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盗賊と女の子

作者: プライド

時は水を動力源として発達した時代


この世界ではすべてのものが

【水】で動く


その中心都市が

『アクアトピア』


そんな中とある博物館に長蛇といえるほどの列ができていた。



「皆さん、この像があの伝説の盗賊キルです」

案内係の女性が言うと辺りの客がざわめいた。


その像は小柄な少年の像だったがひとつだけ異なるところがあった。


「では皆さんこちらに」

案内係が客を次に案内しようとしたら客の中にいた小柄な少年が像の前にやってきた。

「ねぇお姉さん」

「あらぼくどうしたの?」

「キルってほんとにこんな姿だったの?」

「ええ、学者たちの想像で造られた姿だそうよ」

「へぇ〜…これはちょっとひどいなぁ〜」

「えっ?」

客や案内係は少年の言葉に驚いた。


「あれれ〜なんで静まっちゃったんだろ…あーそうか!」

すると少年は像の上に飛び乗った。


「ぼく危ないから降りなさい」

案内係は少年に呼びかけた。

「お姉さん…俺ってそんなに子供かい?」

そして少年の姿は一瞬で変わった。

もちろん全ての人が驚いた。

なぜなら少年はあの伝説の盗賊キルだったからだ。


「どうも!俺がキルさ!驚いただろ〜」

そしてキルは像から降り立ってお尻についたしっぽを振った。

「んじゃ俺はこれで」

キルは博物館の正門にいた警官を軽々と飛び越えて外にでた。

外にでると相棒のシドが待っていた。

「おっ!ジダンやっと来たな」

「悪い例の博物館の像が見たくてつい…」

「まっ寄り道はお前の癖だもんな」

シドは呆れながら言った。

「俺は気まぐれな旅人さ」

ジダンは胸を張って言った。

「でも本職は盗賊キルだけどね」

「威張って言うなよ」

「そんなことより次のターゲット見つけたぜ!」

「なんだよそれ?」

「それは…」


あっという間に夜が来た。

「おいジダンどこに行くんだよ」

「そのままついてこいって」

2人は博物館の裏口から忍び込んだ。

「シドこれさ」

ジダンが指したのは例の像だった。

「へぇー…おまえのいうとおり似てないな」

「だろ〜…んっ?」

「どうした」

「しっ!像の後ろに誰か居る」

ジダンは像の後ろにまわるとそこには小さな女の子がいた。


「おい!そこでなにしてるんだ?」

ジダンは女の子の目線までしゃがんだ。

「約束したの」

女の子は小さな声で言った。

「誰にだい?」

「キルに」

ジダンは女の子の言葉に苦笑いをした。

するとシドが2人の会話を聞いてやってきた。


「ジダンなにやってんだ?」

「シドか一緒に話聞こうぜ」

ジダンはシドを会話の輪に入れた。


「なぁキルになに約束したんだ?」

「私の病気を治す薬を盗んでもらいたくて」

「薬?」

2人はほぼ同時に言った。

「私ね、治らない病気なの。だからなんでも治す薬をキルに盗んで欲しかったの」

「そうだったのか…」

ジダンは立ち上がった。

「よっしゃ!俺が取ってきてやるよ」

「ほんとに!」

女の子は顔を上げた。

「ああよかったら君の名と薬の名を教えてくれないか?」

「私はルカ!薬の名前はキュアル」

ルカはジダンたちに笑顔を向けた。

「俺はジダン!ジダン・キルさ」

ジダンは胸に手をあてていった。

「えっ!キル!」

ルカは目を丸くした。

「そうさ」

「僕は相棒のシド・トリウム」

「んじゃキュアルという薬取りに行くか!」

ジダンは壁の高い位置にある窓枠に飛び移った。

そしてジダンとシドは一瞬にして消え去った。

「キル約束だからね」

ルカは小さな声で言った…。

そしてそのまま消えるように闇の中に向かっていった。



しばらくたったあとジダンたちは博物館に戻ってきた。

「今回はすげーてこずったな」

「今回にしてはだけどね」

2人は博物館の中に入った。

「あれ?あの像の下に花束があるよ」

シドは像の足下にあった花束を指した。

「ほんとだ」

「ちょっと聞いてみるか」

シドは近くにいた客に話しかけた。


「すみませんけどあの花束は?」

「あれはちょっと前にあの像の下で女の子が亡くなっていたんだって」

シドは言葉をなくした。

「その女の子って」

ジダンは恐る恐る聞いた。

「確か…ルカって名前だったはず」

2人は花束の元に行った。

「ルカ…」

シドは後ろを向いてジダンにはわからないように泣いた。

「ルカ…約束だったのに、なんで!」

ジダンは像を叩いた。

しかしジダンは立ち上がると

「ルカ…見てるか!いつかまたあえるときまで約束だからな」

ジダンはそういうと声をからすまで泣き続けた。

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