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コント【推理】

作者: 複志真 那終夜

「ゲラゲラコンテスト2」応募作品

コント【推理】

コント【推理】


・名探偵

・容疑者

(「ボケ・ツッコミ」が特にない為、「名探偵・容疑者」表記になります)


容疑者「犯人がわかった!?」


名探偵「はい。この事件の真相、つまりは田中さんを殺害した方法と例の密室トリック、そしてそれを仕掛けた犯人も……!」


容疑者「本当ですか!?」


 その場を見渡す名探偵。


名探偵「はい。ですので、一階の大広間に皆さんお集まりください。そこで全てお話ししましょう。今回の事件の真相を!」


容疑者「………」


 口を開けて固まる容疑者。


名探偵「では降りましょうか」


 動かない容疑者。


名探偵「どうしました?」


容疑者「いや……」


名探偵「いやじゃなくて。降りてもらっていいですか?」


容疑者「あの、今ちょっとアレなんで……」


名探偵「アレなんで……? アレってなんですか?」


容疑者「いやー、あのー、急に仕事が……」


名探偵「でしたら、こちらの方を優先して頂いて先に終わらせてからにしてもらっていいですか?」


容疑者「……そちらを優先したら仕事に行けなくなったりしませんか?」


名探偵「いえ。それはちょっとまだわかりませんね。その後の用事に行けなくなるのは犯人だけなので」


容疑者「なるほど……。犯人ってちなみに誰ですか?」


名探偵「いやぁ、それは下に降りて頂いてからのお楽しみということで。そこで私の推理を披露致しますので……」


容疑者「私も降りないとダメですか?」


名探偵「そうですね。全員集まって頂きたいので……」


容疑者「いや、まぁ一人くらいいいんじゃないですか?」


名探偵「えー、でも気になりません?」


容疑者「犯人ですか?」


名探偵「はい。あと密室殺人のトリックとか。1人だけど知らないのも……ねぇ? あれですし……」


容疑者「うーん……いや、まぁ、いいですけどね? 知らなくても。そこまで興味も無いというか……」


名探偵「いやいや、そう言わずに……。すぐ終わりますし……」


容疑者「じゃあ、ここで聞きますよ。すぐ終わるなら、ねえ? ここでパパッと聞きますよ」


名探偵「あー、その……出来れば皆さんの前でお話ししたいのですが……」


容疑者「まぁ、探偵さんからすると全員に一人ずつ話すのも手間でしょうが、犯人の方のことを考えると、わざわざ皆の前で晒し者にするようなことしなくても……」


名探偵「晒し者だなんて……そんなつもりは……」


容疑者「でもそれって、犯人からすると、小学校の教師がプールの授業終わりに皆の前でこのパンツ誰の落とし物だー!?って聞くようなものじゃないですか?」


名探偵「今まで探偵やって来て、人前で推理することをパンツで例える人に初めて出会いましたよ……。というか殺人を人前で暴かれるのとパンツを晒されるのとではスケールが全く違う気が……」


容疑者「とにかく私が言いたいのはわざわざ人前で暴くなんて犯人が可哀想なのでは……と思っただけで……。まぁ別に私は犯人ではないので関係ないですけど……」


名探偵「その意見にも一理ありますが、まぁでも人ひとり殺してますし、その位の辱めは受けても……。犯人本人がそう申告するなら考えますけど……」


容疑者「それはそうなんですけど……私が犯人なら嫌だなぁと……私犯人じゃないですけど」


名探偵「まぁ犯人自身がそう仰るなら無理にとは言いませんが……。あっ、あなたが犯人とか言ってるわけじゃなくて」


容疑者「わ、わかってますよ……。まぁ、私が犯人だとしたら、犯人本人からの要請ってことになりますよね……全然、全くもって犯人じゃないですけど。いやほんとに」


名探偵「ハハッ……そうですね。完璧なアリバイがありますもんね」


容疑者「まぁでも名探偵さんの前では、その完璧なアリバイも無意味だったりします?」


名探偵「えー、まぁそうですね。本当の犯行時刻がわかったのでむしろアリバイがある人が犯人というか……アリバイあるのは一人だけなので決まりというか……」


容疑者「じゃあ、密室トリックも破られて、完璧なアリバイも崩されたってことですよね? 私が犯人だとしたらっていうもしもの話ですけど」


名探偵「そうですね。それが何故わかったのかを今から皆さんを集めて言おうとしてるとこなんですけど……」


容疑者「あー、そうなんですねー。……ちなみに証拠とかもあったり……?」


名探偵「現場に犯人のパンツが落ちてました」


容疑者「あ、自首します」


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