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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
108/168

ある者は激情に駆られ、ある者は微笑む

少し短めです

 ゼローグは”あのお方”のいる場所に今回の件の報告に向かっていた。


「全く……竜魔導師め、やってくれおる。あのお方はヴェルノートを大層気に入っておられた。今回の件を知れば、我々に怒りを向けることはなくとも、近場の山脈か河川か、どちらかが地図から消えそうであるな」


 ここで出てくるのが山や川だけならよかったのだが、山”脈”だ。河”川”だ。

 つまり連なった山すべてが消えるか、その辺にある一本線の川ではなく、上流から下流までの大半が消えそうである。このあたりには既に悪魔しかおらんからいいが、他の生物がいればおそらく水がなくなり生きることができなくなるであろうな。


 我はそんな考えても栓無き事を考え、現実逃避をしていた。すると、目的地に着いた。

 いよいよだ。泰然とした態度で臨まねばな。あのお方はくよくよなよなよした者が心底嫌いであられるからな。


 コンコンッ


「任務のご報告に上がりました。”大魔帝ゼデルゲート様”」

「む? おお、ゼローグか。良いぞ、入れ」

「失礼します」


 我は元帝国と呼ばれる人間どもの中で皇帝という役職に就いていた人物がいたとされる謁見の間という部屋に入った。

 ここをゼデルゲート様がたいそう気に入られたのだ。


「して、ゼローグよ。余に報告したいことがあるとな?」

「おっしゃる通りにございます、ゼデルゲート様。この件のご報告は辛いものではありますが、恐れながら申し上げます。つい先日、魔将帝・傲慢のヴェルノートが戦死いたしました」

「何?」


 周囲の魔力濃度が一気に濃くなった。これはこの方が不機嫌になった証拠だ。


「アリシアやべネルタに続いてヴェルノートもだと? 何の冗談だ? 我ら最強種族にそこまであらがえる猛者がいるというのか?」


 我は流石だと思った。普通に聞いていれば誰もがいい気はしないであろうこれだけの訃報の数々を聞きながらもゼデルゲート様は一切取り乱すことはないのだから。

 機嫌は悪くなっているのがまる分かりだが、それを罪のない我々に向けないよう配慮してくださる器の大きさは流石の一言である。


「仰る通りにございます。人間の竜魔導師です」

「人間だと? 俄かには信じがたいが……」


 ゼデルゲート様は玉座と呼ばれる椅子のひじ掛けを手に力を入れ削り始めた。


「正直我々も戸惑っております。人間自体は塵芥(ちりあくた)同然です。しかしながら人間の中にいる竜魔導師と呼ばれる存在は厄介です」

「ああ、以前にもいたな。確か竜族と契約を交わした人間、だったか?」

「その通りでございます。そ奴らの一人が極めて危険でアリシア、およびヴェルノートはこの者に討たれた模様であります」

「まさか、たった一人の人間にここ数千年間人員交替が起こらなかった魔将帝を二人も討たれるとはな」

「いかがいたしますか。既にほかの魔将帝と話し合い、ある程度の方針は決めておりますが、最終決定は貴方様に行っていただくのが一番だと思い、こちらに伺った次第です」

「うむ、ではその方針を聞かせよ」



 そうして我は数分ほど説明をした。そして下された最終決定は……


「あい分かった。ではヴォルドールの方針で行こうではないか。尺ではあるが、羽虫どもが邪魔であるのは間違いない。そちらの様子も見ながら、折を見てそ奴のもとへ敵討ちに行ってまいれ」

「仰せのままに」




 こうして悪魔たちの方針は決まった。今はとりあえず天使たちが余計な真似をしないように様子を見て、余裕ができたときにその竜魔導師を打つという作戦だ。

 その方針が決まったと同時に、ゼローグは仲間のもとへ向かうため、再び闇の中へ姿を消した。









 一方、悪魔たちが方針を決めているのと同時刻、別の場所では純白の羽をはためかせ、白い装束に身を包んだ集団が何やら話していた。


「そう、報告ご苦労様」


 アシュリーナ天軍中隊長が報告を終了すると聖天将・閃光のセレーヌはそう返事をした。


「しっかしここ最近一気に情勢が動いているわね」

「確かにな。でもまさかあの傲慢のヴェルノートがやられるとは……七つの大罪の中でも怠惰のべネルタ、傲慢のヴェルノート、暴食のゼローグ、憤怒のヴォルドール。この四名が最も危険だと思っていたのだがな。怠惰を我々で撃てたのは僥倖だった。だが残る三人のうち二人を一気に討ってしまう人間がいるとはな」


 セレーヌの言葉にそう返したのは熾天のアリエルだ。


「とにかくこのことは”最高神様”にお伝えする必要がありそうね」

「ああ」


 方針が決まり、セレーヌが最高神と呼ばれる存在へ報告に向かう。


「私は最近天界でもお仕事が忙しかったから、あの方にお会いするのは100年ぶりくらいかしら?」


 そうして数分歩いて、とある部屋の前で立ち止まる。


 コンコンッ


「はーい。どうぞ~」


 大魔帝ゼデルゲートの時とは違って中からはものすごく間の抜けた声が聞こえてくる。


「失礼します」

「あら、声で何となくわかったけど、久しぶりねセレーヌ」

「はい、お久しぶりにございます。”最高神アヴェリーナ様”」

「あらあら、そんな堅苦しい挨拶は必要なくってよ?」

「いえ、貴方様は我ら天使族の長ですので」

「もう、昔から融通の利かない人なんだから」

「では、さっそくご報告したきことがございますので、お伝えしてもよろしいでしょうか?」

「ええ、お願いするわ」



 その後はセレーヌの説明が数分続いた。

 そしてアヴェリーナが出した結論は……


「じゃあ、勢いが無くなってる今のうちに悪魔たちを攻めればいいのではなくて?」

「そう、仰るのであれば我らはそれに従います」

「ええ、ではそうしてちょうだい」

「仰せのままに」



 悪魔とは全く異なる結論が出たのであった。これが幸いしてなのか、その後は人類への攻撃は頻度が劇的に減るのであった……

遂に、天使、悪魔両者の親玉登場です! 本日もありがとうございました。

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