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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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傲慢の力!

遅くなってごめんなさい! ようやく投稿で来ました~!

 真紅の揺らめきがあたりを埋め尽くす……

 それはまさに地獄であった……その渦中にたたずむ影が二つ……


「ハハハッ! いいねえ! おもしれえ! ここまで俺を楽しませる奴に出会えたのは久しぶりだぜ! 相性云々ってのはどうしようもねえが、最近は実力勝負ですら俺にまともに傷を負わせられる奴はいなかった! だがお前はそれができた。喜んでいいぜ? エデュアルト」

「ふんッ! 悪魔に褒められても嬉しくなどないわ! それに傷と言ってもたかがかすり傷程度ではないか! 嫌味にしか聞こえんわ!」

「いやいやそれは勘違いってもんだ爺さん。俺はマジで褒めてんだぜ?」

「ふんッ! どうだか!」


 そして再び激突する両者。エデュアルトは超高密度の氷の塊を生み出した。ヴェルノートは何をしているんだろうかと思いながらも手に爆炎を纏いながら突っ込む。この時にエデュアルトのことを大して気にも留めていなかったのは彼自身に”自分に相対している者は人間界では上位でも最上位悪魔である自分にとってはとるに足らない”という驕りがあったからだ。


 そしてそれは致命的なミスを生む。


「わしのとっておきの奥義で葬ってくれる! くたばれ! この害悪どもめが! 『氷帝(ひょうてい)逆鱗(げきりん)』!」

「なッ!? なんだこの魔力波動の強さは!?」


 この時になってようやく、ヴェルノートは自分がこの目の前の老人を舐め腐っていたことを思い知ることになる。

 実はエデュアルトの発動した魔法は災厄級の禁呪なのだが、その操っている魔力量は1.5倍だ。つまり5割ほど本来の魔力量を上回っている。

 それが意味する所は魔力濃度が落ち始めるタイミングも遅く、魔力強度が普段よりも強くなる。劇的に魔法の威力が強くなるわけではないが、その分とある恩恵を受けられる。それは……


「くッ! ならこれで! 『閻魔(えんま)咆哮(ほうこう)』!」


 ヴェルノートは同じ階級の真っ赤な炎の熱風を指向性を持たせて相手に放つ魔法を使ったが……


「なッ!? 俺の魔法が押され始めてるだと? てか……おいおい……いつまでその威力が続いてんだよ! 一切威力落ちねえって、魔力の持続時間おかしいだろ!」


 そしてついにヴェルノートの魔法はかき消された。


「くッ! 厄介な野郎だ!」


 ヴェルノートは帝王級結界を張り、対抗したのだが……


「ぐッ! まさか俺の腕を吹き飛ばしやがるとはな……」


 ようやくヴェルノートに本格的なダメージが入った瞬間であった。そして今のは当然だがエデュアルトの行った技法によるものだ。要は、魔力を込める量を増やし制御することで劇的に魔法の威力は上がらないが、魔法の威力の持続時間は飛躍的に伸びるという訳だ。

 だが、それは諸刃の剣ともいえる方法で……


「なんじゃ? おぬしこの技法を知らんのか? 魔将帝も質が落ちたのか?」

「ちげぇわ! 今考えればなるほどってなる方法だけどよ……それをまさかいくら竜魔導師とは言え人間がやるとは思わなかっただけだよ。普通に考えて今の魔力量はどんなに優秀な竜魔導師でも無理がある魔力量の増強具合だった。一度の魔法発動に込めて制御できる魔力量じゃねえ」

「なんじゃ、全てわかっておったのか」

「あたりめえだ。俺様を誰だと思ってやがる」

「ふん、バレたのなら仕方あるまいて。なに、簡単な話じゃ。この間たまたま王都に行く機会があっての、そこで掘り出しもんの魔法具を見つけただけじゃ。金に変換すれば金剛貨2、3枚はくだらない程の圧倒的性能のな。性能はずばり、魔力制御能力の飛躍的向上という物だ」

「はあ? 何だそのぶっ壊れ性能。そもそもなんでそんなふざけた性能を誇る物が普通に出回ってんだよ。お前ら人間は確か……”硬貨”だっけ? そんなんでいいものは高く売り買いするんだろ?」

「なんじゃ、貴様。えらく賢かったんじゃな。そうじゃ、その通りだ。だがいまだに魔力を上げて制御すればより高密度な魔法が放てるという情報は一般には出回っておらんでな」

「なんだそれ? 馬鹿じゃねえの? もっと強くなれるってのに」

「ふん、所詮、真実を追い求め努力できん者には到達できぬ知識の領域ということだ。さあ、お喋りはここまでだ。そろそろ決着をつけようぞ」 

「いいだろう! 腕を飛ばして、久しぶりに楽しませてくれた礼だ。なるべく苦しませず殺してやるよ!」



 そうしてその後もこの地では爆発と衝撃が続くこととなる……それはまさに天変地異そのものの如く……



 



