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まさかの貴族に転生、そして最強竜魔導王となる!  作者:
第四章 人類守護奮闘編
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特級召喚令状が来たということは……

今回はかなり短めです。次話でしっかりとしたボリュームの話にする予定です!

 父上と母上、それにディルクとアンナ。僕の家族たちが大集合したあの日から早くも2か月が過ぎようとしていた。


 今日も今日とて実務を頑張っていたのだが……


 タタタタッ! コンコンッ!


 ものすごい勢いで執務室に走ってきて、扉をノックしてくる者が一人。おそらくデニスだろう。必死に走ってきている感じなのに最小限の足音で、ドタドタと余計な音を立てない達人ぶりはデニスにしかできない芸当だろう。


「入っていいよ」

「失礼します!」

「うん。今日もお勤めご苦労様」

「ありがとうございます。早速ですがこれをご覧ください」

「うん。まさか……特級が来たのかい?」

「信じたくはありませんが、そのようです」


 何か起きたのは間違いない。いくら僕も有名な貴族になったとはいえ、辺境に領地を構える貴族にわざわざ特級召喚令状を出すなんてよほどの異常事態なんだろう。

 恐る恐る封を開ける。すると……


「なッ!?……まさか……。王都近辺の領地で大悪魔級と思われる敵を確認。さらに複数名の部下を連れてきている模様。さらに強力な悪魔も現れるかもしれないので至急王都に参上されたし! ってこれはかなりまずいでしょ……」

「なんということだ……」


 僕の読み上げる内容にデニスが絶句しながら膝から崩れ落ちた。何せ彼の家族は王都在住なのだ。王都にまで戦火が広がればまず彼らの家族は無事では済まないだろう。

 だけどそんなことさせてなるものか! 僕が絶対にデニスの家族も王国も守って見せる! せっかく手に入れた第二の人生、優遇された人生。存分に使わなきゃ損である。

 人に頼られるほどの力を得たのならそれを使って人々を守らなきゃ。


「デニス、行ってくる」

「お気をつけ、ください、ませ……」


 デニスはもはや抜け殻のような状態だ。だけど大丈夫さ。僕が行くんだ。それに僕の仲間や父上も王都に入る。負ける方が難しい。


「デニス」

「はい」

「任せて。僕と僕の最高の仲間たちが君も、君の家族も、王国の民も、王国も救って見せる。そのために鍛えてきた力だ。勿論、敵に大攻勢に出られたら犠牲は出るだろう。でも絶対に君の家族だけは奴らに指一本触れさせない。いいね?」


 僕がそういうと、デニスは顔を伏せて、肩を震わせ始めてしまった。


「わたくしめは、本当に素晴らしき主に恵まれました。感謝いたします。ですがやはり王国の民や陛下のお命を優先してくださいませ。私の家族はその次で十分でございます。そうですよ。あなた様が向かうのです、何も心配など要りませんでした。あなた様がお務めを果たされるように私も直ちに仕事に戻り自分の務めを果たさせていただきます!」

「うん。それでこそデニスだ。後のことはよろしく頼むよ」

「お任せください!」


 そうしてその後に2、3言、言葉を交わした後僕は準備をしてすぐに王都に向けて転移した。







 遡ること数日前。ここは王城のとある会議室。そこでは静粛に今後の国家運営についての話し合いが行われていた。


 だが……


 ドタドタドタッ!!!


 アレンの家の執事筆頭とは雲泥の差ともいえる雑な足音で会議室に走ってくる者が一人。


 ドンドンドンッ!!


「むッ!? いきなりなんだ? 騒がしい」

「取り敢えず、入室を許可してもよろしいでしょうか?」

「うむ、構わん。急ぎの用なのに無視してしまったなどということになれば取り返しがつかんかもしれん」

「かしこまりました」


 そして入室してきた近衛師団員小隊長の顔を見てその場にいた一同が全員気を引き締める。何しろその師団員の顔にはこれまでに味わったことのない絶望と恐怖でも目にしたような顔をしているのだ。

 この場にいる大貴族や国王の顔を見て、少し安堵したのか幾分か落ち着いた表情になりはしたが、それでもまだその顔から恐怖が抜けきっていない。


 いったい何が起こったのだ? 皆そう思いたかったが、ここまで来ると大体の事情が察せてしまう。


 動き出したのだろう、奴らが。人類領土に向けて再び。


「し、失礼、します……」


 国王は絶句した。師団で小隊長にまで上り詰めた男とは思えないそのあまりにもか細い声に。

 小隊長と言えば一般的に考えれば十分出世したと言えるほど高い地位にある。師団にいる人間を大体は動かせる発言力を持つ。そして当然発言力だけでなく、実力の方も文句なしだ。そんな地位にいる男が出したあまりにも頼りない声にその場にいる貴族たちは事態がそれほどまでに重大なのだと再度気を引き締める。


「うむ、一体どうしたのだ? 落ち着いて、ゆっくりと話すのだ」

「は、はい。実は……」


 小隊長の報告に一同は言葉を失った。というより背筋が凍り付いて言葉を発するのも不可能だったというのが正確か。


「つ、つまり……悪魔たちがすぐそこまで来ている、と?」

「おっしゃる通りです」

「なんとッ……」


 この場には国王以外にアードラー大公、そしてそのほかの大公である、ボーゼ大公とバーデン大公、さらにはバルツァー公爵、ベーレンドルフ公爵、ベッカー侯爵、アーベントロート伯爵、ベッケラート子爵、といった面々がそろっている。

 ちなみにアードラー大公以外の大公家当主は国王の兄弟だ。今まで表舞台に出てこなかったのは彼らの領地が隣国らとかなり近い位置で、その国との小競り合いへの対処で忙しかったのだ。

 そして天使と悪魔が本格的に動き出してようやく隣国たちも大人しくなったのでこうやって政治に出てこれるようになったという訳だ。

 

 そんな大物達が集う場所で先ほどの報告がなされた。決定権が圧倒的に強い者たちが勢ぞろいだ。故に出される決断は単純明快。


「すぐにでもラント辺境伯を呼んで王都に来てもらうべきです、陛下!」


 ボーゼ大公が開口一番にそういった。それに追随するように、


「左様ですな。ラント卿だけでなく、彼の同期たちも勢ぞろいさせるべきです」


 バーデン大公がそういった。その後はひたすらそういった強い者を王都に招集するという意見に皆が首肯するという展開が続いた。


「皆の意見はもっともだ。あい、分かった。その意見をさっそくだが実行しよう。クリストフ、ラント領に至急特級召喚令状を送ってくれ」

「御意」



 国王は思う、


(全く、アレンがエトヴィンの血を色濃く受け継ぎ、魔法の才に秀で、転移魔法まで使える凄腕で本当に助かったわい。それにアレンに頼んでまた幻獣ヴェルセルクの助力も要請しなければならんな。はあ……やることが多すぎて禿げそうだな……)


 切実に事態の回復を願う国王であった。


 


最近更新頻度がバラバラで申し訳ありません! それでもお待ちいただいてお読みくださってる皆さま、本当にありがとうございます。高評価もしてくださってる方もいらっしゃって、本当に嬉しいです。これからも頑張ります。

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