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童話

ひとりぼっちになった元野良猫が、新しい家族を見つけるまでの物語

作者: いかすみこ

以前にTwitterで頂いたお題で書いたお話です。主人公は我が家の天使(飼い猫)です。保護猫シェルターのスタッフさんに、引き取り時に聞いた情報を元に書きました。引き取った初日に押し入れでお腹を出して寝ていた剛の者です(笑)

【 喜の章 】

 温かくて柔らかい、二匹の毛玉。茶白と真っ白。いつから一緒にいたかわからない。でも怪我をして、お腹も空いて、寒くて、このまま三匹いっしょにで死んじゃうのかな、と目を閉じた。

 起きたら、温かくてふわふわしたものの上だった。いい匂いもする。ミルクだ。ママのを飲んでた時以来だ。

 そしてそれ以上に嬉しいのが、隣にいる二匹の毛玉。あったかくてやわらかい。どうしてこの部屋に来たかわからない。でも一緒なら大丈夫。



【 怒の章 】

 いつも来る大きな生き物が、見慣れない大きな生き物を連れてきた。いっしょになって鳴き声を上げている。なぜかはわからないけど、こちらを指さし目で追ってくる。

 そして、ピンクの箱のふたを開け、茶白と真っ白を抱きかかえて中に入れてしまった。そしてそのまま扉から出て行ってしまった。

 茶白と真っ白をどこへやっちゃったの。どうしてボクだけ置いてくの。

 声が続く限り鳴き続け、入れ替わり立ち代わりやってくる大きな生き物たちに牙をむき続けた。



【 哀の章 】

 大きな部屋にボクだけ。ときどき大きな生き物が新たな毛玉を連れてくる。そのたびにボクは毛を逆立て唸り声をあげる。

 大きな生き物はため息をついて毛玉を連れ帰る。

 それでいい。もうボクは誰ともお別れしたくない。でもときどき隣にいた毛玉たちの温かさを思い出し、とてつもなく寂しくなる。

 大きな部屋にボク一匹。



【 楽の章 】

 ある日大きな生き物が、見知らぬ大きな三匹を連れ来た。

 手を伸ばし抱きかかえようとする。ボクは必死になって逃げてやった。あいつらに抱きかかえられるとどこかへ連れてかれてしまう。今までも抱かれたら大暴れしてやった。だけど結局つかまり、ボクは全く知らない場所に連れてかれた。

 新しい場所はドアがたくさんあり、もぐりこめるところも沢山あった。ボクは探検することにした。もしかしたら茶白と真っ白がいるかも。だけど目につくところを全て入ってみたけど、他の毛玉もいなかった。

 やがて小さな部屋を見つけ、敷き詰められているふわふわしたものの上で眠ってしまった。

 それからボクはずっと大きな生き物たちと暮らしている。ときどき、知らないやつもやってくる。みなボクの背中やお腹を撫でていく。

 あれからどのくらい経ったかわからない。二匹がどんな匂いをしていたかも。

 でも茶白と真っ白の温かさと少し似ている気がして、ボクは大きな生き物に抱っこされるのが好きになった。

抱っこさせてもらえるまで3年かかりました。撫でられるのは大好きなんですが。誰にでもお腹を見せて撫でさせるので、元野良だと言ってもなかなか信じてもらえません。

最近、もう一匹家族が増えたので、彼の物語もいつか書きたいです。


誤字脱字報告ありがたいです。

感想や星を頂けると舞い上がります。


それでは次作でお会いできるのを楽しみにしております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の猫ちゃんがだんだんと、大きな生き物(飼い主)に心を許していくところが良かったです。
[一言] 読ませていただきました。 猫視点で喜怒哀楽に分けて書かれているのが良いですね。 楽の章の終盤にほのぼのさが感じられて良かったです。
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