 僕は平原をただひたすらに疾走していた。馬車に乗るよりも、馬に乗るよりも、自分で走った方が何倍も速い。

 今は王都の隣の領に向かって走っている最中なのだ。

 ん? 転移した方が早くないかって? それは間違っていない。でも肝心な空間情報が欠けているんだ。どういうことかっていうと、転移魔法は一度行った場所しか転移できない。そして僕は今回の領地に訪れたことはない。

 これで最後まで言わなくても理解してもらえるだろう。


 という訳なので、僕は身体強化魔法と雷強化魔法を重ね掛けしてこの反則的な身体能力で隣の領地に向かっている。


「目的地の場所が分からないだけでここまで移動に手こずるなんてなぁ」


 とにかく愚痴を言っても仕方がないのでこの一件が終わったら各地に視察旅行に行くのもありかもしれない。

 勿論この騒動が終わったらね。そりゃ近いうちに実行できれば悪魔たちが攻めてきた場合即座に対応できるだろうけど、向こうからしたらこちらの都合なんてどうでもいいだろうからね。

 待ってくれるわけがない。今までに何度か数年単位で侵攻が止んでいたのが奇跡と言えるんだ。そう何度も続くとは思えない。



 そんなことを考えながら走っていると、目的地らしき場所が見えてきた。既に目的の領地には入っているみたいで何度か町や村を見かけたけど、まだ王都側の村や町は襲われていないみたいだ。

 つまり領主の街のその向こう側がおそらく地獄と化しているのだろう……


「とにかく、領地すべてがダメになっているわけではなさそうでひとまず安心だ」


(いや、既に犠牲者が出ているだろうから、それを考えると安心なんてできないな)


 そんな風に思っていると、僕の耳に激しい戦闘音が聞こえてきた。


(これって……誰かが悪魔たちを足止めしているってこと!?)


 僕は走る足をより速く動かして加速していった。その先に見えてきたものは……



 まさに地獄の一言だった。前世でイメージ描写かなんかで地獄の様子を描いている物を見たことがあるけど、あんなのとは比べ物にならないほどの惨状。


 そして僕の目の前にはこの地を守ろうとしているのであろう一人の竜魔導師と、色欲のアリシアと同等の威圧感を放つ強力な悪魔。

 魔将帝だな。

 そして、その後ろには大量に倒れている悪魔たち。しかも驚くことに彼らから感じられる体から放出されている魔力波動は準魔将レベルだった。つまり……


(目の前のご老人、相当な手練れだな……)


「すみませんご老人! この地の援護に来たアレン・ベッケラート・ラント辺境伯です! 戦いながら出構いませんので端的に状況説明を!」


 いや、むしろ戦っている途中に気を散らせるほうが割と無慈悲なことをしている気もするが、ぱっと見だけではどうしてもわからない情報もあるのでできれば答えてもらいたいものだが……すると彼はまさかの帝王級結界をものすごい魔力量で前面に展開して僕の方に向き直ってきた。


(明らかに僕の私兵たちより強いよね)


「お初にお目にかかります。ラント閣下。わしはエデュアルト・アイブリンガーと申します。ご助力感謝いたします。それでさっそくご報告ですが……」


 その後軽く状況を説明してもらった。


「分かった、ありがとう。ではここからは助太刀させてもらうよ」

「お願いいたします。わしの攻撃では決定打を食らわせられんのです」

「仕方ない。相手は悪魔の最上級だ」


 そうやって作戦会議も報告も終え、悪魔と向き直った時にようやく黙っていた悪魔が口を開いた。


「よう、もしかしてあんたがアリシアをやったっつぅ竜魔導師さんかよ?」

「そうだね。確かに彼女は僕が倒したよ」

「そうかい、そうかい! てめぇがあいつをやりやがったんだな!」

「何を怒っているのさ。君たちだって散々人間やほかの生き物を踏みにじってきたくせに。いざ自分たちがやられる側になったら逆ギレするのかい?」

「そうだな! 確かに筋は通ってねえ話だな! だが俺たちからすれば関係ねえ。俺が仲良くしてたやつをやったんだ。だから倒す。それだけの話だ」

「なるほど。ならこちらも遠慮はいらないね」

「ふんッ! ほざいてろ! 俺は魔将帝・傲慢のヴェルノート。必ずてめえをぶっ倒してやる!」

「僕はアレン・ベッケラート・ラント辺境伯。君たち悪魔や天使。この世に害をもたらす存在を討伐するよう国王陛下より仰せつかっている者だ。全力で君のお相手を務めさせてもらうよ」

「おもしれえ! かかってきやがれ!」



 そして人類最強と悪魔最高峰の戦いが幕を開けた。

 

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