだろうな。

 遊んでいる時は無尽蔵な体力で遊び尽くすけど、その後一気に疲れがきそうだ。


 そんな分析を勝手にしていた時、馬車が急に止まった。何事かと思って外に耳を傾ける。

 ここですぐに窓から身を乗り出さないのは、魔力を使わず、身体強化もしていない状態の不意打ちでなら、いくら僕でも暗殺されたりする可能性はあるからだ。

 人から恨まれるようなことはした覚えがないけど、一応念のためだって、デニスにその辺はしっかりと叩き込まれている。

 

 そうして外の様子を伺っていると、御者がノックをしてきたのでドアを開ける許可を出す。


「閣下、お休みのところ失礼致します。王都から早馬で伝令です。こちらがその書類にございます」

「閣下、伝令の者です。そちらの書類は特級召喚令状です。ご確認のほどよろしくお願いいたします」


 そう言うと、伝令の者は失礼しますとだけ言ってから去っていった。

 おそらく僕にまで届けきったと言う報告をしなければいけないのだろう。


 僕は封の中を見てみる。そして天を仰ぎ見た。


「あの馬鹿ども……冗談もほどほどにしてくれ。これは……ヴェルセルクにも、ノルデにも協力を仰がないといけないかもね……はあ、平和だと思ったら即これだよ」


僕は思わず、ベラベラと独り言を喋ってしまっていた。そしてふと、妻達は寝ていたと思い出す。

 馬車の中を確認すると、エレオノーレ達は大丈夫そうだった。

 とにかく、現状は王都にまで急がないとな。幸い、王都まで後半日の距離だ。

 御者に少し飛ばしてもらおう。

 そうすればさらに半分の時間で王都に着くはずだ。本当は転移で行ったほうがいいんだろうけど、エレオノーレとビアンカが今はいる。

 せっかく久しぶりに一緒に過ごせたんだ。もう少し一緒にいたい。それに、


(護衛はいるとは言っても、僕が鍛えた私兵ではなくて、デニスが外部から雇って手配した純白級程度の冒険者だ。彼らより強い魔物や野盗に襲われたら冒険者だけでは妻達を守りきれないだろう)


 だからこそ、僕はこのまま転移を使わずに王都に戻る。と言うかそもそも、本来ならこれが真っ当な手段の移動だしね。気にはなるし、人類を守る役割を持つ者として不適切な行動かもしれないけど、僕にとっては妻達の安全が最優先だ。



 

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